鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

2021-01-01から1年間の記事一覧

【2021年まとめ】9年間の認知症外来診断結果報告。

今年の締めくくりとして、2012年11月20日から2021年11月30日までの、約9年間の「認知症外来初診時における臨床診断結果」を報告する。 「アルツハイマー型認知症+特発性正常圧水頭症」といったような複数の認知症疾患を合併しているケースや、進行性核上性麻痺や大…

【症例報告】特発性頭蓋内圧亢進症(疑)の改善例。

自覚的なもの忘れを訴えて受診された、やや肥満気味の70代女性Aさん。 同伴した娘さん的には「年齢相応だと思いますけど・・・」とのことだったが、 診察室への入室時にややふらついていた 質問に対する返答がどこかボンヤリとして噛み合っていない 泌尿器科で過活動…

コロナワクチン接種後の頭痛、そしてワクチン接種にまつわる諸々について。

片頭痛、緊張型頭痛、薬物乱用頭痛、群発頭痛など日々多くの頭痛患者を診ているが、最近は連日のようにmRNAワクチン接種後頭痛に遭遇している。 mRNA vaccine-induced headace、略してMIH(勝手に命名)。

脳神経外科無床クリニックの一日②

あるクリニックの、ある一日。 トップバッターは高血圧症をフォローしている80代後半の元気な女性Sさん。コロナワクチン2回目を接種した2週間後に、人生最悪の倦怠感が出現した。 血液検査で白血球とCRP高値を確認。入院してもらうか悩むも、その後1日単位の経過観…

Youtubeに嵌まる中年男性を見て、同じく中年男性が感じたこと。

「Youtubeを見ていた夫が、急に顔色が悪くなり食事を摂らなくなったので診て欲しい」と、妻に連れられて50代男性が来院した。 僕の目の前に現れたのは、「デスラー総統か?」ってぐらいに顔色が悪い人だった。

【症例報告】慢性頭痛に著効したデパケンR。

当院には、頭痛の相談で看護師さんや介護福祉士さんがよく訪れる。 1735名の医療・介護従事者を対象としたアンケート調査では、特に看護師と介護福祉士において慢性頭痛有病率が高いことが明らかとなっている。*1 *1:「医療福祉従事者における慢性頭痛の現状と業務…

誰がためにワクチンは打たれる

新興感染症で世界が混乱している。 死者数が他の国と比べて桁違いに少ない日本でも、それは例外ではない。 テレビを付けると毎日のように「今日は○○人の感染者が報告されました。2週間後には・・・!!」と、ワイドショーのコメンテーターが声を張り上げている。

術前術後の指示を自分で出せない外科医。

当院かかりつけの認知症患者さんが入院し手術が必要になったと、担当ケアマネージャーから連絡があった。 その時点ではまだ入院先からの連絡はなかったが、先に当院での外来経過をまとめた診療情報提供書をFAXで送った。

【症例報告】薬物乱用頭痛とADHD(注意欠如・多動症)。

鎮痛薬を必要以上に飲んでいると、そのうち薬物乱用頭痛*1に嵌まることがある。 頭が痛いから鎮痛薬を飲むのは皆同じだが、鎮痛薬の使用回数が増えてきたときに、セルフモニタリングが出来る人と出来ない人では対応が分かれる。 *1:鎮痛薬乱用で頭痛が悪化してい…

【症例報告】糖質制限のみでHbA1c10.1→5.7に改善した男性。

知人から当院受診を勧められ、40代の男性が来院した。 人間ドックでHbA1c10.1、その他脂肪肝や高血圧などを指摘され内服治療を勧められているが、「出来れば薬は飲みたくない」とのことだった。 半年間、ほぼスーパー糖質制限で取り組んだ結果が以下。

アメリカで承認されたアデュカヌマブ(アデュヘルム)について。

メマンチン以来、実に18年ぶりにFDA(アメリカ食品医薬品局)がアルツハイマー病の新薬を承認した。 製品名は「アデュヘルム」。一般名はアデュカヌマブ。 アルツハイマー発症の原因とされるAβ(アミロイドベータ)を標的とした、モノクローナル抗体薬である。

「認知症者へのコロナワクチン接種に同意します」という同意書。

5月26日に、厚生労働省が「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要」という報告書を出した。 厚生労働省ページへのリンク 前回のブログでも懸念は表明したが、予想通り死亡者数は増えていた。

「コロナワクチンの接種は任意」という原則は、認知症高齢者で守られるだろうか。

コロナワクチン(コミナティ筋注)の接種が進んでいる。 厚生労働省の発表する「先行接種者健康調査」によると、先行して接種した約2万人の医療従事者における副反応の出現率や種類は以下のようになっている。 既に各所で指摘されているように、2回目の摂取後の全身…

【症例報告】語義失語、左半側空間無視、左上肢の肢節運動失行を呈していた高齢女性。

Nさんは、夫と二人で暮らす80代後半の女性である。 火の消し忘れ、冷蔵庫の開けっぱなし、料理の味付けの変化など気になることが増えてきており、また、内服中の薬が多すぎるのではないかとのことで、御家族に伴われて受診された。

【症例報告】1年間でHDS-Rが10点上昇したレビー小体型認知症の女性。

レビー小体型認知症の80代の女性、Aさんを紹介する。 余計な薬を省き、必要と思われる薬を少量使用するといういつものやり方で、当院に転医してから1年でHDS-Rは18点→28点に上昇した。 Aさんにはドパコールがとても良く効いてくれたのだが、ドパミン不足の方にドパ…

減薬医としての矜持。

Aさんは施設入所中の方だ。 かかりつけの病院で何かを相談するたびに薬が増え、その都度具合が悪くなっていくという状況に業を煮やした家族が、「ちゃんと診断して、出来れば薬を減らして欲しい」と希望してAさんを僕の所に連れてきた。 前医の診断はパーキンソン病…

前頭側頭型認知症(意味性認知症)、5年の経過。

前頭側頭型認知症(意味性認知症)のHさんを紹介する。 これまで2度、Hさんに関する記事は書いている。

患者にとって危険な医師。

レビー小体型認知症の方にドネペジルを新規処方、3週間で10mgまで増量し放置した脳神経内科医について書いた前回のブログを読まれた方からお手紙を頂いたので、一部抜粋して紹介する。

あるレビー小体型認知症の女性に起きた悲劇。

若干の前傾姿勢に影のある表情から、初見でレビー小体型認知症だろうと推測することは難しくなかった。 Aさんは70代で独居の女性である。

新型コロナウィルスワクチンについて。

先日、医師会から新型コロナウィルスワクチンに関する「意向調査」なるFAXが届いた。 (゚A゚;)ゴクリ 前のことがあるので、今回は慎重に臨む。

狂気。

Aさんは、同居する夫と息子さんに伴われて来院した。 「高齢となった父母の、念のための診察」という体であったが、お子さんからは事前に「精神病と思われる母親を診て欲しいが、自分一人の診察だと感づくと絶対に受診しない人なので、父親も連れて行くから形だけでも…