鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【症例報告】ジフェニドールで片頭痛発作を抑制。

 

以前にも報告したことがあるが、抗めまい薬のジフェニドールを片頭痛の予兆時に内服することで、発作を抑制することに成功した女性を紹介する。

 

片頭痛は吐き気や光のまぶしさ、音過敏、嗅覚過敏など多彩な随伴症状を伴うことがあるが、「めまい」が随伴症状にある方には予防的ジフェニドール内服を勧めている。

 

30代女性 高校生の頃からの片頭痛 

 

初診時

 

既往歴)

・BP: 108/65
・HR:68
・これまでにない激しい頭痛)なし
・薬物乱用)あり
天候左右性)あり
冷え症)あり
・炭水化物依存)さほど
・タンパク不足の可能性)毎日必ず
・過去に貧血の指摘)なし
・肩こり)あり
・朝の弱さ)なし
・歯ぎしり)なし
・拍動性)ズキズキ脈打つ、ピリピリ
・随伴症状)吐気、光まぶしい、におい敏感、めまい
・前兆)なし
・過去に試して効かなかった薬)

(経過)

 

月に4~5回の片頭痛。お子さん二人。立ちくらみは多い。
生理中は連日鎮痛剤を飲む。天候左右性大。高校の頃からの片頭痛。
今朝7時と14時の2回、イミグラン服用。初めてのことで気になり来院。

 

(対応)

 

頭部CTは特記所見なし。

 

片頭痛+緊張型頭痛+天気頭痛かな。


10年前にレルパックスを飲んで好感触があった。イミグランは飲むと必ず吐いてしまうと。タイミングがズレているのか?レルパックス+ナウゼリンを処方。天気頭痛には五苓散を。

 

ピリピリ頭痛も昨日から出現。神経痛かな?メチコバールで。
吐き気を伴う片頭痛で冷え症ありなので、呉茱萸湯の定期内服はありかも。

 

4ヶ月後

 

メチコバールは良くわからなかったと。ピリピリ頭痛はいつの間にか消えたと。

五苓散にはかなり手応えを感じたとのことで多めに処方。1回2包で。


レルパックスも良く効いたが、もの凄く眠くなったと。

 

今現在嘔気を感じていると。このあとに頭痛が来そうな気がすると。ナウゼリンは少し多めに処方。

 

緊張型頭痛ありなので、SGと局所にSL。眠くなった。良さそう。

 

※SG・・・星状神経節のこと

※SL・・・スーパーライザーの略

 

1ヶ月後

 

SGと肩にSL。

SLで肩が楽になり、頭痛も軽くなってきたと。

 

3週間後

 

レルパックスは著効するも眠気の為に日中飲むのが躊躇われると。
一回の発作は数日長引くことがあるとのことなので、アマージを試す。

 

五苓散は天気頭痛に著効する。残あり。テルネリンはまだ試していない。
予防薬のミグシスで内服10分後に眼瞼浮腫の既往あり。
冷え症あり呉茱萸湯を定期で試す。

 

SLもして帰ろう。
SGと肩にSL。

 

2ヶ月後

 

SGと肩にSL。

めまい感、嘔気という予兆は確実にあると。嘔気だけの時にナウゼリンを飲むことで発作を回避したこともあると。ジフェニドール処方

 

アマージも眠気はあるが、レルパックスほどではなかったと。鎮痛効果はレルパックスに軍配が上がるが、アマージも効いていると。アマージ固定でいきましょう。

 

月経前後で頭痛頻度が増える。その時期は当帰芍薬散で。
呉茱萸湯はとても苦いが、飲んでいた時期は確実に頭痛頻度は少なかったので再開とする。

 

1ヶ月後

 

SGと肩にSL。


呉茱萸湯は最初は苦かったが、慣れてきた。頭痛の頻度も減り調子が良い。当帰芍薬散服用で生理時の頭痛もなく鎮痛剤服用せずに済んでいると。

 

初診から10ヶ月後

 

当帰芍薬散は嘔気を感じるようになったとのことで中止している。

 

この2ヶ月間、アマージを使用することはなかった。頭痛そのものは2回あったが、いずれも予兆時にナウゼリンとジフェニドールを内服することで、頭痛悪化を防げている実感が確実にあると。

 

残あり今回は2回分補充。呉茱萸湯の飲みにくさは、今はないと。

 

(最終処方)

 

呉茱萸湯2P2X
ジフェニドール+ナウゼリン 2回分

 

 

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片頭痛 治療 鹿児島

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