他院より採血結果を持ち込んで相談に来られた40代の女性Aさん。
10年ほど前からめまいや倦怠感、イライラ、朝が極端に苦手、頭痛、肩こりなどで悩まされているとのことだった。
Aさんが持参した採血データでHb(ヘモグロビン)は11.5。MCVは83でフェリチンは4と鉄欠乏性貧血の状態であった。しかし、採血が行われた病院で
「Hbが11以上なので貧血ではありません。従って、鉄剤を飲む必要もありません。」
と言われ、Aさんは困惑した。
貧血とは、「血液中のヘモグロビン(鉄タンパク)が減少している状態」のことで、数値的な定義は成人男性でHb13未満、成人女性でHb12未満とされている。(いずれもWHO規準)。
ただし、検査センターによっては女性のヘモグロビン基準値を「11以上15.1以内」などと設定しているところがあるため、この基準値を「正常値」と考えて「11未満が貧血です」と言う上記のような医師がいるのかもしれない。*1
このような基準値は一応の目安にはしていいのだろうが、重要なのは貧血の臨床症状である。
Aさんの「めまいや倦怠感、イライラ、朝が極端に苦手、頭痛、肩こり」という訴えは、いずれも貧血を疑うべき症状である。
また、MCV83と赤血球は明らかに小球性で、フェリチンは4と鉄の貯金はほぼない状態だった。
ちなみに、フェリチンはAさんが頼みこんで調べて貰ったのだが、この結果をみてもなお医者から「貧血ではありません」と言われてしまうのであれば、別の医者に相談するしかなかったのだろう。
結局、鉄剤処方から半年足らずで悩みは全快し、以降の受診はない。元気で過ごしているのだろうと思う。
40代女性 鉄欠乏性の頭痛や肩こり
初診
知人の紹介で「鉄剤を処方して欲しい」とのことで来院。
10年ほど前からめまいや倦怠感、イライラ、朝の弱さ、頭痛、肩こりなどが続いているとのこと。
持参の採血結果を頼み込んで行った採血でフェリチン4。Hbは11.5でMCVは83。BUN8.9と鉄タンパク欠乏を認めた。
フェルム2週間お試し。
2週間後
フェルムは消化器症状なく飲めるとのこと。2ヶ月処方。
まだ、体調改善の実感はないとのことだが、前回受診時より笑顔が多い印象。
採血は〇〇病院でも当院でも、どちらでも出来ますよ。また相談して決めましょう。
5ヶ月後
フェルムを飲みきって来院。2日に1錠ペースぐらいだったと。
採血でフェリチンは4→51まで上昇し、同時に伝えていた高たんぱく食も実践しBUNは8.9→13.9まで上昇。初診時からビタミンBとCを併用してやってきたが、立ちくらみや頭のざわつきはなくなり、身体がとても楽。今は体調面で困る事はなにもないと満面の笑み。初診時とは別人の明るさ。
良かったですね。
(引用終了)
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