鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

鹿児島認知症ブログの使い方。

「鹿児島認知症ブログ」にお越し頂き、ありがとうございます。

 

この記事では、当ブログの使い方と注意点についてまとめています。

 

「カテゴリー」と「検索」の利用を!

 

認知症はアルツハイマー型認知症だけではなく、様々なタイプが存在します。

 

PC版では右カラムの真ん中あたり、Mobile版ではスクロールしていくと下の方に「カテゴリー」が出てきます。

 

各ブログ記事は何らかのカテゴリーに属しており、例えば「アルツハイマー型認知症(ATD)」のカテゴリーを選択すると、アルツハイマー型認知症に関連した記事が並びますので、目的の情報に辿り着きやすくなると思います。

 

また、ブログTOPページの右にある検索ボックスも是非ご利用下さい。

認知症 検索


カテゴリーを細かく分けすぎると分かりにくくなるため、アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭葉変性症・特発性正常圧水頭症以外は「その他の認知症」に入れました。軽度認知障害(MCI)や、 脳血管性認知症(VaD)も「その他の認知症」に入れてあります。

 

進行性核上性麻痺(PSP)や大脳皮質基底核変性症(CBD)なども「その他の認知症」に入っていますが、検索ボックスから「PSP」・「CBD」など検索した方が、早く辿り着けると思います。

 

記事の読み方

 

具体的な症例を提示する際、例えば以下のように記載しています。

 

(診察所見)
HDS-R:19.5
遅延再生:0
立方体模写:OK
時計描画テスト:1回目は半分だけ 2回目は10時10分指摘で訂正可
IADL:6
改訂クリクトン尺度:12
Zarit:8
GDS:0
保続:なし
取り繕い:軽度あり
病識:あり
迷子:
DLB中核症状: 1/4 調子の波
rigid:右にわずかにあり?
幻視:なし 幻聴あり?
FTD中核症状: 1/6
語義失語:なし
頭部CT所見:わずかに右>左萎縮
介護保険:取得済み、利用なし
胃切除:なし
歩行障害:なし
排尿障害:なし
易怒性:なし
過度の傾眠:ややあり
 
(診断)
ATD:△
DLB:△
FTLD:
その他:MCI

 

これらを、一つずつ解説します。


HDS-R

長谷川式スケールのこと。30点満点で21点以下だと認知機能低下あり、と考える。ただし、「21点以下=認知症」とは限らないことに注意。


遅延再生

長谷川式スケールの中には「桜・猫・電車」といった3単語を数分後に再生して貰う項目がある。この項目で0/6や1/6といった点数しかとれないと、アルツハイマー型認知症の可能性を考える。


立方体模写

透視立方体を模写するテスト。頭頂葉機能が衰えていたり意識障害があると、不正確な模写となる。中等度以上進行したアルツハイマー型認知症の方は苦手とされる。


時計描画テスト

円を描き、中にアナログ時計を描き、最後に10時10分を短針長針で表現して貰うテスト。レビー小体型認知症の方は数字が円外にはみ出ていくなど、認知症の病型で描画失敗の仕方が変わる。病型診断の一助となる。


IADL

Instrumental Activities of Daily Livingの略。

買い物・料理・掃除・薬の管理・お金の管理・趣味活動・公共交通機関関連の利用・車の運転・電話をかけるなど、日常生活の多岐にわたる活動をこなせているかを観る指標。

 

初診時で既にIADLが低ければ、介護サービスの導入を早めに進めている。


改訂クリクトン尺度

56点満点のスケールで、点数が高いほど認知機能低下を示唆し、また家族負担が大きいことが窺われる。

 

www.ninchi-shou.com


Zarit

家族負担度を測るためのスケール。当院では短縮版を利用している。Zaritの点数が高いほど家族が疲弊していると考え、薬物治療含め介入をスピーディに進めている。


GDS

Geriatric Depression Scaleの略で、高齢者の抑うつの有無をチェックするスケール。15点満点で10点以上で抑うつ状態と判断する。認知症と老年期うつの鑑別にも役立つ。


保続

思考の切り替えが出来ないため、話の流れに関係なく同じことを言う様。アルツハイマー型認知症の患者によく認められる。


取り繕い

「言い訳がましくなった」と表現されることが多いが、これもアルツハイマー型認知症の患者さんに比較的多く認める特徴である。


病識

「自分がどこかおかしい」という感覚。レビー小体型認知症の方は強い病識を持つことが多いが、アルツハイマー型認知症の方は病識が欠けていることが多い。


迷子

視空間認知機能が衰えると道に迷う。どのタイプの認知症でも進行すれば迷子になり得るが、アルツハイマー型認知症の方は比較的早期〜中期に道迷いが出現しやすい。


DLB中核症状

認知の変動・パーキンソニズム・幻視・レム睡眠行動異常の4つの症状のうち、2つ以上を認めればレビー小体型認知症の可能性あり。


rigid

両手の肘の曲げ伸ばしを行い、カクカクとした固さを認めれば、パーキンソニズムありと判断している。


幻視

”ありありとした”幻がみえるかどうかは、レビー小体型認知症の診断において重要。ただし、アルツハイマー型認知症でも進行すれば幻視は見えることはある。


FTD中核症状

6つの中核症状(問診票記載)のうち3つ以上を満たせば前頭側頭型認知症の可能性あり、と判断している。


語義失語

物の名前、意味などが分からなくなること。意味性認知症では早期に、アルツハイマー型認知症では中期以降で出現する。


頭部CT所見

正常圧水頭症の画像所見であるDESH、脳梗塞痕や脳出血痕などを認めれば記載している。


介護保険

介護保険の申請や利用状況の確認は重要。


胃切除

胃切除の既往があれば、ビタミンB12不足や鉄不足を疑う。いずれも認知機能低下をきたすため。


歩行障害

レビー小体型認知症を始めとする歩行障害系の認知症の可能性を探る。易転倒性があれば、住宅改修や介護用具導入を進める必要がある。


排尿障害

排尿障害はADLに大きく影響するが、レビー小体型認知症や多系統萎縮症では自律神経障害から早期に排尿障害をきたしやすい。


易怒性

患者が怒りっぽいほど家族は困る。抑制系薬剤の使用を早期に検討するかどうかは、易怒性の有無で決めている。


過度の傾眠

これがあれば、レビー小体型認知症を念頭に置く。

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そして、ATD(アルツハイマー型認知症)、DLB(レビー小体型認知症)、FTLD(前頭側頭葉変性症)、その他の認知症、のいずれに当てはまるのかを最後に記載しています。

 

これらを念頭に記事を読んで頂けたら理解が深まると思います。

 

当院で使用している問診票については、以下をご参考下さい。

 

www.ninchi-shou.com

 

「認知症理解に役立つフィクション」としてご利用下さい

 

このブログでは様々な症例を提示していますが、個人情報への配慮上、必要に応じて年齢や家族背景、経過については変更したりぼかしたりしています

 

医学的な内容については正確を期しているつもりですが、個人的な意見も大量に含まれています。

 

あくまでも「フィクションを含む一医者の体験記」として当ブログをご利用・ご参考頂けたらと思います。