鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

認知症初期集中支援チームの在り方について。

「今年度もまた、よろしくお願いします。」 依頼があって引き受けた認知症初期集中支援チームのチーム医となって4年近く経つが、継続の意思確認がないまま、自動的に更新され続けてきた。 www.ninchi-shou.com 認知症初期集中支援チームとは、厚生労働省が策定した「…

雑談のトレーニング。

自分自身の凸凹に向き合う日々である。 象徴的なエピソードを一つ紹介する。 ーーーーー ある休みの日に、妻から 「〇〇先生の奥さん、いま家にいるかな?」 と訊ねられたので、 「僕は〇〇先生の奥さんの夫ではないから、それは分からない」 と答えた。すると妻は、 「そ…

RUSHのニール・パートが脳腫瘍で亡くなったというニュース。

また一人、好きなミュージシャンが逝った。

爆音とタバコと難聴。

なんとなく昔の椎名林檎の曲のような今回のタイトルだが、難聴についての自分語りである。 耳鼻科で受けた「感音性難聴」の診断 7年ほど前に、両耳で「キーン」と高い音が鳴っていることに気づいた。 この耳鳴は、初めて感じてから今日までの間、起きている間はほぼ途…

【2019年まとめ】7年間の認知症外来診断結果報告。

今年の締めくくりとして、2012年11月20日から2019年11月30日までの、約7年間の「認知症外来初診時における臨床診断結果」を報告する。

辛さの共有。

「先生は、私の話を信じていない!」 憤慨しながら強い口調で話す夫を前に、僕は今日も深いため息をつく。

薬物乱用頭痛に対する漢方薬の工夫。

今回紹介するのは、薬物乱用頭痛(medication overuse headache :MOH)に嵌まり、毎日のように市販鎮痛薬のイブを服用していたAさん(女性)である。多い日は一日3錠飲むこともあったそう。 薬物乱用頭痛とは、通常は急性期に使用する頭痛治療薬を乱用することにより、…

【症例報告】抗認知症薬ドネペジルによる発汗過多と血圧低下。

今日も今日とてドネペジルの減量に励んでいるが、今回紹介するのは、過量のドネペジルで易怒性亢進・発汗過多・血圧低下を来していた80代後半の女性。 コリンエステラーゼ阻害剤(ドネペジル・リバスチグミン・ガランタミン)の過量投与による易怒性亢進や消化器症状…

糖質制限9年目の採血結果と服用中のサプリメント、そして情報収集で気をつけていることについて。

前回の続き。 採血結果を、単位を省略して以下に示す。

【9年目】糖質制限の経過報告。

2011年の9月から糖質制限を始め、今年の9月で9年目に突入した。 これまでの丸8年間のうち、9割方はスーパー糖質制限(1日糖質摂取量60g以下)で過ごしてきた。途中で何かよっぽどのことがない限りは、今後も糖質制限を続けていく予定である。

課題の分離とポリファーマシー。

今回紹介するのは、かかりつけ医に何かを相談したらその度に薬が増えていくという悪循環に陥り、気づけば10種類の薬を服用するようになっていた80代の女性である。 薬が増えるに従って体調は悪化し訴えが増えるため、見かねた息子さんが転医希望で連れてきたとい…

時間泥棒。

当院通院中だった90歳のAさん。 あるとき転倒してB病院に入院となった。幸いにも治療経過は良好で、担当のC医師が退院前の病状説明で 「認知症だから、今後は独り暮らしは難しいでしょうね」 と家族に話したところ、家族から 「今まで認知症とは診断されていませんが…

一度治験に失敗したアデュカヌマブが復活する?

2019年3月に治験中止が発表され、エーザイの株価を急落させた抗認知症薬アデュカヌマブ。 アミロイド仮説失敗の最終通告かと思っていたが、ここにきて復活の話が出てきた。

死者の眼差し。

医者人生で獲得できるトロフィー(栄誉)とは何であろうかと考えたとき、世俗的なところでは

共感疲れと、共感できない疲れ。

対人援助職が患者や家族に寄り添おうとした時に、必要となるのが共感的態度である。 同じ状況を自分が直接経験していなくても、辛い事態に打ちひしがれている患者や家族を前に自分も辛い気持ちを感じながら、 「大変ですよね、お察し申し上げます」 と寄り添うのが…

稀にではあるが、歩いて来院するくも膜下出血の人がいる。

脳動脈瘤が破裂して発症する「くも膜下出血」という病気がある。 破裂した瞬間、「人生最悪の痛み」と表現されるほどの激しい頭痛に襲われ身動きが取れなくなるため、ほとんどの患者さんは救急車で病院に運ばれる。 だが、ごく稀に外来に歩いてこられるくも膜下出血の…

【症例報告】介入から10週間、退所の危機を乗り切った女性。

行く先々の施設から陽性症状が強く対応困難と言われる70代女性に介入した結果を報告する。 不要な薬を止め、効きそうな薬を入れ、具体的な介護の工夫を伝えるという、いつもの仕事である。

片頭痛の予兆時にセファドール(ジフェニドール)を内服。発作頻度が激減した症例。

めまいの治療で頻用される「メリスロン・アデホス・メチコバール」という薬がある。自分は勝手に「耳鼻科三点セット」などと呼んでいる 。 自分のめまい診療では、圧倒的に漢方の出番が多い。救急薬の五苓散を筆頭に、苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、真武湯などを駆使して対…

「くも膜下出血の術後に失明、執刀医と県を提訴」というニュース。

くも膜下出血と診断され徳島県立中央病院(徳島市)で手術を受けた県内の女性が、執刀医が注意義務を怠ったため両目を失明したなどとして、同病院を運営する県と執刀医に計約1億5600万円の損害賠償を求めて17日までに徳島地裁に提訴した。 訴状による…

【症例報告】前医でサジを投げられた方に治療介入したところ、半年で家族から「大きく困ることはなくなった」と評価された症例。

「これほど酷い陽性症状の人は、うちでは対応出来ません。紹介状を書くので別の病院に行って下さい」 ベテラン脳神経内科医にサジを投げられ途方に暮れていたご家族。 どのように介入し、改善していったかの一部始終を紹介する。状態変化に寄与したと思われる薬剤は…

当院の増患対策について。

患者さんが増えることは、経営者としては喜ぶべきことである。それは疑いない。

もって他山の石とすべし。

60代の女性、Aさんの話。 Aさんは5年ほど前から抑うつ傾向が、3年前から歩行困難が出現した。 手の震えを自覚するようになった2年前に、B病院の脳神経内科を受診するも特に診断は告げられなかった。 その後も歩行困難や腰痛・背中の曲がりが改善することなく進行し…

【症例報告】日中100回以上トイレに行く高齢男性。

他者から見て目的があるようには見えない、しかし延々と繰り返される行動のことを「常同行動(常同運動症)」という。 認知機能が衰えると常同行動が目立ってくる。ピック病(≒前頭側頭型認知症)の常同行動は有名だが、アルツハイマーでも他の認知症でも常同行動は見…

「早期発見、早期絶望」はご勘弁。

今回紹介するAさんは60代前半の男性。恐らく50代半ば頃に発症したと思われる意味性認知症の方である。 65歳未満で認知症を発症したら若年性認知症と定義されるが、若年性認知症という特別な認知症があるわけではない。

無事に運転免許を自主返納した80代男性。

高齢者の運転事故のニュースを目にする度、 「自分の患者さん達は大丈夫だろうか?」 と思わずにはいられない。

「投薬は侵襲行為」という自覚。

薬を処方するということについて、思うところを書く。

医者が自分を救うには。

もうだいぶ、昔の話。 ある50代女性の想い出 ある50代の女性Aさんが、当時勤務していた離島のある病院に救急搬送されてきた。 「3日前に突然頭痛が始まり、それからずっと頭が痛くて吐き続けている」とのことだった。 CTを撮ったところ、予想通りくも膜下出血だった。…

【症例報告】「認知症疑い」と紹介された、発達障害の60代男性。

今回紹介する60代の男性Yさんは、注意欠陥の突出した発達障害の方である。 途中に少しずつフェイクを入れているが、おおむねカルテから引用した経過を記載している。Yさんの持つ「生きづらさ」が少しでも伝わればと思う。

客単価と患者単価。

先日、開業時に借り入れをした銀行の担当者(代替わりして4代目ぐらい?)から 「先生。開業前の事業計画で掲げていた予想患者単価ですが、最近は下がっていますね。何か理由はありますか?」 と聞かれた。 ここでいう「患者単価」とは、『患者さん一人が、一回の受診で使う…

止めたドネペジルを再開すべきかで悩む、若手医師。

ある医師専用の掲示板で、 「全ての薬を中止したら、せん妄が改善した。その薬の中にはドネペジルがあったのだが、再開すべきか?するとしたら、どのようにすべきか?」 という若手医師からの質問に対する、大学病院医師と一般医師の見解が述べられていた。 「薬を止めた…