目が見えて歩けるのに、独立生活困難な状態
認知症と軽度認知障害は、以下のように区別して考えると分かりやすい。
- 認知症・・・目が見えて歩けるのに、独立した生活を営むことが困難で、他者の助けを必要としている状態
- 軽度認知障害・・・生活は自立しているが、自覚的他覚的に衰えのある状態
経験上、自分で自分の心配が出来る人は問題ないことが多い。
逆に、「自分は大丈夫」とか「年を取ればこんなものだ」などと言い張る人は少し心配。全く病識がないというのは、認知症を疑うきっかけになる。
長年共に生活してきた家族の目から見て
「これはおかしいのでは?」
と感じ時が、病院を受診するタイミングかもしれない。
- 新しいことが覚えられない
- 段取りや計画が出来ない
- 物の名前が出てこない
このような症状を認知症の「中核症状」と呼ぶ。中核症状をこじらせると、そのうち
など、認知症の「周辺症状」が出現する。
認知症の発症を完璧に予防することが出来ない以上、大切なのは中核症状出現の初期に素早く対策を打つことによって、周辺症状の出現を極力遅らせることではないだろうか。
介護する側にとって最も大変なのは、周辺症状なのだから。
便利な2つの質問でチェック!
次の2つの質問に答えられない、もしくは取り繕うようであれば、認知症の可能性を考えた方が良い。
- 「お母さん、いま何歳だったっけ?」
- 「お父さん、何年生まれだったっけ?」
研究グループは、認知症発症について注目した住民ベースの長期前向き研究を行った。ベースラインで、認知症の症例群と非症例群を特定するために2つの標準化されたスケール、構造化面接(Geriatric Mental State)とHistory and Aetiological Schedule(HAS)を用いて認知機能の評価を行った。症例の診断はDSM-IV基準を用いて行い、参照基準とした。本検討では、単純認知機能テストとして、2つの簡単な質問「あなたは何歳ですか」「あなたは何年生まれですか」に答えることを課していた。主な結果は以下のとおり。
- 参加者のテストの受け入れは良好で、30秒以内に回答が得られた。
- 参照基準と比較して、「2つの質問への回答がどちらも誤答である場合は認知症である」とする判定について、感度61.2%、特異度97.8%、陽性適中率44.5%、陰性適中率98.9%であった。
- この超短時間での試験は、特異性と陰性の検出力が非常に良好であった。
(JAMA online 06/15/2013より抜粋)
いきなり病院を受診することがためらわれる場合には、地域包括支援センターに相談するのもいいだろう。