鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【症例報告】記憶力低下を主訴に受診した発達障害の女性。鉄補充にて改善。

40代女性のOMさんは、物忘れを主訴に外来を受診した方である。 話を伺う限り、恐らく親が発達障害で結婚相手も発達障害、OMさんの子も発達障害と思われた。この見立てについては、OMさん自身も「やっぱり・・・」と深く同意していた。 親や結婚相手、そして子の発達特性を…

夫に心を閉ざした妻。

Fさんは70代の女性である。 「数分前の記憶が抜け落ちる」、「同じものを何度も買ってくる」という訴えで、夫に伴われてもの忘れ外来を受診した。 多少の自覚はあったものの本人は困っておらず、「困った困った」と言い募っていたのは夫だった。

【症例報告】コンサータで眠気が減り、仕事の能率も向上した20代男性。

Kさんと同じ職場で働くAさんは、Kさんが発達障害に違いないと確信していた。 Aさんや周囲のスタッフは様々な提案や指導をKさんに行ってきたけれども改善がなく、職場全体が困っていた。 そこでAさんは、職場が困っている彼の特性や仕事ぶりを列挙した情報提供書を…

責任と分別。

世の中には、健康や病気に関する様々な情報が溢れている。 何も気にしていないという人は恐らく少数で、多くの人が何らかの健康情報を耳にしては試し、上手くいったり失敗したりしながら日々生きている。

【症例報告】頭部CTは前頭側頭型認知症的で、長谷川式スケールはアルツハイマー型認知症的。診断は・・・。

今回紹介するUAさんは、パッと見の印象と、長谷川式スケールから受ける印象、そして頭部CTから受ける印象がそれぞれ乖離していたという、やや珍しいケースである。 認知症の臨床的表現型は「パッと見」にかなり現れると思っているので、初見の印象は大切にしている。 …

【症例報告】突然せん妄を起こした90代の男性に行った治療。

1ヶ月前のある日の夜から突然、おかしなことを言いながら毎晩家の中を膝行って徘徊するようになった90代の男性MTさん。 頭部CTを行ったところ、脳梗塞痕を多数認めた。

主介護者の無慈悲な一言。

病気を切っ掛けに、外出しなくなってしまったAさんを紹介する。 家に引きこもり、日がな預金通帳を眺めているうちに「俺の預金がこんなに少ないはずはない。誰かに盗られたに違いない!」と妄想を抱き、ついには銀行に怒鳴り込むようになった。 何度か警察沙汰にもな…

「アルツハイマー型認知症の治療薬、アデュカヌマブの治験中止」というニュースに感じた既視感。

アリセプト発売が1997年、リバスタッチパッチ、レミニール、メマリーが日本で発売されたのが2011年。 未だに、新たなアルツハイマー型認知症の治療薬は世に出てこない。そして先日、期待されていたアデュカヌマブの治験中止が発表された。

【症例報告】栄養療法併用で約3年間経過を追ってきた意味性認知症の方。

今回紹介するHTさんは、約3年間経過を追っている意味性認知症の方である。遠方から来院されるのだが、途切れなく今でもお付き合いが続いている。

【症例報告】認知症になっていくか分からない曖昧な状態を、曖昧なまま経過観察していく難しさ。

今回は、通院から1年ちょっとで来院が途絶えてしまった方を紹介する。 ADLは自立しているが、特に強い病識を持っているわけではないMMさん。ただし、奥さんは今後について漠然とした不安を感じていた。 奥さんの想いにMMさんが引きずられる形で通院が始まったが、結…

【症例報告】FTD(前頭側頭型認知症)へ移行するのかどうか、経過観察中の70代男性 。

診察していて受ける印象はATD(アルツハイマー)だが、頭部CTでは脳萎縮の左右差が明瞭でFTD(前頭側頭型認知症)を気にせざるを得ないという、ちょっと悩ましいKWさんをご紹介する。 画像所見よりも臨床的表現型を優先させる方針で普段診療しているが、脳萎縮の左右…

「医師は医療資源」という考えについて。

大分前の事になるが、ある講演を引き受けたことで経験した苦い思いについて書いてみる。 今回はいつもと違った感じにしたいので、実験的に一人称を「僕」としてみる。

【症例報告】モビコールが便秘に著効した、レビー小体型認知症の男性。

便秘薬のモビコールが著効したレビー小体型認知症の方を紹介する。 認知症患者さんの排泄への配慮は、特にDLBの方にとっては重要である。 DLBの方にほぼ必発の頻尿や便秘にうまく対処出来ないと、幻視や易怒といった介護をするうえで厄介な陽性症状が出現しやす…

【実験】便秘薬のモビコールを試してみた。

2018年11月20日、慢性便秘症の治療薬モビコールが薬価収載された。 今回は、モビコールの特徴と使用感、そして自分が考えるモビコールの良い適応について説明する。 モビコールとは? モビコールの特徴 モビコール®は、慢性便秘症に対して使用可能な国内初のポリエ…

【症例報告】インフルエンザ後に気力体力低下。補中益気湯で復活した90代後半の女性。

今回は、そろそろ100歳になろうとする超高齢女性を紹介する。 補中益気湯は、インフルエンザ罹患後の気力体力低下にしばしば著効する。また、病後の回復だけではなくインフルエンザの予防効果も期待出来る。*1 ちなみに、補中益気湯が奏功した人には清暑益気湯もお…

「軽度認知障害や軽度アルツハイマーに抗認知症薬(ChEI)を使用したら、改善よりも悪化した患者の方が多かった」という研究から考えたこと。

MCIや軽度アルツハイマー型認知症の方に初診時から積極的に抗認知症薬を処方することは滅多にない。 これまでの自身の臨床経験と複数の研究報告から、「抗認知症薬は取り扱い要注意の薬だ」と考えているからである。

抗パーキンソン病薬に疾患修飾作用がないのなら、DBSにもっと期待してもいいのではないだろうか。

Carenetから。 パーキンソン病へのレボドパ製剤投与、疾患修飾効果なし/NEJM|医師・医療従事者向け医学情報・医療ニュースならケアネット 初期のパーキンソン病患者に対するレボドパ+カルビドパの併用投与について、疾患修飾効果が認められなかったことが…

【症例報告】介入から3週間でひとまず落ち着いた、病型診断困難な超高齢者。

今回紹介する方は、病型診断困難な90代の女性YFさんである。 パーキンソン病、レビー小体型認知症、過活動膀胱、不眠症、慢性胃炎、便秘症などの病名で、他剤服用中であった。 3つの病院それぞれから薬が出ていたが、「かかりつけ医はどの先生ですか?」と聞いても家族は…

対人スキルに乏しい医者。

ざわめく中で複数の人から声をかけられ、それらに耳を傾け当たり障りのない返答を返すことが苦手だ。

【2019年】グルタチオン点滴(改)

変性疾患の治療にグルタチオンを用いるようになって5年ほど経った。 試行錯誤を続けているが、今の点滴療法の一端を御紹介する。

人生の師。

「『最期に、クリニックの皆さんに会いに行きたい』と父が言っています。連れて行ってあげてもよいでしょうか?」 Nさんの娘さんから連絡を受けたとき、終わりが近づいていることを知った。

【2018年まとめ】6年間の認知症外来診断結果報告。

今年の締めくくりとして、2012年11月20日から2018年12月18日までの、約6年間の「認知症外来初診時における臨床診断結果」を報告する。

気になっている側頭葉の画像所見について。

外来をしていると、「これはどういう意味があるのかな・・・?」という画像に出くわすことがある。そしてそれは、一つのシリーズのように続くことがあるから不思議だ。 以前、小脳の萎縮が気になるという記事を書いたが、 www.ninchi-shou.com 今回は側頭葉、特に内側面で…

ある認知症専門医に対する雑感。

「〇〇さんはレビー小体型認知症なので、唯一の保険適応薬であるアリセプトで治療をするのが決まりです。他の薬は出せません。」 ベテラン専門医のA医師が、アリセプトで副作用が出ていると感じて他剤への変更を希望した家族に言った言葉である。 この言葉を受けて、…

「認知症による介護拒否、食事拒否」で紹介となった92才女性。

独居していたMHさんが施設入所となったのは、4ヶ月前のこと。 既往歴に心筋梗塞と心不全があり、13種類の薬を使用中であった。

「医師の働き方改革」に対する雑感。

長時間労働の定義は、wikipediaによると 就業時間が週40時間・・労働基準法第32条に定める1週間の上限労働時間であり、1日8時間で月間では160時間になる。これ以上働くと時間外労働となり、賃金の割増率が上がり、時間外労働の基準点となる。 週間就業時間が6…

【症例報告】依存心が強く、頻回の夜間ナースコールが問題となっていた女性。

今回は、他院でアルツハイマー型認知症の診断にてドネペジルが処方されていたATさんに対して行った工夫を紹介する。 ちなみに、よくあることだがアルツハイマー型認知症ではなかったのでドネペジルは止めている。その上で行った工夫、ということである。 不安や抑…

【症例報告】ウインタミン著効例。

今回紹介するのは、施設入所中の80代男性MKさん。 同伴した施設スタッフ曰く、「易怒性が高く、どうにも集団生活にフィット出来ず対応に苦慮している」とのことだった。MKさんはこれまでにうつ病やアルツハイマー型認知症などの診断を受けていたが、自分が診察して感…

診断告知について。

先日、「脳が疲労しているので調べて欲しい」という男性が、一人で当院を受診した。頭痛ではなく、「脳が疲労している」である。 親との関係形成の未熟さ 過度とも思える医師への阿り 急に頭を抱えてうめき出す芝居がかった行動 このような特徴から、「衝動性の強いボー…

「認知症には抗認知症薬を」というドグマ。

今回は、90歳女性を例にあげながら、「とりあえず抗認知症薬処方」が無くならない理由を考えてみる。