鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

プラセンタ注射について。

2ヶ月ほど前からプラセンタ注射を始めた。今のところ、患者さん達の評判は軒並み良好である。

【症例報告】non-DESHの特発性正常圧水頭症(iNPH)改善例。

久しぶりに、特発性正常圧水頭症(iNPH)の記事。 特発性正常圧水頭症とは、脳と脊髄を満たしている脳脊髄液(髄液)が過剰に脳内(脳室系・くも膜下腔)に貯留し、脳を圧迫することで すり足歩行 認知機能低下 頻尿・尿失禁 などの、「正常圧水頭症の3徴候」と呼ばれる症状…

【症例報告】トラゾドン(レスリン・デジレル)で落ちついた96歳女性。

今回紹介する超高齢女性は、なかなかに手強い人だった。 手応えのあったウインタミンが副作用で使えなくなったのは痛かったが、最終的には、初期から入れていたトラゾドンが、睡眠のみならず全体を上手くまとめてくれた。

自己肯定感について/あるいは、コロナ疲れ 

「私は悪くない。悪いのは〇〇だ。」 年を重ねるか認知症になるかして抑制機能(≒前頭葉機能)が失われたとき、これまでの被害的な思考の癖が形を変えて露わになることがある。例えば、「物盗られ妄想」のように。

ケアマネ連絡票から考えた「プロの仕事」について。

ケアマネから医者に届く「ケアマネ連絡票」というものがある。 その内容は、ケアプランの相談や患者さんの近況報告、また介護保険更新のための情報提供だったりと様々だが、先日 家族の希望で施設入所を予定しています。よろしいでしょうか?(原文ママ) このような質…

【症例報告】仕事のミスが切っ掛けで鉄剤を飲み始めた女性が、鉄剤を終了するまで。

「仕事でミスが目立ちすぎる」という理由で、上司に同伴されて当院を訪れたAさんの年齢は50歳だった。

【症例報告】一人で通院していた高齢者に起きたこと。

診察室という密室の中で行われる医者と患者のやり取りが表に出ることはなく、また病院の診療報酬請求が適切かどうかをチェックする支払基金も、薬の処方根拠を一つ一つ医者に質してくることは通常ない。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体検査結果と、世間の「空気」について。

先日、新型コロナウイルス(以下、コロナ)の血清抗体検査を受けてみたのだが、結果は「陰性」だった。

【症例報告】薬の効果判定のために、誰の意見を最優先とすべきか。

今回の症例の教訓。 ドネペジルを10mg使ってやっと改善が見られる患者さんはそういない。 トラムセットによる肝機能異常、食欲不振の頻度は結構ある リリカは定型的に朝夕、朝昼夕などと使うよりも、特に痛みで困る時間帯の前で1回だけ多めに使うと良いことがある…

遅発性パラフレニーについて。

妄想とは、「現実にはあり得ないことだが、他者が訂正不能で、本人だけが確信している観念」のことである。 バリエーションは無限にあるが、例えば以下のようなやりとりの場合、妄想を言っているのは母親である。 母親「私のお気に入りの香水が、いつの間にか薄くなって…

高齢夫婦のケンカの仲裁が、認知症外来に持ち込まれることがある。

「お宅から貰った薬が全然効かないので、もう行きませんから!」 Aさんの奧さんから凄い剣幕で電話がかかってきたと、受付スタッフが困惑した表情で報告に来た。

「なぜ?」に答える難しさ。

「うちの母は、どのようにしてアルツハイマーになったのですか?」 と聞かれたら、定説仮説を交えて 「タウタンパクの蓄積やミエリンの脱落、重金属の蓄積や生活習慣病などが関与したのではないでしょうか・・・」 などと答えることは出来る。しかし、 「うちの母は、なぜア…

慢性的な頭痛とめまいで悩んでいた女性のフェリチン値に驚いた。

女性の頭痛や肩こり、めまいや不眠などの症状の背景に鉄タンパク不足が隠れていることが多い。 今回紹介する方は頭痛とめまいで来院されたのだが、採血でフェリチンが1.1と見たこともない極低値だった。11ではなく、1.1である。

【症例報告】抗うつ薬による軽度のセロトニン症候群と思われた高齢女性。

今回紹介するのは80代前半の女性である。 高齢者の入院中にSSRI(抗うつ薬)が処方され、退院後もそのまま継続されているケースをちょくちょく見かける。 処方医にいちいち確認することはないが、恐らくは入院中の意欲や活気の低下をからうつ病、またはうつ状態と診…

【症例報告】ジフェニドールで片頭痛発作を抑制。

以前にも報告したことがあるが、抗めまい薬のジフェニドールを片頭痛の予兆時に内服することで、発作を抑制することに成功した女性を紹介する。 片頭痛は吐き気や光のまぶしさ、音過敏、嗅覚過敏など多彩な随伴症状を伴うことがあるが、「めまい」が随伴症状にある方…

脳神経外科における新型コロナウイルス感染症の影響。

新型コロナウイルス(以下、コロナ)の不顕性感染が拡大している。不顕性感染とは、「感染している(していた)けれども、症状がない(なかった)状態」のことである。

人の能力について。

自覚が有る無し関係なく、一人で来院する発達障害の方への対応は難しい。 幼少期から発達の特性があったのかどうかは親や兄弟に聞かなければ分からないし、また、社会生活を営むようになってからの様子は、会社の上司や同僚、生活を共にするパートナーに確認する他…

【症例報告】リバスタッチパッチの著効例。

今回は、リバスタッチパッチが良く効いていると思われる症例を紹介する。 4剤ある抗認知症薬のなかで、個人的に最も出番が多いのはリバスタッチパッチ(イクセロンパッチ)である。

【症例報告】ヘモグロビン11.5、フェリチン4で鉄剤を処方して貰えなかった女性。

他院より採血結果を持ち込んで相談に来られた40代の女性Aさん。 10年ほど前からめまいや倦怠感、イライラ、朝が極端に苦手、頭痛、肩こりなどで悩まされているとのことだった。

ある高齢者が運転免許証を自主返納するまで。

改正道路交通法が施行されて3年が経ち、免許を自主返納する高齢者は着実に増えているようだ。

認知症外来を始めて7年、ブログを始めて6年、開業して4年。

「なぜ認知症を診るようになったのか?」と聞かれることが時々あるので、書いてみる。 認知症専門医でも何でもない自分が「認知症外来」と銘打って認知症患者さんを診るようになったのは、2012年の11月からだった。 その前年の2011年に赴任して引きついだ外来には多く…

【書評】「誤作動する脳」。

50歳でレビー小体型認知症(以下DLB)と診断されるまでに自身に起きたこと、そして今も起き続けていることを発信し続ける樋口直美さんの新刊、「誤作動する脳」を読んだ。 奇しくも普段から外来で「脳が誤作動を起こして、色々と不便なことが起きるんでしょうね」と患…

引きつがれていく何か。

「お母さんは認知症なんだから、自分がすぐ忘れるということをちゃんと自覚してよ。私たちも大変なんだから!」 「父さん、同じ事を何回確認したら気が済むんだ。それはさっきも聞いてきただろう!」 認知症の親に病気を自覚させようと、親が忘れたら注意し、間違えたら…

いつまでも治らずにブヨブヨしているたんこぶの処置。

先日、「たんこぶが治らずにブヨブヨしているので診て欲しい」というご相談を受けた。 聞くと、2週間前に転んで頭を打撲し、その後じわじわとたんこぶが膨らんでき改善しないため受診したという経緯だった。

剥がれやすくなってしまった新型リバスタッチパッチ・イクセロンパッチ。

抗認知症薬のリバスタッチパッチ・イクセロンパッチは、急激な薬剤血中濃度上昇をきたしにくく、安定して薬効を発揮するという貼付剤ならではの長所がある。 一方、短所は痒みやかぶれといった、やはり貼付剤ならではの皮膚刺激症状である。 リバスタッチパッチ・イ…

【症例報告】貧血治療を優先したアルツハイマー型認知症の女性。今後の課題は水頭症への介入。

娘さんと地域包括支援センタースタッフに伴われて当院を受診された70代後半の女性Aさんは、会話が取り繕いに満ち見るからにアルツハイマー的であった。 顔色不良も気になったので採血をしたところ、重度の貧血が判明したため他院に入院を依頼した。幸いガンなど…

聴覚情報処理障害(APD)について。

時々だが、若い患者さんからもの忘れの相談を受ける。 今回は、 20代男性のAさんの話。赤文字強調部分に注目して読んで欲しい。

「インフルエンザではない、という診断書を貰って来て下さい」とデイサービス事業所から言われた利用者さん。

当院通院中のAさんに起きた話。 ある日の朝のこと。デイサービスに行ったAさんは検温で37.2度の熱が確認された。 咳や咽頭痛、鼻汁などの感冒症状が何もなかったにも関わらず、Aさんは家に帰るようデイサービスから言われ、Aさんの家族が迎えに来させられた。

スーパー糖質制限で5kgのダイエットに成功するも・・・。

ダイエット目的で糖質制限を始めたという50代女性のAさん。 3ヶ月で5kgの減量に成功して喜んでいたのだが、最近夕方頃に気が遠のくような感じがし、以前よりも疲れやすくなったとのことで相談に来られた。

認知症初期集中支援チームの在り方について。

「今年度もまた、よろしくお願いします。」 依頼があって引き受けた認知症初期集中支援チームのチーム医となって4年近く経つが、継続の意思確認がないまま、自動的に更新され続けてきた。 www.ninchi-shou.com 認知症初期集中支援チームとは、厚生労働省が策定した「…