鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

ある高齢者が運転免許証を自主返納するまで。

改正道路交通法が施行されて3年が経ち、免許を自主返納する高齢者は着実に増えているようだ。

認知症外来を始めて7年、ブログを始めて6年、開業して4年。

「なぜ認知症を診るようになったのか?」と聞かれることが時々あるので、書いてみる。 認知症専門医でも何でもない自分が「認知症外来」と銘打って認知症患者さんを診るようになったのは、2012年の11月からだった。 その前年の2011年に赴任して引きついだ外来には多く…

【書評】「誤作動する脳」。

50歳でレビー小体型認知症(以下DLB)と診断されるまでに自身に起きたこと、そして今も起き続けていることを発信し続ける樋口直美さんの新刊、「誤作動する脳」を読んだ。 奇しくも普段から外来で「脳が誤作動を起こして、色々と不便なことが起きるんでしょうね」と患…

引きつがれていく何か。

「お母さんは認知症なんだから、自分がすぐ忘れるということをちゃんと自覚してよ。私たちも大変なんだから!」 「父さん、同じ事を何回確認したら気が済むんだ。それはさっきも聞いてきただろう!」 認知症の親に病気を自覚させようと、親が忘れたら注意し、間違えたら…

いつまでも治らずにブヨブヨしているたんこぶの処置。

先日、「たんこぶが治らずにブヨブヨしているので診て欲しい」というご相談を受けた。 聞くと、2週間前に転んで頭を打撲し、その後じわじわとたんこぶが膨らんでき改善しないため受診したという経緯だった。

剥がれやすくなってしまった新型リバスタッチパッチ・イクセロンパッチ。

抗認知症薬のリバスタッチパッチ・イクセロンパッチは、急激な薬剤血中濃度上昇をきたしにくく、安定して薬効を発揮するという貼付剤ならではの長所がある。 一方、短所は痒みやかぶれといった、やはり貼付剤ならではの皮膚刺激症状である。 リバスタッチパッチ・イ…

【症例報告】貧血治療を優先したアルツハイマー型認知症の女性。今後の課題は水頭症への介入。

娘さんと地域包括支援センタースタッフに伴われて当院を受診された70代後半の女性Aさんは、会話が取り繕いに満ち見るからにアルツハイマー的であった。 顔色不良も気になったので採血をしたところ、重度の貧血が判明したため他院に入院を依頼した。幸いガンなど…

聴覚情報処理障害(APD)について。

時々だが、若い患者さんからもの忘れの相談を受ける。 今回は、 20代男性のAさんの話。赤文字強調部分に注目して読んで欲しい。

「インフルエンザではない、という診断書を貰って来て下さい」とデイサービス事業所から言われた利用者さん。

当院通院中のAさんに起きた話。 ある日の朝のこと。デイサービスに行ったAさんは検温で37.2度の熱が確認された。 咳や咽頭痛、鼻汁などの感冒症状が何もなかったにも関わらず、Aさんは家に帰るようデイサービスから言われ、Aさんの家族が迎えに来させられた。

スーパー糖質制限で5kgのダイエットに成功するも・・・。

ダイエット目的で糖質制限を始めたという50代女性のAさん。 3ヶ月で5kgの減量に成功して喜んでいたのだが、最近夕方頃に気が遠のくような感じがし、以前よりも疲れやすくなったとのことで相談に来られた。

認知症初期集中支援チームの在り方について。

「今年度もまた、よろしくお願いします。」 依頼があって引き受けた認知症初期集中支援チームのチーム医となって4年近く経つが、継続の意思確認がないまま、自動的に更新され続けてきた。 www.ninchi-shou.com 認知症初期集中支援チームとは、厚生労働省が策定した「…

雑談のトレーニング。

自分自身の凸凹に向き合う日々である。 象徴的なエピソードを一つ紹介する。 ーーーーー ある休みの日に、妻から 「〇〇先生の奥さん、いま家にいるかな?」 と訊ねられたので、 「僕は〇〇先生の奥さんの夫ではないから、それは分からない」 と答えた。すると妻は、 「そ…

RUSHのニール・パートが脳腫瘍で亡くなったというニュース。

また一人、好きなミュージシャンが逝った。

爆音とタバコと難聴。

なんとなく昔の椎名林檎の曲のような今回のタイトルだが、難聴についての自分語りである。 耳鼻科で受けた「感音性難聴」の診断 7年ほど前に、両耳で「キーン」と高い音が鳴っていることに気づいた。 この耳鳴は、初めて感じてから今日までの間、起きている間はほぼ途…

【2019年まとめ】7年間の認知症外来診断結果報告。

今年の締めくくりとして、2012年11月20日から2019年11月30日までの、約7年間の「認知症外来初診時における臨床診断結果」を報告する。

辛さの共有。

「先生は、私の話を信じていない!」 憤慨しながら強い口調で話す夫を前に、僕は今日も深いため息をつく。

薬物乱用頭痛に対する漢方薬の工夫。

今回紹介するのは、薬物乱用頭痛(medication overuse headache :MOH)に嵌まり、毎日のように市販鎮痛薬のイブを服用していたAさん(女性)である。多い日は一日3錠飲むこともあったそう。 薬物乱用頭痛とは、通常は急性期に使用する頭痛治療薬を乱用することにより、…

【症例報告】抗認知症薬ドネペジルによる発汗過多と血圧低下。

今日も今日とてドネペジルの減量に励んでいるが、今回紹介するのは、過量のドネペジルで易怒性亢進・発汗過多・血圧低下を来していた80代後半の女性。 コリンエステラーゼ阻害剤(ドネペジル・リバスチグミン・ガランタミン)の過量投与による易怒性亢進や消化器症状…

糖質制限9年目の採血結果と服用中のサプリメント、そして情報収集で気をつけていることについて。

前回の続き。 採血結果を、単位を省略して以下に示す。

【9年目】糖質制限の経過報告。

2011年の9月から糖質制限を始め、今年の9月で9年目に突入した。 これまでの丸8年間のうち、9割方はスーパー糖質制限(1日糖質摂取量60g以下)で過ごしてきた。途中で何かよっぽどのことがない限りは、今後も糖質制限を続けていく予定である。

課題の分離とポリファーマシー。

今回紹介するのは、かかりつけ医に何かを相談したらその度に薬が増えていくという悪循環に陥り、気づけば10種類の薬を服用するようになっていた80代の女性である。 薬が増えるに従って体調は悪化し訴えが増えるため、見かねた息子さんが転医希望で連れてきたとい…

時間泥棒。

当院通院中だった90歳のAさん。 あるとき転倒してB病院に入院となった。幸いにも治療経過は良好で、担当のC医師が退院前の病状説明で 「認知症だから、今後は独り暮らしは難しいでしょうね」 と家族に話したところ、家族から 「今まで認知症とは診断されていませんが…

一度治験に失敗したアデュカヌマブが復活する?

2019年3月に治験中止が発表され、エーザイの株価を急落させた抗認知症薬アデュカヌマブ。 アミロイド仮説失敗の最終通告かと思っていたが、ここにきて復活の話が出てきた。

死者の眼差し。

医者人生で獲得できるトロフィー(栄誉)とは何であろうかと考えたとき、世俗的なところでは

共感疲れと、共感できない疲れ。

対人援助職が患者や家族に寄り添おうとした時に、必要となるのが共感的態度である。 同じ状況を自分が直接経験していなくても、辛い事態に打ちひしがれている患者や家族を前に自分も辛い気持ちを感じながら、 「大変ですよね、お察し申し上げます」 と寄り添うのが…

稀にではあるが、歩いて来院するくも膜下出血の人がいる。

脳動脈瘤が破裂して発症する「くも膜下出血」という病気がある。 破裂した瞬間、「人生最悪の痛み」と表現されるほどの激しい頭痛に襲われ身動きが取れなくなるため、ほとんどの患者さんは救急車で病院に運ばれる。 だが、ごく稀に外来に歩いてこられるくも膜下出血の…

【症例報告】介入から10週間、退所の危機を乗り切った女性。

行く先々の施設から陽性症状が強く対応困難と言われる70代女性に介入した結果を報告する。 不要な薬を止め、効きそうな薬を入れ、具体的な介護の工夫を伝えるという、いつもの仕事である。

片頭痛の予兆時にセファドール(ジフェニドール)を内服。発作頻度が激減した症例。

めまいの治療で頻用される「メリスロン・アデホス・メチコバール」という薬がある。自分は勝手に「耳鼻科三点セット」などと呼んでいる 。 自分のめまい診療では、圧倒的に漢方の出番が多い。救急薬の五苓散を筆頭に、苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、真武湯などを駆使して対…

「くも膜下出血の術後に失明、執刀医と県を提訴」というニュース。

くも膜下出血と診断され徳島県立中央病院(徳島市)で手術を受けた県内の女性が、執刀医が注意義務を怠ったため両目を失明したなどとして、同病院を運営する県と執刀医に計約1億5600万円の損害賠償を求めて17日までに徳島地裁に提訴した。 訴状による…

【症例報告】前医でサジを投げられた方に治療介入したところ、半年で家族から「大きく困ることはなくなった」と評価された症例。

「これほど酷い陽性症状の人は、うちでは対応出来ません。紹介状を書くので別の病院に行って下さい」 ベテラン脳神経内科医にサジを投げられ途方に暮れていたご家族。 どのように介入し、改善していったかの一部始終を紹介する。状態変化に寄与したと思われる薬剤は…