他院より転医してこられた80代男性のAさんを紹介する。 約20年前に脳幹出血を発症して以降、Aさんは人が変わったようになってしまった。軽度の麻痺と体幹失調が後遺したが、それらの身体症状よりも、夜の叫びや自傷行為が止まないことが家族の悩みだった。 取り組…
カルテからの抜粋(改変あり)による一例報告で、当方がどのように考え治療を行っているかの一端を紹介する。 薬が一気に状況を好転させることは時に経験するが、それはあくまでも適切な介護が前提にあっての話である。施設管理者は特に、このことに留意してほしい。…
今回紹介する方の処方ポイントを、簡単にまとめる。「何かを足したら、何かを引く」のはいつも通り。 抑肝散はタイミングが大事 ベンゾジアゼピンの多重処方は避ける トラゾドンの抗不安作用・睡眠作用は侮れない(特に高齢者) 抑肝散の使い方については、次回まとめ…
今回紹介する超高齢女性は、なかなかに手強い人だった。 手応えのあったウインタミンが副作用で使えなくなったのは痛かったが、最終的には、初期から入れていたトラゾドンが、睡眠のみならず全体を上手くまとめてくれた。
薬を処方するということについて、思うところを書く。
1ヶ月前のある日の夜から突然、おかしなことを言いながら毎晩家の中を膝行って徘徊するようになった90代の男性MTさん。 頭部CTを行ったところ、脳梗塞痕を多数認めた。
易怒や興奮を抑えるために、かなりの抑制系薬剤が投入された状態で他院から紹介があったHKさん。 抗精神病薬の影響と思われる身体の固さ、表情の乏しさ(≒薬剤性パーキンソニズム)を認めた為、「精神系の薬が多すぎるので、減らした方がいいと思うのですが」とご家族…
軽度認知障害(MCI)の男性を紹介。 脳萎縮に明瞭な左右差があるため*1、今後MCIからFTLDに移行していくのかを注意深く見守っている。 *1:脳萎縮に明瞭な左右差を認めた場合、前頭側頭葉変性症(FTLD)の可能性を念頭に置く。
今回は、PSP(進行性核上性麻痺)+iNPH(特発性正常圧水頭症)を合併していたNMさんをご紹介する。 前医の脳神経外科でPSPを指摘され、グルタチオン点滴が開始されていたが、効果は感じていなかった。 当院で初回1600mgでグルタチオン点滴を行ったところ即座に歩行に…
進行性核上性麻痺(PSP)とは、 垂直方向の眼球運動障害 姿勢障害による易転倒性 頚部体幹優位の固縮や寡動などのパーキンソン症状 認知機能低下 などを主症状とする、進行性の神経変性疾患である。詳しくは、前回記事をご参考に。 今回は、PSPの頭部画像所見を紹介…
進行性核上性麻痺(PSP)とは、 垂直方向の眼球運動障害 姿勢障害による易転倒性 頚部体幹優位の固縮や寡動などのパーキンソン症状 認知機能低下 などを主症状とする、進行性の神経変性疾患である。 「目は見開き気味で認知機能低下があり、身体は固い。首を後ろに…
初めてお会いしたときは89歳だったHMさんが、先日93歳になった。 当院初診の時点で、既にアルツハイマー型認知症の診断で10年間アリセプト5mgを内服され、メマリー20mgが加わったが、特に何かが改善したということはなく、少しずつもの忘れは進行していったようだ…
約3年経過をみてきたMYさんが先日、心不全で入院となった。
今回ご紹介するNMさんは、高度認知症だった90歳の女性。夫(軽度認知障害)と共に高齢者住宅に入居していた。 3ヶ月以上も不穏不眠で奇声を上げ、他の入居者から苦情が出るほどであった。 初診時は意思疎通が全く取れず評価も困難であったが、施設スタッフと細かく連…
もの忘れと、妻への易怒性発揮を主訴に来院されたKWさん。 頭部CTで水頭症の画像所見と脳萎縮の左右差を同時に見つけた時、将来必要になるかもしれない工夫について考えてみる。
一発勝負の外来というのは、何度経験しても緊張する。 今回は、奥さんと娘さんに付き添われて飛行機で〇〇県から来院されたYKさんをご紹介する。
認知症外来をやっていると、時に「以前の母(父)に戻りました」という言葉を頂く。 改善例は多く経験してきたが、元に戻ったという評価はそうそう頂けないので、そう言われたときの嬉しさはひとしおである。
最初に変性疾患の診断を下した医者が、その患者さんを最後までフォローすることは、恐らくだが殆どないと思われる。 施設入所などをきっかけに主治医が変更になると、病名と薬は概ね引き継がれる。 しかし、最初に診断した医者だけが持ち得た診断に当たっての…
支える人が周囲にいるのかどうか。いるならば、その人達に何をお願いすべきか。いなければ、どのように支援体制を構築していけばよいのか。薬は必要なのか。必要でないならば、どのようにして病院とのつながりを保てばよいのか。薬が必要なら、その量や内服回数はどの…
以前ブログで紹介した方の続報。 www.ninchi-shou.com 同記事最後の部分を引用する。
今回紹介するのは、前医で認知症(病型不明)と診断されて抗認知症薬を内服中だった方。 ご家族のご希望で当院にお引っ越しとなったのだが、運転免許にまつわる問題の難しさを改めて感じたので書いてみる。
認知症の進行に伴い高まる徘徊のリスク。 夕方症候群のように特定の時間帯でソワソワし始めることもあれば、前触れなくいきなりいなくなることもある。
自覚的、他覚的改善が得られているようです(^^)/
複数の病態が共存している場合、何から手を付けるかは重要である。 緊急で改善すべき点があれば、そこから取り組む。さし当たっての緊急性が無ければ、早めの是正が望ましい点を見つけて、そこに取り組むようにしている。
以前ブログで紹介した方の、その後の経過について報告。 フェルガードの種類や用量を変更したり、抗認知症薬を加えたりなどしながら経過をみている。 幸い、易怒性を含む周辺症状が全く無い方である。長谷川式テストの点数は変動しながら低下しても、全体的には穏や…
ある日の外来に飛び込み受診された方。 他院入院中に認知症と診断され薬が始まったが、このままでいいのか心配になって退院同日に娘さん夫婦が連れてきた。
病歴や治療経過、症状の経過、画像所見。あちこちに散在するヒントをかき集めて考える。
今回は考察抜きのケースレポート。 その日の診察終了直前に飛び込み紹介受診。画像データは持参のMRI軸位断のみ。 診察時間もデータも十分とは言えなかったが、初診から2週間後にはご家族が十分満足できるぐらいまで改善してくれた。 ちなみに、認知症外来では今回…
慢性硬膜下血腫とは、脳を包む硬膜という膜の下に古い血液成分と水が混ざり合った袋が形成され、その袋が脳を圧迫して麻痺や頭痛、認知症のような症状を呈する病気である。
純粋な特発性正常圧水頭症(iNPH)よりも、iNPH+レビー小体型認知症などの合併症例を治療する数が増えている。 胃瘻の適応とは?胃瘻を考える前に出来ること。 - 鹿児島認知症ブログ 今回は、PSP+iNPHの治療経過を報告する。
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