鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

バランス感覚を欠いた専門医療は、高齢者にとって凶器になり得る。

とある消化器内科クリニックと心療内科クリニックに通院中であった、高血圧などを持つ独居の80代後半の女性(HSさん)をご紹介する。 経過中に心療内科で認知面低下を指摘され、〇〇病院を紹介された。そこで「アルツハイマー型認知症+パーキンソン病」と診断されて…

鉄不足を解消し、抗うつ薬を卒業出来た30代女性。

罹病期間が短ければ短いほど、薬を卒業するために必要な時間も短くなるはず。 Just An Invitation...... flickr photo by Emuishere Peliculas shared under a Creative Commons (BY-ND) license

オルタナティブ・ストーリーを生きる。

「自分はこういう人間で、家族はこういう人間で、自分が属する共同体はこのようなもので・・・」 人はみな、このような物語を編みながら生きている。

ナイアシン処方の工夫について。

統合失調症の方を数名診ている。 長年の経過で陽性症状は既に枯れ、陰性症状メインの方達である。みなさん抗精神病薬は精神科で処方されており、当院では生活習慣病対策を行っているのだが、少しでも抗精神病薬の減量に繋がればと考えてナイアシンを処方している。

防衛医療に徹していると、改善の機会を逃すことがある。

治療の選択肢を示すことは、医者の重要な仕事の一つだと思っている。 www.ninchi-shou.com ただ、全ての選択肢を同列で説明する訳ではない。 防衛医療*1に徹しすぎると患者さんが改善の機会を失う事があるため、これまでの自分の経験から上手くいく可能性が高いも…

一回だけの診察で、情報をどこまで伝えるべきか?

診察で得られた情報を、患者さんや家族にどこまで説明するべきなのだろうか。このことで、しょっちゅう悩む自分がいる。 特に、その情報が確定的なものではなく、自分の推測が多く含まれていて、尚且つその推測に対する明確な対処法(決定的な治療法)がない場合には、…

認知症患者さんに運転免許の自主返納を促すにあたって、気をつけていること。

道路交通法改正から、およそ7ヶ月が経過した。 www.ninchi-shou.com 運転免許継続に関わる当院への診断書作成依頼は、徐々に増えてきている。

専門医療の足し算は、高齢者を幸せにするだろうか?

病気を診ずして病人を診よ(高木兼寛) 蓋し名言である。 ある患者さんが、自分の専門領域の病気のみに罹患しているとする。その病気の治療が上手くいき、治癒に成功すれば仕事は終了である。 では、患者さんが自分の専門領域以外の病気に罹患している可能性を感じた…

「困っていない。放っておいてくれ」という人に介入するために必要なこと。

医者という仕事をしていながらこういうことを言うのもアレだが、自分は極力病院にはかかりたくないと思っている人間である。*1 認知症診療をしていて時にやりきれなくなるのは、「私はどこも悪くないし困ってもいなのに、なんで病院にこなくちゃいけないの?」と、怒…