鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

『「認知症」9人の名医』が出版されます。

当ブログの開設は2014年3月21日で、当院開設は2016年4月22日。

 

ブログ開設から10年、開業から8年が経過した。

 

月並みだが、"あっという間"である。

 

www.ninchi-shou.com

 

患者IDは12000名を超えているので、平均で年間で1500人ほどの新患を診てきた計算になる。1ヶ月あたりでは120~130人、一日あたりだと6~7人か。ちなみに、認知症患者のIDは約2400名である。

 

以前は平均で毎日80名ほど診ていたが、最近は70名前後で推移している。

 

昨年自分が体調不良で2週間ほど稼働困難だった時期があり、そのこともあってだろう、スタッフがかなり気を配って予約数を調整してくれている。

 

患者を診れば診るほど診療技術は上がるが、神経もすり減らす。

組織を率いる身として、自身が病まないようにすることも大切だと学んだ。

 

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コロナ渦を通じて診る機会が激増したのは、心身症や起立性調節障害、更年期障害である。

 

彼ら彼女らの多くは、心身症で心療内科を、起立性調節障害で小児科を、更年期障害で婦人科を受診していても、「頭痛やめまいがあれば脳神経外科に行って」と言われたり、又は相談しても相手にされなかったりで、途方に暮れて当院を受診する。

 

特に、思春期の起立性調節障害患者が置かれている状況は深刻に感じる。

 

専門的な窓口は恐らく小児科なのだろうが、自分の観測範囲では、メトリジン以外の工夫をしている小児科医を殆ど見たことがない。メトリジンで好変化がなかったら、すぐに心療内科を案内している小児科医も知っている。

 

自分は全くの門外漢だったのだが、片頭痛診療で培った循環作動薬の使用経験、栄養療法で得た知識と経験、更年期女性への漢方治療経験などを混合・駆使して起立性調節障害を診るようになった。

 

というか、診ざるを得ないので診ている。

 

治療成績が抜群に良いとは言わないが、メトリジン一本足打法よりはまだ打率は高いだろう。ただ、同じ工夫を提案しても、それを我が子と一緒に取り組める母親と、そうでない母親がいて、圧倒的に多いのは後者である。その理由は推して知るべし、としか言えない。

 

認知症患者のID数が約2400名(全体IDは約12000名)ということから分かるように、当院は認知症に特化したクリニックではない。

 

認知症専門クリニックではないが、過去にブログで多くの症例を紹介したり、各所で認知症の講演をしてきたからであろうか、あるライターさんの目に留まりインタビューを受け、この度ブックマン社から本として出版されることになった。

 

 

自分を含め9人の医者のインタビューが掲載されている。


名医の定義は人それぞれだろうが、そう思ってくれている人がいると考えるだけで励みにはなる。

 

ご興味の方は是非、ご一読あれ。

 

「面白い医者達もいるもんだな、まだ世の中も捨てたもんじゃないな」と思って貰えたら幸いである。