施設入所中の90代女性Aさんが、2ヶ月続く夜間せん妄を主訴に来院した。 主治医に対応を求めるも、「もう年だし、これ以上は・・・」という反応の鈍さに業を煮やした施設スタッフが連れてきたのであった。 副作用を懸念してであろう、超高齢者への積極的薬物療法を厭うか…
今回の症例の教訓。 ドネペジルを10mg使ってやっと改善が見られる患者さんはそういない。 トラムセットによる肝機能異常、食欲不振の頻度は結構ある リリカは定型的に朝夕、朝昼夕などと使うよりも、特に痛みで困る時間帯の前で1回だけ多めに使うと良いことがある…
今回は、リバスタッチパッチが良く効いていると思われる症例を紹介する。 4剤ある抗認知症薬のなかで、個人的に最も出番が多いのはリバスタッチパッチ(イクセロンパッチ)である。
娘さんと地域包括支援センタースタッフに伴われて当院を受診された70代後半の女性Aさんは、会話が取り繕いに満ち見るからにアルツハイマー的であった。 顔色不良も気になったので採血をしたところ、重度の貧血が判明したため他院に入院を依頼した。幸いガンなど…
「これほど酷い陽性症状の人は、うちでは対応出来ません。紹介状を書くので別の病院に行って下さい」 ベテラン脳神経内科医にサジを投げられ途方に暮れていたご家族。 どのように介入し、改善していったかの一部始終を紹介する。状態変化に寄与したと思われる薬剤は…
他者から見て目的があるようには見えない、しかし延々と繰り返される行動のことを「常同行動(常同運動症)」という。 認知機能が衰えると常同行動が目立ってくる。ピック病(≒前頭側頭型認知症)の常同行動は有名だが、アルツハイマーでも他の認知症でも常同行動は見…
今回は、度重なる入院を切っ掛けにせん妄のスイッチがonになってしまった80代後半の女性を紹介する。 熱心な娘さんと細かいやり取りをしながら、介入74日目の外来で一定の評価を頂いた。結論を先に書くと、「テトラミド4mg」に辿り着くまで74日かかった、ということ…
今回紹介する方は、病型診断困難な90代の女性YFさんである。 パーキンソン病、レビー小体型認知症、過活動膀胱、不眠症、慢性胃炎、便秘症などの病名で、他剤服用中であった。 3つの病院それぞれから薬が出ていたが、「かかりつけ医はどの先生ですか?」と聞いても家族は…
今回紹介するのは80代後半の女性SMさん。 もの忘れよりも妄想が生活上の大きな問題となっていた方で、治療に用いる薬剤は「認知症の進行を抑える薬」ではなく、「妄想を抑える薬」を選んだ。そして、妄想が一段落して家族に余裕が生まれてきたら、今度は栄養療法を少し…
支援相談員、保健師、看護師、医師など複数の専門職で結成される、「認知症初期集中支援チーム」という取り組みがある。 全国各地の地域包括支援センターには、家族や近隣住民から「うちの父親が認知症かもしれない」とか、「近所の〇〇さんの様子が最近おかしい」といっ…
多剤併用で害が起きている状態を、ポリファーマシーと呼ぶ。 今回は、足し算医療によるポリファーマシーでバランスを崩していたNSさんをご紹介する。 「何かを足したら何かを引く」のが高齢者医療の鉄則だが、最初からそれを心がけておけばポリファーマシーは激減す…
「イクセロンパッチやリバスタッチが効くときは、大体こんな感じだよね」という典型例をご紹介。 「アルツハイマーね、ハイ薬ね」ではなく、じっくりと考えてもらい決断してもらったというプロセスが重要で、そこに本人も加わっているというのが更に重要。 初診で認知…
言葉によるコミュニケーションがうまくいかない時に考えること。
「治るんじゃなかったんですね・・・」 そう仰ったMSさんの奥さんの表情からは、深い諦めが見て取れた。
2年間経過をみている、独居の70代女性を紹介する。
一般的な認知症外来における抗認知症薬の処方基準とは、どのようなものであろうか? 他院から当院に引っ越してくる患者さん家族の話から推測するに、「認知機能テストが基準以下(HDS-Rなら21点未満)・VSRAD*1で関心領域の有意な脳萎縮」といったことを基準に処方さ…
YNさんの初診から1年半までの経過をご紹介する。 微妙な方には、過剰介入にならないように気をつけて診ている。
今回紹介するのは、介入3ヶ月で「なかなかいいですねぇ」となったSMさん。 「自分が今までのようではない」という意識(病識)を持っていた方なので、
息子さん夫婦と暮らす、80代のアルツハイマー型認知症の女性。 診察室の中では常に笑顔で、愛想よく話す。その様子を、同伴のご家族は醒めた目で眺めている。
これまでに何度か、認知症患者さんから「先生はエクボが出るね」と言われたことがある。 ちなみに、ご家族からは一度も言われたことはない。
数年前に、とある講演会で座長を務めたのだが、その時の演者が自信たっぷりにこう言い放っていた。 今あるエビデンスに基づくと、抗認知症薬は可能な限り速やかに最高量まで増量した方が、認知症の進行抑制効果が出ている。少量投与ではそのようなエビデンス…
約2年経過を診てきた方。経過中に改善の感触はあったが、最終的にはご本人やご家族の満足度が高いとは言えない状態のまま、お別れとなった。
今回は、ある事情によりいつの間にか抗認知症薬を卒業していた方をご紹介。 薬を続けようが続けまいが、いずれ長谷川式テストの点数などは下がっていく。テストの点数を基準にし続けるよりは、「生活全般の質が低下していないか?」という視点で見続けることの方が大…
脳萎縮の左右差が目立ってきた時に考えるのは前頭側頭葉変性症(FTLD)だが、臨床症状としてはむしろアルツハイマー型認知症(ATD)の症状が目立ってきた、という方である。幸い、目立った周辺症状なく経過出来ている。
家庭天秤法の威力、献身的介護と客観的視点の両立の重要性、キャラクター分類の重要性。 この患者さんとご家族からは、様々な事を学んだ。 flickr photo shared by hans s under a Creative Commons ( BY-ND ) license
脳梗塞の治療と、脳梗塞で悪化した認知症精神症状の治療を両立させることの難しさ。
様々な工夫を試みるも改善に至らず、別れの日がやってきた。力不足を痛感させられた症例のご紹介。
外来でお付き合いが始まり、一年ちょっと経過したアルツハイマー型認知症の方をご紹介する。当院に来られるまでの経過を足すと、発症からおよそ10年になる。
アルツハイマーではない可能性も念頭に置きながら、経過観察中。
「夫(妻)の前では言えない・・・」 長年連れ添ったからこその遠慮、というものはある。このような時、どちらの言い分を重視すべきだろうか?
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