抗認知症薬のリバスタッチパッチ・イクセロンパッチは、急激な薬剤血中濃度上昇をきたしにくく、安定して薬効を発揮するという貼付剤ならではの長所がある。
一方、短所は痒みやかぶれといった、やはり貼付剤ならではの皮膚刺激症状である。
意欲や活気上昇といった効果が出ているにも関わらず、皮膚刺激症状のために継続出来なかった例は数多い。
当然メーカーは早くから事態を把握しており、基材を工夫して皮膚刺激症状を軽減した新たな製剤を昨年秋頃に発売したのだが、これが残念なことに患者さん達に不評なのである。
「旧型のパッチと比べて、剥がれやすくなってしまった」という声が最も多い。それでも掻痒感が軽減されていたらまだいいのだが、残念ながら掻痒感が軽減されたという声をほとんど聞かないのである。
これでは、何のための改良品なのか分からない。
「前のタイプのパッチに戻して欲しい」と患者さん達に頼まれても、既にメーカーは旧製品を新製品に置き換えているため、それは出来ない。
自分のクリニックだけで起きていることではないと思うのだが、メーカーの営業スタッフに聞いてもパッとした答えが返ってこない。
中には、せっかく旧型パッチが効いていたのに新型へ切り替えてから剥がれやすくなり、続けられなくなってしまった方もいる。そのような方達は、レミニールやドネペジルなどに切り替えても上手くいかないことが多い。
"AChE阻害薬"と一括りにされるリバスタッチパッチ(イクセロンパッチ)、レミニール、ドネペジル(アリセプト)だが、それぞれ全く持ち味の違う薬だから切り替えが上手くいかないのは当然ではある。特に、レビー小体型認知症では上手くいかないことが多い。
本当の意味での改良に期待したいところだが、先発品メーカーがそれに取り組むことは恐らくない。それは、もう少ししたら後発品が出てきて一気にシェアが落ちることが予想されるからである。
メマリーやレミニールは、今年(2020年)の6月に後発品が薬価収載されることが決定となった。
「エディロール」「ザイザル」「メマリー」などに後発品、6月に薬価収載へ|トピックス | AnswersNews
リバスタッチパッチやイクセロンパッチも近い将来後発品が発売されるだろう。
後発品メーカーには是非、皮膚刺激症状の軽減と剥がれにくさが両立された製品を期待したい。
ついでと言ってはなんだが、1.125mgや2.25mgなど剤型も増やして欲しい。薬剤過敏のあるレビー小体型認知症の方では、0.5625mg(4.5mg製剤の1/8の量)がちょうど良いという方もいるので。
www.ninchi-shou.com
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