5月26日に、厚生労働省が「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要」という報告書を出した。
厚生労働省ページへのリンク
前回のブログでも懸念は表明したが、予想通り死亡者数は増えていた。
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コロナワクチン接種開始後、85名死亡(2021年2月17日~5月21日)
ワクチン接種後の死亡者数は85名。
報告書をつぶさに読むと、接種数時間後から数日以内の死亡例が多く、また、くも膜下出血や大動脈解離、心臓関連の突然死などが非常に多いのが特徴である。
「600万人―6%程に接種が進んだのは結構な事で、これが1000万人―10%程に達すると大分変わると思います。因みに死亡者が85人との事ですが、日本の1日の死亡者数は3300人程で、その6%―200人よりは大分低いので、偶然の死亡例の可能性が高いと思います」(2021年5月27日 Yahooニュースより引用)
医者で元新潟県知事の米山氏曰く、各死亡例は「偶然の可能性が高い」とのこと。
奇しくも、厚生労働省の報告があった5月26日に、首相官邸は厚生労働省と連名で「ワクチンはメリットがデメリットを上回る」という発表を行った。また、「これまでのところ安全性への重大な懸念は生じておらず」とのこと。
85名の死亡報告では、因果関係については30名が「評価中」で、55名が、γ(情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの)となっている。
ちなみに、α(ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの)は0名、β(ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの)も0名。
結果的にαがゼロだったので、政府は「これまでのところ安全性への重大な懸念は生じておらず」と発表したのか、それとも、国民に懸念を持って欲しくないのでαをゼロとしているのか。
自分は後者の可能性を強く疑っている。
そもそも、「この死亡はワクチンとは関係ない」と断定するのは困難である。判定する専門家は、その根拠を問われることを厭うて誰もβを付けないのではないか。
その点、「判断するには情報不足」とγであれば付けやすい。付けやすいから、評価中を除いて全員がγとなっているのではないか。
報告された事例をいくつか紹介する。赤文字強調は筆者によるもの。
(事例 11)
(1) 患者背景46 歳の男性
(2) 接種されたワクチンについて ファイザー株式会社「コミナティ筋注」 ロット番号:EP2163 接種回数1回目
(3) 基礎疾患等 無
(4) 症状の概要 接種日時:令和3年3月 19 日午後 16 時 00 分頃
発生日時:令和3年3月 20 日午後 15 時 25 分頃
死 因 等:急性大動脈解離、心タンポナーデ
概 要:予防接種翌日、朝より背部痛があり、近医整形外科受診。整形外科的な問題はなく、心配であれば内科受診をするよう勧められた。帰宅後、パンを食べていたら突然いびき様呼吸となり反応がなかったので救急要請。救急隊接触時心電図上、無脈性電気活動(PEA)。
病院到着時変わらず、直ちに気管挿管が行われ、アドレナリンが合計3アンプル使用されたが心静止からの変化なく、午後 16 時 27 分死亡確認。死亡時画像診断では、スタンフォード A 型の大動脈解離を認め、心タンポナーデを形成していた。直接死因は急性大動脈解離であることが、報告医療機関から家族に伝えられた。本剤接種前の4週間以内に他のどのワクチン接種も受けなかった。また、接種前2週間以内に医薬品の投与もなかった。接種前に COVID-19 と診断されていなかった。
(医療機関・企業からの報告・調査内容に基づき5月 26 日追記) 3月 20 日午後 15 時 25 分、救急要請された。午後 15 時 34 分、救急隊員が患者の家に到着し、病院に搬送される間、通常の心肺蘇生法(一次救命処置(BLS))が実施された。午後 15 時 35 分心肺停止。午後 15 時 38 分、病院に到着し、到着時の身体所見は、JCS:30 及び心電図上で心停止を示した。また、外傷はなかった。救急隊接触時、心電図上救急隊接触時心電図上、PEA であった。 事故に関与していないことが確認されたため、剖検は実施されなかった。企業の詳細調査において、報告医は、本剤とこれら事象の因果関係が完全に否定できなかったため、本剤接種と心肺停止、急性大動脈解離、心タンポナーデと関連あるかもしれないと評価するとともに、背部痛は、急性大動脈解離の初期症状と考えられた、と回答した。
(5) ワクチン接種との因果関係
(報告者の評価)評価不能 報告者意見:直接死因は急性大動脈解離と考えている。発症年齢としては多少若く、ワクチンとの因果関係が全くないとは判断できず、院内で検討の結果、報告することとした。
他要因の可能性の有無:有(急性大動脈解離)
(6) 専門家の評価
○因果関係評価:γ
○専門家コメント:なし
専門家コメントなし。「その46歳男性は、ワクチン接種翌日に"たまたま"大動脈解離を起こしたのだろうね」 ということか。
(事例 23)
(1) 患者背景45 歳の女性
(2) 接種されたワクチンについて ファイザー株式会社「コミナティ筋注」 ロット番号:ET3674 接種回数1回目
(3) 基礎疾患等 無
(4) 症状の概要
接種日時:令和3年4月 21 日午前
発生日時:令和3年4月 26 日午前4時(推定)
死 因 等:不明
概 要:令和3年4月 21 日午前ワクチン接種後、30 分間接種場所において安静にしていた。特に症状等なく業務に戻り、接種当日は午後 17 時 30 分まで業務後、退勤。翌 22 日は公休日であり症状の訴えもなし。23 日、24 日は日勤の通常業務で症状等の訴えはなし。24 日は公休日で当日夜間に腰痛の訴えがあったとのことであるが、以前より腰痛症状あり。普通に就寝されたとのことであるが、翌 26 日早朝、家人が状態の異変に気づき、接種医療機関とは別の医療機関に救急搬送され、死亡されたとのこと
(5) ワクチン接種との因果関係(報告者の評価)評価不能
報告者意見:接種前の問診では問題なく健常であった。
他要因の可能性の有無:不明
(6) 専門家の評価
○因果関係評価:γ
○専門家コメント:なし
専門家コメントなし。「その基礎疾患のない45歳女性は、ワクチン接種3日目に腰痛を自覚し、腰痛を起こすような何らかの腹腔内疾患で"たまたま"亡くなったのだろうね」というところか。
自分であれば、腹部大動脈解離などを疑う。
(事例 29)
(1) 患者背景26 歳の男性
(2) 接種されたワクチンについて ファイザー株式会社「コミナティ筋注」 ロット番号:不明 接種回数1回目
(3) 基礎疾患等片頭痛併用薬:ベンゾジアゼピン系睡眠薬
(4) 症状の概要
接種日時:令和3年4月 28 日時間不明
発生日時:令和3年5月3日昼頃(推定)
死 因 等:心肺停止
概 要:令和3年4月 28 日、優先接種により1回目接種。5月3日午後 21 時 30分頃、自宅で心肺停止状態で家族に発見された。午後 22 時6分、報告医療機関へ救急搬送。搬送時、すでに死後硬直を認め、心肺蘇生を行ったが、午後 22 時23 分死亡確認。検視、死亡 CT では死因は不明。警察による死亡推定時刻は、5月3日昼頃。事件性に乏しいため、司法解剖は対象外との判断。病理解剖は、家族の希望なく未実施。家族の話では5月2日よりダイエットを開始。不眠のため、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を内服(ワクチン接種の2週間以内。)。基礎疾患は、片頭痛程度とのこと。※5月 26 日下線部追記。
(5) ワクチン接種との因果関係
(報告者の評価)評価不能
報告者意見:報告医療機関は接種医療機関ではなく、心肺停止後の救急搬送先の医療機関。推定される心肺停止時刻から搬送までに時間経過しており、検査など情報不足。ワクチン接種から5日目の突然死ではあるが、情報不足のため因果関係は判断できない。
他要因の可能性の有無:無
(6) 専門家の評価
○因果関係評価:γ
○専門家コメント:なし
専門家コメントなし。ベンゾジアゼピン系睡眠薬内服をワクチン接種の2週間以内にしていた、とわざわざ書かれているが、事件性はないとのことなのでオーバードーズはないだろう。 "たまたま"致死的不整脈などを起こして突然死したのか。
(事例 47)
(1) 患者背景47 歳の女性
(2) 接種されたワクチンについて ファイザー株式会社「コミナティ筋注」 ロット番号:ER7449 接種回数1回目
(3) 基礎疾患等子宮腺筋症。令和2年5月 28 日より 10 月 30 日まで月1回リュープロレリンを計6回投与されていた。
(4) 症状の概要
接種日時:令和3年4月 27 日午前 10 時 00 分頃
発生日時:令和3年5月2日午前9時 18 分頃
死 因 等:肺塞栓
概 要:令和3年5月2日早朝、苦しみだし、トイレで心肺停止し接種医療機関とは別の医療機関に救急搬送された。アドレナリン投与などで、心拍再開、心静止を繰り返し、同日午前9時 18 分死亡判定された。その2~3日前から性器出血、体調不良がみられていた。頭部~胸部 CT、頭部内に死因となる所見なく、大動脈解離などの所見もなかった。心エコーで右心負荷の所見あり。経過からは肺塞栓が疑われた。D-ダイマーは 41.9 μg/mL と高値であった。
(5) ワクチン接種との因果関係
(報告者の評価)関連あり
報告者意見:重篤な疾患のない 47 歳の健康な女性が、コミナティ接種後5日で死亡。コミナティの副反応の可能性が高いと考え報告した。
他要因の可能性の有無:無
(6) 専門家の評価
○因果関係評価:γ
○専門家コメント:子宮腺筋症は血栓塞栓症のリスク因子であることが知られている。肺塞栓がワクチン接種後のタイミングで偶発的に起こった可能性がある。肺塞栓の発現を本剤の作用機序等によって説明することは困難である。
現場からの
「重篤な疾患のない47歳の健康な女性が、コミナティ接種後5日で死亡。コミナティの副反応の可能性が高い」
という報告に対して、専門家は
「子宮腺筋症は血栓塞栓症のリスク因子であることが知られている。肺塞栓がワクチン接種後のタイミングで偶発的に起こった可能性がある。肺塞栓の発現を本剤の作用機序等によって説明することは困難」
と返している。
「説明は困難」は分かるが、この事例でもγと評価されるのかと驚く。「αだけは絶対に付けてはならない」という厳命でも受けているのだろうか。
このような対応を取られ続けると、現場は最早報告を上げなくなるのではないか。「どうせ真面目に副反応を疑い報告を上げても、全部γとされるんでしょ?だったら面倒な報告はもうしないでいいや」と。
まさか、それを狙っているなどということはあるまいが。
主治医が止めても、患者が希望すれば打っても良い?
事例の紹介を続ける。
(事例 49)
(1) 患者背景 81 歳の男性
(2) 接種されたワクチンについてファイザー株式会社「コミナティ筋注」 ロット番号:EW4811接種回数1回目
(3) 基礎疾患等現在の治療内容として、「血をサラサラにする薬」へのチェック及び「その他」に「血圧薬」と記載あり。また、主治医に「今日の予防接種を受けてよいと言われましたか」に「いいえ」と回答があったが、問診及び診察の結果、今日の接種は可能と判断され、接種された。
(4) 症状の概要 接種日時:令和3年5月8日午後 13 時 30 分~14 時 30 分頃
発生日時:令和3年5月9日時間不明
死 因 等:喘息の増悪
概 要:令和3年5月8日午後 13 時 30 分~14 時 30 分 新型コロナワクチンの予防接種。午後 16 時 30 分頃から症状発生(呼吸苦、喘鳴、呼気困難等、SpO2 94% room air)。午後 19 時 49 分に当院救急外来受診、点滴静注(ソルデム1輸液 200mL1瓶+ソル・コーテフ静注用 250mg1瓶)、吸入(ベネトリン吸入液 0.3mL+生理食塩水 2.0mL)実施。点滴終了後も SpO2(89~91%)低下傾向、喘鳴の増悪を認めた。
接種後副反応の可能性もあり経過観察目的で午後 22 時 00 分入院となる。入院時午後 22 時 00 分より酸素吸入開始(3L/分、SpO2 89~92% room air)、労作時喘鳴の増悪。9日午前3時 30 分より喘鳴の増強と SpO2 低下により酸素流量変更(5L/分 SpO2 89~90%)。午前6時 52 分酸素流量維持(5L/分 SpO2 89~94%)。午前8時 31 分デカドロン注射液 3.3 mg 1A 静注。午前9時 50分 SpO2低下により酸素流量変更(10L/分 SpO2 88~89%)、PCR 検査実施(陰性)、意識障害(JCS-2)。午前 11 時膀胱留置カテーテル設置。午前 11 時 20 分 タゾピペ配合点滴静注用バッグ 4.5mg 投与(合計2キット)(SpO2 89%)。
午後 14 時40 分摘便施行(グリセリン浣腸液 50% 60mL)。午後 14 時 50 分フロセミド注20mg 1A。午後 16 時 00 時呼吸停止(JCS-3300)、心臓マッサージ開始。
(5) ワクチン接種との因果関係
(報告者の評価)評価不能
報告者意見:なし
他要因の可能性の有無:無
(6) 専門家の評価
○因果関係評価:γ
○専門家コメント:なし
専門家コメントなし。この81歳男性の主治医は、さぞかし無念だったに違いない。
主治医の判断を覆しワクチンを接種した医者は、患者ないしは家族の強い希望に抗えなかったのかもしれない。
摂取後2~3時間で"たまたま"喘息が増悪して死亡したとのことだが、基礎疾患に喘息とは書かれていない。なお、肺塞栓を起こした可能性は考慮されていない。
主治医が「止めておいた方が・・・」と言っても患者が(家族が)希望すれば接種医は打つ。このケースで接種医の責任は問われるのだろうか?良くわからない。
任意接種のワクチンなので、事前に把握されている禁忌事項にさえ抵触しなければ、希望者は打てる。接種医もそれを断れない。ただし、事前に全てが把握されているのかは誰にも分からない。
事例58は切ない。
(事例 58)
(1) 患者背景94 歳の女性
(2) 接種されたワクチンについて ファイザー株式会社「コミナティ筋注」 ロット番号:不明 接種回数不明
(3) 基礎疾患等認知症、尿失禁、睡眠不足、腰痛、疼痛
(4) 症状の概要
接種日時:令和3年4月 23 日時間不明
発生日時:令和3年4月 24 日午後 18 時 27 分頃
死 因 等:腸閉塞、血管性の腸間膜閉塞
概 要:患者は、進行中の認知症を有する 94 才の女性であった。併用薬剤は不明。令和3年4月 20 日午後 22 時 45 分、患者は何度もナースコールにて「助けて!助けて!」と言った。患者はベッドに横になって、体が痛くて動くことができないと言った。腸閉塞の徴候か、又は腰椎と仙骨部が考慮された。同時に、尿失禁が確認された。バイタルサインの異常は見られなかった(尿閉は考慮された。)。介護施設職員が、「明日の朝お部屋に伺います、ゆっくり休んでください。」と患者に説明すると、患者は落ち着いた。
4月 21 日朝、患者は礼を言うために、施設職員と 1 階の事務所に降りた。内科医が 5 階の居室へ向かったところ、患者は事務室前で体温測定をしていた。午前 8 時 45 分、体温 36.5 度、血圧 121/59、脈拍数 49 と異常はなかった。患者は、心配気味であった。午前 9 時 00 分過ぎ、医師が訪室。午前 9 時 08 分、体温 36.0 度、血圧 121/67、脈拍数 67、SpO2 98%。施設職員が患者の部屋を訪問する頃には、患者は敷タオルを洗濯していて、職員の援助で洗濯物を掛けていた。患者の歩行はふらつきあり、寝不足で体がきついと訴えたので、患者は居室で休むように言われた。
午前 10 時 20 分、患者はベッドに寝ていた。腰痛があったので、患者は自分でベッドから起き上がることできないと訴えた。血圧 139/48、脈拍数 61 で、すこし体が熱っぽい感じであった。患者は、医師が体を起こそうとしてもすぐに横になろうとした。患者は、体を壁側に向けて横になっていると楽だと言った。入浴は、中止された。午前 11 時 50 分、患者はナースコールをした。患者は腕と体が壁とベッドの間で落ちた状態であった。患者は、自分の体がそこに吸い込まれると言った。施設職員は患者の体を起こして、再び転落することのないように、クッションを間に入れた。体温 37.0 度、血圧 124/64、脈拍数 64、SpO2 96%。
午後 14 時 00 分から午後 15 時 00 分、患者はリクライニング車椅子で外来患者クリニックにいた。主訴は全身の痛みで、患者が両股関節を動かしたとき、頭痛はみられなかった。打撲もしくは転落による疼痛はなかった。施設患者はよく全身の疼痛を訴えるため、主治医は認知症に伴う行動的及び心因的徴候(BPSD)の一種であると考えた。その後のフォローアップ状況は、明確ではなかった。
4月 22 日、当日の患者の状況は不明。
4月 23 日、患者は、COVID-19 ワクチン接種のために車椅子で 1 階に降りた。問診時に患者から体の訴えは特になかった。筋肉内注射にて本剤の接種を受けた。投与回数は不明。およそ 1 時間経過観察されたが、異常は確認されなかった。患者は、通常どおり夕食を摂った。
4月 24 日午前5時 00 分、患者は嘔吐した。その後、4回の嘔吐があった。患者は朝食を摂ることができなかった。午前 10 時 30 分、介護施設は、茶褐色の吐物と唾液の嘔吐と、体温(36.4 度)、脈拍数(65)、SpO2(93%)、血圧(168/75)を記録した。午後 13 時 30 分、患者はリクライニング車椅子で外来で診察された。患者は問いかけに微笑んだが、発語ははっきりしなかった。体温 36.5 度、血圧 152/82、脈拍数 87、SpO2 99%。聴診、特に雑音なし。腹部圧痛なし、腸音正常。嘔吐の原因は、不明であった。処置は、ソルデム 3A 1000mL 1 本とメト
クロプラミド塩酸塩(プリンペラン)1 アンプルであった。午後 17 時 50 分、
訪室時、患者に呼吸異常はなかったが、呼名に閉眼したまままであった。午後18 時 00 分、訪室時、患者の呼吸停止が確認された。モニターは、フラットであった。一口嘔吐の跡があった。
午後 18 時 27 分、患者の家族が来院した。2人の姪の立会いで患者の死亡が確認された。死亡原因究明のため、死亡時画像診断(全身 CT)が施行された。頭部 CT 急性脳出血なし、梗塞なし。胸部 CT 明らかな肺炎、胸水なし、気管支内で窒息疑わせる嘔吐なし。心肥大あるも、心不全兆候なし。腹部 CT 小腸・大腸にニーボーあるも閉塞部位不詳。本剤によるアナフィラキシーなし。午後 19 時 56 分、患者家族への詳細説明後、更なる死亡原因究明のための病理解剖実施についての質問がなされたが、家族は、患者が十分に頑張ったため大往生と考えて剖検を断った。
(5) ワクチン接種との因果関係
(報告者の評価)評価不能
報告者意見:病理解剖が未実施で死因が特定されなかったが、死亡時画像診断の結果から腸閉塞(血管性の腸間膜閉塞)が死因の可能性が高いと考えた。
他要因の可能性の有無:不明
(6) 専門家の評価
○因果関係評価:評価中
○専門家コメント:評価中
因果関係、専門家コメントは評価中。個人的には、血栓による腸間膜動脈閉塞からイレウスを起こしショックに至った可能性を考える。
駆けつけた家族がワクチンとの因果関係を考えなかったはずはないだろうが、色々と飲み込んで「大往生」と言ったのではないか。
ワクチン接種で死亡して大往生でいいのなら、コロナ罹患で死亡しても大往生でいいのでは?と思うのは自分だけだろうか。
今も毎日「先生、うちの親にワクチンを打ってもいいですか?打った方がいいと思いますか?」と聞かれるが、その背景に「ワクチン打って、まさか命に関わることはないですよね?」というニュアンスを明確に感じている。
また、ワクチン接種の是非についての問い合わせで受付が電話対応に追われ、その他の業務に影響が出ている。
「難しい判断ですね。打たない方が良いのは○○という条件の方です。多くの人は打っても大丈夫なのでしょうが・・・」と答えているが、今回の厚生労働省の報告を受けて自分は、「未破裂の脳動脈瘤や胸腹部大動脈瘤があると分かっている人には勧めない」という方針にした。
「それでも打ちたい」という人を止めることはしない。任意接種のワクチンだから。
既に1回目の接種を終えた患者さん達もいるが、今のところ重大な報告は受けていない。
当面は、「あの人は大丈夫だろうか・・・」と心配する日々が続く。
"何か"が起きたときの責任の所在は主治医なのか
前回のブログで、
医療行政のトップである厚生労働大臣は~中略~認知症高齢者が自己判断出来ないことを恐らく分かっているだろうに、「(空気を読んで)くみ取ってほしい」と、現場に判断を委ねている。
そして結局は、医者に判断が委ねられる。「先生、打つべきですか?打った方がいいですか?」と。
「べき」とは義務を意味し、「任意」と正反対であるという日本語の基本すらコロナ渦では忘れられてしまうのが悲しいが、施設管理者や家族を責めることは出来ない。
最近は毎日この対応に追われている。
と書いた。
これは先日、認知症の患者さんが入居している施設から渡された「同意書」である。
ご丁寧なことに、主治医氏名、病院名、主治医連絡先電話番号は既に書かれてあり、あとは自分の直筆のサインを待つばかりの状態だった。
何かが起きた場合の責任を取りたくないのは分かるが、なんと世知辛いことか。
出典を調べたところ、福島市のホームページに全く同じ文言の文書があった。
それは、市が介護事業者に対して、施設入所者の「家族」からワクチン接種の同意を取り付ける際に利用するよう準備した文書だったが、そこには「主治医欄」はなかった。ということは、当該施設がその施設の判断で加えたということだ。
主治医が介護施設の施設長に「私も患者のワクチン接種に同意しています。宜しくお願いします。」などと同意の文書を差し出さねばならないなど聞いたこともないし、今までインフルエンザ含めてそのような同意書にサインをしたことなど一度もない。
要は、「先生もちゃんと接種に同意してくれましたよね?何かあっても、それは先生も同意したことだから、仕方ないですよね?」ということであろう。
突き返しても良かったのだが、不承不承サインをした。
その理由は、後にも患者が立て込んでいて吟味する間もなく忙しかったからということと、もう一つは、自分がサインを拒否したら家族が困るのではないか?と考えたからである。
過去のブログで、
- 「当然、打つんだよね?」
- 「打たないってことは、高齢者を感染させるってことだよ?」
- 「打たないのなら、仕事には出てこないで」
ワクチン・ハラスメント(ワクハラ)とでも呼ぶべきことが、日本中の医療介護現場で起きるのではないかと懸念する。
と書いた。
実際に、「職場では『強制だと思って下さい』と言われて打つしかなかった」、「ワクチンを打たないとデイサービスを使わせないと言われた」、「施設全員ワクチンを打つと言われているので、拒否できない」などの声を複数聞いている。
これは局所現象ではなく、間違いなく日本中で起きていることだろう。
家族のことを考えて今回はサインしたが、法的な意味など何も持たない、しかし、「これで先生も"共犯"ですからね?」と踏絵でも踏まされるかのような気分の悪い文書には、今後は求められてもサインはしないと決めた。
介護事業者が利用者のワクチン接種同意を取り付けたいなら、それは利用者家族からのみで十分である。打ってあげたいと願う家族も多かろうから、さほど大変なことではないはず。
自施設でワクチンを打たない利用者がいた結果クラスターが発生した、という事態を避けるために利用者全員に打たせると決めたのであれば、それは事業者の都合なので当然その結果の責任を負うのも事業者である。それぐらいは腹を括るべきであろう。
「国が推進しているから」と国のせいにするのは構わないが、「主治医が打って良いと言ったから」は勘弁して欲しい。
主治医が懸念を示しても、例えそれで亡くなる人がいたとしても、打ちたい人は打てるのが任意ワクチンである。いま打ちたくない人は、しばし静観するのも良いだろう。急がなければワクチンが無くなるということはない。
ワクチンを打てば重症化を防げるかもしれないが、致命的なことになるかもしれない。打たなくてコロナに罹ったら命に関わるかも知れないが、既知のデータを見る限り回復する可能性の方が高いのは間違いない。そして、打たなければ必ずやコロナに罹るとは限らない。
人類初のワクチンを打って絶対に大丈夫か(≒死なないか)どうかなんて、今は誰にも分かるはずはない。そんなことを聞かれても、こちらは当惑するしかない。*1