鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

認知症って一体、どんな病気なの?

目が見えて歩けるのに、独立生活困難な状態

 

認知症と軽度認知障害は、以下のように区別して考えると分かりやすい。

 

  • 認知症・・・目が見えて歩けるのに、独立した生活を営むことが困難で、他者の助けを必要としている状態
  • 軽度認知障害・・・生活は自立しているが、自覚的他覚的に衰えのある状態

 

軽度認知機能障害(MCI)の定義

 

認知症の種類

 

認知症の中核症状と周辺症状

 

 

経験上、自分で自分の心配が出来る人は問題ないことが多い。


逆に、「自分は大丈夫」とか「年を取ればこんなものだ」などと言い張る人は少し心配。全く病識がないというのは、認知症を疑うきっかけになる。

 

長年共に生活してきた家族の目から見て

 

「これはおかしいのでは?」

 

と感じ時が、病院を受診するタイミングかもしれない。

 

  • 新しいことが覚えられない
  • 段取りや計画が出来ない
  • 物の名前が出てこない

 

このような症状を認知症の「中核症状」と呼ぶ。中核症状をこじらせると、そのうち

 

  • 妄想
  • 徘徊
  • 不安・抑うつ
  • 怒りっぽさ・暴力

 

など、認知症の「周辺症状」が出現する。

 

認知症の発症を完璧に予防することが出来ない以上、大切なのは中核症状出現の初期に素早く対策を打つことによって、周辺症状の出現を極力遅らせることではないだろうか。

 

介護する側にとって最も大変なのは、周辺症状なのだから。

 

便利な2つの質問でチェック!

 

次の2つの質問に答えられない、もしくは取り繕うようであれば、認知症の可能性を考えた方が良い。

 

  1. 「お母さん、いま何歳だったっけ?」
  2. 「お父さん、何年生まれだったっけ?」

 

研究グループは、認知症発症について注目した住民ベースの長期前向き研究を行った。ベースラインで、認知症の症例群と非症例群を特定するために2つの標準化されたスケール、構造化面接(Geriatric Mental State)とHistory and Aetiological Schedule(HAS)を用いて認知機能の評価を行った。症例の診断はDSM-IV基準を用いて行い、参照基準とした。本検討では、単純認知機能テストとして、2つの簡単な質問「あなたは何歳ですか」「あなたは何年生まれですか」に答えることを課していた。主な結果は以下のとおり。

  • 参加者のテストの受け入れは良好で、30秒以内に回答が得られた。
  • 参照基準と比較して、「2つの質問への回答がどちらも誤答である場合は認知症である」とする判定について、感度61.2%、特異度97.8%、陽性適中率44.5%、陰性適中率98.9%であった。
  • この超短時間での試験は、特異性と陰性の検出力が非常に良好であった。

(JAMA online 06/15/2013より抜粋)

 

いきなり病院を受診することがためらわれる場合には、地域包括支援センターに相談するのもいいだろう。