無床クリニックを開業して3年。 患者の数は増え、浩司は忙しい日々を送っていた。 最近はネガティブなコメントが増えてきたので放置しているが、以前はネットの口コミ一つ一つに丁寧なコメントを返していた。 初めて☆5を貰った時の嬉しさは、今でも覚えている。 急…
人が変わったように不穏になるのを何とかして欲しいと、施設入所中の超高齢女性(以下、Aさん)がスタッフに付き添われて来院した。 紹介状には、「精神科への入院を強く勧めましたが、家族がどうしてもそちらを希望したので紹介します」と書かれていた。 ちなみに、施…
当ブログの開設は2014年3月21日で、当院開設は2016年4月22日。 ブログ開設から10年、開業から8年が経過した。 月並みだが、"あっという間"である。
紅麹サプリメントの報道に関して思うこと。 報道とは客観的事実を伝えることだが、現時点で言える客観的事実とは、 【腎不全で入院した患者が、紅麹サプリメントを飲んでいた】 である。 原因物質なるものが特定されないまま、一企業が一瞬にして追い詰められてい…
あるクリニックの、ある一日。*1 30代女性。 高校生の頃からの片頭痛で、多いときには月に10回以上の発作がある。幾つかの予防薬を内服するも手応えなく、値段のことで逡巡していたが意を決してエムガルティ(片頭痛予防注射)を打ったのが先月だった。 *1:年代、性別、…
Chat GPT4(生成AI)に課金し、自分専用のbotを作って活用の道を探っている。 正解を求めるではなく、あるトピックについて肯定的、否定的、両方の見解をAIに語らせて吟味するのが、現時点での自分の主な使い方となっている。 将来的には、当ブログの過去記事を参考に…
先日、はてなブログから一通のメールが届いた。 「1年前のブログ「亡国のスローガン。」などを振り返りませんか?」
通勤途中、道行く小学生に「おはよう」と声をかけた。 怪訝そうにチラリとこちらを見た彼は、何も言わずに足早に去っていった。 まあ、そんなもんだろう。 「知らない人に声をかけられたら立ち去りなさい」と、学校や親から教えられているのかもしれない。
「早く何とかしないと手遅れになる」 息子からそう言われるたびに、リツ子は考え込む。
「せんせーい、会いに来たよ~今日も膝に電気を当ててね~」 ヨシエさん(仮名)は、若くして夫を亡くした後、女手一つで5人の子どもを育て上げた女傑だ。今は田舎で独り暮らしている。
あるクリニックの、ある一日。 トップバッターは高血圧症をフォローしている80代後半の元気な女性Sさん。コロナワクチン2回目を接種した2週間後に、人生最悪の倦怠感が出現した。 血液検査で白血球とCRP高値を確認。入院してもらうか悩むも、その後1日単位の経過観…
「Youtubeを見ていた夫が、急に顔色が悪くなり食事を摂らなくなったので診て欲しい」と、妻に連れられて50代男性が来院した。 僕の目の前に現れたのは、「デスラー総統か?」ってぐらいに顔色が悪い人だった。
当院かかりつけの認知症患者さんが入院し手術が必要になったと、担当ケアマネージャーから連絡があった。 その時点ではまだ入院先からの連絡はなかったが、先に当院での外来経過をまとめた診療情報提供書をFAXで送った。
Aさんは施設入所中の方だ。 かかりつけの病院で何かを相談するたびに薬が増え、その都度具合が悪くなっていくという状況に業を煮やした家族が、「ちゃんと診断して、出来れば薬を減らして欲しい」と希望してAさんを僕の所に連れてきた。 前医の診断はパーキンソン病…
レビー小体型認知症の方にドネペジルを新規処方、3週間で10mgまで増量し放置した脳神経内科医について書いた前回のブログを読まれた方からお手紙を頂いたので、一部抜粋して紹介する。
2020年10月、クリニックを法人化した。 2016年4月に開業して4年半で打った、一つのマイルストーン。 法人という縛りの中で、自由を探索する 法人名を考えるのは、生まれてくる子どもの名前を考えるのと似た楽しい作業だった。 医師という職業の持つ公益性を自覚して…
当院のある一日を切り取ってみる。 母親を施設に入れるかどうかで悩み、うつを発症してしまったAさん。抗うつ薬を飲むようになり2年経ち、病状は安定しているので薬を減らしたいとのご希望だった。 予約枠は空いていなかったのだが、たっての希望で受診となった。診…
苦虫を噛みつぶしたような表情で人を罵る、強面の女性患者Aさんとの思い出を語ろう。
ケアマネから医者に届く「ケアマネ連絡票」というものがある。 その内容は、ケアプランの相談や患者さんの近況報告、また介護保険更新のための情報提供だったりと様々だが、先日 家族の希望で施設入所を予定しています。よろしいでしょうか?(原文ママ) このような質…
「うちの母は、どのようにしてアルツハイマーになったのですか?」 と聞かれたら、定説仮説を交えて 「タウタンパクの蓄積やミエリンの脱落、重金属の蓄積や生活習慣病などが関与したのではないでしょうか・・・」 などと答えることは出来る。しかし、 「うちの母は、なぜア…
「なぜ認知症を診るようになったのか?」と聞かれることが時々あるので、書いてみる。 認知症専門医でも何でもない自分が「認知症外来」と銘打って認知症患者さんを診るようになったのは、2012年の11月からだった。 その前年の2011年に赴任して引きついだ外来には多く…
「お母さんは認知症なんだから、自分がすぐ忘れるということをちゃんと自覚してよ。私たちも大変なんだから!」 「父さん、同じ事を何回確認したら気が済むんだ。それはさっきも聞いてきただろう!」 認知症の親に病気を自覚させようと、親が忘れたら注意し、間違えたら…
当院通院中のAさんに起きた話。 ある日の朝のこと。デイサービスに行ったAさんは検温で37.2度の熱が確認された。 咳や咽頭痛、鼻汁などの感冒症状が何もなかったにも関わらず、Aさんは家に帰るようデイサービスから言われ、Aさんの家族が迎えに来させられた。
「今年度もまた、よろしくお願いします。」 依頼があって引き受けた認知症初期集中支援チームのチーム医となって4年近く経つが、継続の意思確認がないまま、自動的に更新され続けてきた。 www.ninchi-shou.com 認知症初期集中支援チームとは、厚生労働省が策定した「…
自分自身の凸凹に向き合う日々である。 象徴的なエピソードを一つ紹介する。 ーーーーー ある休みの日に、妻から 「〇〇先生の奥さん、いま家にいるかな?」 と訊ねられたので、 「僕は〇〇先生の奥さんの夫ではないから、それは分からない」 と答えた。すると妻は、 「そ…
また一人、好きなミュージシャンが逝った。
「先生は、私の話を信じていない!」 憤慨しながら強い口調で話す夫を前に、僕は今日も深いため息をつく。
当院通院中だった90歳のAさん。 あるとき転倒してB病院に入院となった。幸いにも治療経過は良好で、担当のC医師が退院前の病状説明で 「認知症だから、今後は独り暮らしは難しいでしょうね」 と家族に話したところ、家族から 「今まで認知症とは診断されていませんが…
2019年3月に治験中止が発表され、エーザイの株価を急落させた抗認知症薬アデュカヌマブ。 アミロイド仮説失敗の最終通告かと思っていたが、ここにきて復活の話が出てきた。
医者人生で獲得できるトロフィー(栄誉)とは何であろうかと考えたとき、世俗的なところでは
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