鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【症例報告】認知症になっていくか分からない曖昧な状態を、曖昧なまま経過観察していく難しさ。

今回は、通院から1年ちょっとで来院が途絶えてしまった方を紹介する。 ADLは自立しているが、特に強い病識を持っているわけではないMMさん。ただし、奥さんは今後について漠然とした不安を感じていた。 奥さんの想いにMMさんが引きずられる形で通院が始まったが、結…

【症例報告】FTD(前頭側頭型認知症)へ移行するのかどうか、経過観察中の70代男性 。

診察していて受ける印象はATD(アルツハイマー)だが、頭部CTでは脳萎縮の左右差が明瞭でFTD(前頭側頭型認知症)を気にせざるを得ないという、ちょっと悩ましいKWさんをご紹介する。 画像所見よりも臨床的表現型を優先させる方針で普段診療しているが、脳萎縮の左右…

「医師は医療資源」という考えについて。

大分前の事になるが、ある講演を引き受けたことで経験した苦い思いについて書いてみる。 今回はいつもと違った感じにしたいので、実験的に一人称を「僕」としてみる。

【症例報告】モビコールが便秘に著効した、レビー小体型認知症の男性。

便秘薬のモビコールが著効したレビー小体型認知症の方を紹介する。 認知症患者さんの排泄への配慮は、特にDLBの方にとっては重要である。 DLBの方にほぼ必発の頻尿や便秘にうまく対処出来ないと、幻視や易怒といった介護をするうえで厄介な陽性症状が出現しやす…

【実験】便秘薬のモビコールを試してみた。

2018年11月20日、慢性便秘症の治療薬モビコールが薬価収載された。 今回は、モビコールの特徴と使用感、そして自分が考えるモビコールの良い適応について説明する。 モビコールとは? モビコールの特徴 モビコール®は、慢性便秘症に対して使用可能な国内初のポリエ…

【症例報告】インフルエンザ後に気力体力低下。補中益気湯で復活した90代後半の女性。

今回は、そろそろ100歳になろうとする超高齢女性を紹介する。 補中益気湯は、インフルエンザ罹患後の気力体力低下にしばしば著効する。また、病後の回復だけではなくインフルエンザの予防効果も期待出来る。*1 ちなみに、補中益気湯が奏功した人には清暑益気湯もお…

「軽度認知障害や軽度アルツハイマーに抗認知症薬(ChEI)を使用したら、改善よりも悪化した患者の方が多かった」という研究から考えたこと。

MCIや軽度アルツハイマー型認知症の方に初診時から積極的に抗認知症薬を処方することは滅多にない。 これまでの自身の臨床経験と複数の研究報告から、「抗認知症薬は取り扱い要注意の薬だ」と考えているからである。

抗パーキンソン病薬に疾患修飾作用がないのなら、DBSにもっと期待してもいいのではないだろうか。

Carenetから。 パーキンソン病へのレボドパ製剤投与、疾患修飾効果なし/NEJM|医師・医療従事者向け医学情報・医療ニュースならケアネット 初期のパーキンソン病患者に対するレボドパ+カルビドパの併用投与について、疾患修飾効果が認められなかったことが…

【症例報告】介入から3週間でひとまず落ち着いた、病型診断困難な超高齢者。

今回紹介する方は、病型診断困難な90代の女性YFさんである。 パーキンソン病、レビー小体型認知症、過活動膀胱、不眠症、慢性胃炎、便秘症などの病名で、他剤服用中であった。 3つの病院それぞれから薬が出ていたが、「かかりつけ医はどの先生ですか?」と聞いても家族は…

対人スキルに乏しい医者。

ざわめく中で複数の人から声をかけられ、それらに耳を傾け当たり障りのない返答を返すことが苦手だ。

【2019年】グルタチオン点滴(改)

変性疾患の治療にグルタチオンを用いるようになって5年ほど経った。 試行錯誤を続けているが、今の点滴療法の一端を御紹介する。

人生の師。

「『最期に、クリニックの皆さんに会いに行きたい』と父が言っています。連れて行ってあげてもよいでしょうか?」 Nさんの娘さんから連絡を受けたとき、終わりが近づいていることを知った。

【2018年まとめ】6年間の認知症外来診断結果報告。

今年の締めくくりとして、2012年11月20日から2018年12月18日までの、約6年間の「認知症外来初診時における臨床診断結果」を報告する。

気になっている側頭葉の画像所見について。

外来をしていると、「これはどういう意味があるのかな・・・?」という画像に出くわすことがある。そしてそれは、一つのシリーズのように続くことがあるから不思議だ。 以前、小脳の萎縮が気になるという記事を書いたが、 www.ninchi-shou.com 今回は側頭葉、特に内側面で…

ある認知症専門医に対する雑感。

「〇〇さんはレビー小体型認知症なので、唯一の保険適応薬であるアリセプトで治療をするのが決まりです。他の薬は出せません。」 ベテラン専門医のA医師が、アリセプトで副作用が出ていると感じて他剤への変更を希望した家族に言った言葉である。 この言葉を受けて、…

「認知症による介護拒否、食事拒否」で紹介となった92才女性。

独居していたMHさんが施設入所となったのは、4ヶ月前のこと。 既往歴に心筋梗塞と心不全があり、13種類の薬を使用中であった。

「医師の働き方改革」に対する雑感。

長時間労働の定義は、wikipediaによると 就業時間が週40時間・・労働基準法第32条に定める1週間の上限労働時間であり、1日8時間で月間では160時間になる。これ以上働くと時間外労働となり、賃金の割増率が上がり、時間外労働の基準点となる。 週間就業時間が6…

【症例報告】依存心が強く、頻回の夜間ナースコールが問題となっていた女性。

今回は、他院でアルツハイマー型認知症の診断にてドネペジルが処方されていたATさんに対して行った工夫を紹介する。 ちなみに、よくあることだがアルツハイマー型認知症ではなかったのでドネペジルは止めている。その上で行った工夫、ということである。 不安や抑…

【症例報告】ウインタミン著効例。

今回紹介するのは、施設入所中の80代男性MKさん。 同伴した施設スタッフ曰く、「易怒性が高く、どうにも集団生活にフィット出来ず対応に苦慮している」とのことだった。MKさんはこれまでにうつ病やアルツハイマー型認知症などの診断を受けていたが、自分が診察して感…

診断告知について。

先日、「脳が疲労しているので調べて欲しい」という男性が、一人で当院を受診した。頭痛ではなく、「脳が疲労している」である。 親との関係形成の未熟さ 過度とも思える医師への阿り 急に頭を抱えてうめき出す芝居がかった行動 このような特徴から、「衝動性の強いボー…

「認知症には抗認知症薬を」というドグマ。

今回は、90歳女性を例にあげながら、「とりあえず抗認知症薬処方」が無くならない理由を考えてみる。

【症例報告】頭痛で受診した女性。その後、ADHDに気づく。

今回紹介するHCさんは50代の女性。 今思い返すと、頭痛の相談で来られた初診時から、 相手の話を聞き終えずに自分の話を被せてくること 診察中に目が合わず手足をモゾモゾ動かしていること などが気にはなっていたのだが、これらの特徴(特性)を治療をする上で自…

【症例報告】プチ糖質制限を半年間継続。血糖下降薬と眠剤、脂質下降薬を卒業した男性。

今回紹介するのは、高血圧症・2型糖尿病・脂質異常症・不安神経症・不眠症・胃食道逆流症(GERD)の診断で、10年ほど内服治療をされていた60代男性。退職を機に当院にかかりつけ医を変更したいとのご希望で来院された。 これまでの食生活は至って"普通"。ラーメンが好き…

【8年目】糖質制限の経過報告。

2011年の9月から糖質制限を始めて、今年の9月で8年目に突入する。 これまで丸7年間のうち、9割方はスーパー糖質制限で過ごしてきた。途中で何かよっぽどのことがない限りは、今後も糖質制限を続けていく予定である。 今回は途中経過報告ということで、現在の食事と…

【症例報告】20代男性、ストラテラ内服で仕事の能率向上。

今回紹介するFTさんは、20代の男性である。 小学校低学年から60才過ぎの初老男性まで、当院で診ているADHD患者さんの年齢層は幅広く、みなそれぞれに生きづらさを抱えている。 薬に反応する方ばかりではないが、「生活を支援する」ということを大事にしながら付き合…

【実験】BASE PASTAの食前食後で血糖値を測定してみた。

久しぶりに血糖測定実験をしたので御報告。

【症例報告】鉄タンパク欠乏の20代女性、めまいで受診。

今回紹介するのは海外の方。 20代の女性ZCさんは、2年前に海外から日本に学びに来た留学生である。ある朝、起床時にめまいを感じたとのことで、友人に伴われて当院を受診された。 鉄タンパク欠乏は、洋の東西を問わず、ある程度の先進国に共通する病態なのかもしれな…

【症例報告】認知症の進行よりも妄想対策を優先させ、結果落ち着いている事例。

今回紹介するのは80代後半の女性SMさん。 もの忘れよりも妄想が生活上の大きな問題となっていた方で、治療に用いる薬剤は「認知症の進行を抑える薬」ではなく、「妄想を抑える薬」を選んだ。そして、妄想が一段落して家族に余裕が生まれてきたら、今度は栄養療法を少し…

初期集中支援チームの活躍。

支援相談員、保健師、看護師、医師など複数の専門職で結成される、「認知症初期集中支援チーム」という取り組みがある。 全国各地の地域包括支援センターには、家族や近隣住民から「うちの父親が認知症かもしれない」とか、「近所の〇〇さんの様子が最近おかしい」といっ…

ニーズとウォンツを分けて考える。

今回紹介するKTさんは、夜間のコールが頻回で易怒性も高く、施設側が困り果てていた男性である。 体力はかなり低下していたものの、歩行器を使い自力歩行は出来ていた方であったが、施設転居や肺炎による入院などイベントが重なった影響で、2ヶ月で歩けなくなって…