鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

コロナワクチン接種後の頭痛、そしてワクチン接種にまつわる諸々について。

片頭痛、緊張型頭痛、薬物乱用頭痛、群発頭痛など日々多くの頭痛患者を診ているが、最近は連日のようにmRNAワクチン接種後頭痛に遭遇している。

 

mRNA vaccine-induced headace、略してMIH(勝手に命名)。

 

頭痛の訴えとしては緊張型頭痛と似ている。ある40代女性は、

 

「ワクチンを左肩に打ったその日の夜中から、左肩から左首、左後頭部にかけて締まるような痛みが上ってきた。朝には右側頭部に移動してきて、今は両側のこめかみが終日ギューッと痛み続けている。」

 

このように訴えていた。血行性にワクチンが移動するにつれて、炎症が波及していくイメージが浮かぶ。

 

他にも同様の訴えを多く聞いているので、これが恐らくMIHの典型例と思われる。拍動性の痛みを訴える人もしばしばいるが、片頭痛のような「体動で増悪し嘔気を伴い動けなくなる」という表現はほぼ聞かない。

 

ロキソニンやイブなど一般的な鎮痛薬に程々反応するところも緊張型頭痛的であるが、数時間で効果が切れるため、痛みが強い場合は日に数回飲むことになる。

 

当院に来院した時点で既に30錠以上の鎮痛薬を飲んでいるということはザラで、そのまま放置するとMOH(薬物乱用頭痛)に進展する恐れがあるため、鎮痛薬以外の対処が必要となる。なお、男女比でいうと圧倒的に女性に多い。

 

今のところ自分は、「五苓散+呉茱萸湯」で対処している。このセットを頓服または朝夕定期内服しているうちに、ほとんどの人は改善している。

 

ただし、1人だけ全快に至らなかった女性がいた。

 

50代女性でモデルナワクチン1回目接種の翌日に38度の熱発と頭痛が出現。熱は3日ほどで収まるも頭痛が続くとのことでワクチン接種から10日目に来院。毎日数回鎮痛薬を頓服するも効果は数時間だけとのこと。鎮痛薬は極力我慢しながら、五苓散+呉茱萸湯を朝夕で2週間内服してもらうも効果実感なし。漢方は中止して、1週間ロキソニン+胃薬を朝昼晩定期内服で続けてもらうと痛みは5/10程度に半減した。更に1週間、何も薬は飲まずに過ごしてもらったところ、痛みの悪化はないが5/10以下にもならなかった。

 

「薬を飲まずに我慢できるレベルにはなったので、しばらくこのまま様子を見させて下さい」と女性が言ったため、一旦終診とした。その後の経過は分からない。

 

ワクチンの接種年齢層が下がるにつれて外来に訪れるMIHは増えており、8月から9月にかけて50人前後が来院した。

 

MIHは圧倒的に若年者で多いが、ワクチン接種後のめまいや倦怠感は高齢者に多い印象である。

 

当院通院中の90歳の女性が、2回目のワクチン接種2週間後に強いめまいと倦怠感が出現し救急搬送された。搬送先で点滴を受けるも改善なく、寝たり起きたりの生活をしているうちに食事が摂れなくなった時は焦った。この時点で、2回目のワクチン接種から1ヶ月が経過していた。

 

この方には、ドパミンのパーシャルアゴニスト作用を期待してレキサルティを0.25mg/dayで使ったところ、1週間で全快した。そして、以前より食事を摂るようになり活気も出て家族には大変喜ばれた。

 

毎日のようにこういうことをやっている。

 

コロナ感染後の後遺症は「long covid」と命名され報告も多数あるが、ワクチン接種後の長引く頭痛やめまい、倦怠感についてまとめたレビューは寡聞にして知らない。

 

コロナ感染にしろワクチン経由にしろ、体内にスパイクタンパクが存在することで惹起された炎症が慢性化してしまう人たちがいるということなのだろう。

 

当院はコロナワクチン接種事業には参加していない。

 

その理由は複数あるが、MIHの患者さんを診るたびに「参加しなくてよかった」と胸をなで下ろしている。「do no harm」が信条なので、自分がワクチンを打った患者さんが立て続けに具合が悪くなったり、または亡くなったりすることがあれば、自責の念で医者を続けられなくなっていたかもしれない。

 

kahoku.news

 

任意接種が建前のコロナワクチンだが、特に、医療・介護の現場ではそうであるが、社会的には「ほぼ強制接種」という様相である。

 

感染の波は人為(人流制限・緊急事態宣言・ロックダウン・ワクチン)をものともせず、来ては去っていく。

 

今後、日本人の大人が3回目のワクチン接種を受けいれ、また未成年者や幼児まで接種することになるのか分からないが、もしそうなったとして、最も利益を得るのは一体誰なのかということは考えておきたい。

 

疾病の診断規準が変更された時、それは、製薬会社にとっては「ブロックバスター(※)」を生み出す千載一遇のチャンスである。

 

※他を圧して莫大な売り上げを上げる薬のことを俗に、ブロックバスターと呼ぶ。

 

かつて高コレステロールの診断基準が変更になった時、ファイザー製の高脂血症薬リピトールは凄まじい売り上げを上げ、ブロックバスターとして売り上げトップの座に長く君臨し続けた。

 

「感冒ウイルス感染症をPCR検査で診断する」、「PCR陽性者は、他者に感染させるかもしれない、また、コロナで死ぬかもしれない感染者である」、「感染しても重症化しないために、複数回ワクチンを打って抗体価を維持することが必要である」といった、これまでにない新基準を我々は積極的に製薬会社に与え、同時に、ワクチンという巨大なブロックバスターもプレゼントした。

 

12歳未満にも接種が積極推奨されるようになれば、mRNAワクチンの売り上げは更に伸びること間違いなしである。

 

www.nikkei.com

 

治験では5~11歳の約2300人を対象に、12歳以上向け投与量の3分の1にあたる10マイクログラム(マイクログラムは百万分の一グラム)を2回接種した。接種後の抗体の平均値は、通常量を接種した16~25歳のグループと、ほぼ同等だったという。副作用の強さも同程度だった。(上掲リンク先より引用。赤文字強調は筆者によるもの)

 

今後、自分の外来に未成年者や幼児たちがMIHで訪れるかもしれないと想像するだに気が重い。*1

 

「コロナ感染、一切許すまじ」と、ほぼ全年代にワクチンを積極推奨する者達は「合成の誤謬」ということを考えたことがあるのだろうか。

 

家庭レベルの倹約は美徳だが、全国民が倹約すると経済は破綻する。ミクロでは合理的と思われることが、マクロでも正しい結果に繋がるとは限らない。

 

人の動きを減らせばウイルスの動きも減るだろう、PCRで陽性者を捕捉して隔離すれば感染拡大は収まるだろう考えて、何度も緊急事態宣言を出し社会全体に自粛を強要した結果、女性や若者の自殺は過去最悪となりGDPは過去最悪の下落を記録したが、そもそも諸外国と比して桁違いに感染者数や死者数が少なかった日本において、その犠牲に見合うだけの成果が得られたのだろうか。

 

自分はここに、合成の誤謬を見る。

 

コロナ罹患で重症化・死亡のリスクがある高齢者がワクチンを打つことは、感染自体の予防は出来なくても、ウイルスに対する防御力を短期間高めて重症化を防ぐことは出来るかもしれない。

 

一方、肥満や糖尿病を除き重症化・死亡のリスクの少ない若年~中年世代、また、ほぼノーリスクの幼年~若年世代ではどうか。

 

彼らは当然だが、高齢者よりも長く生きる。

 

高齢者よりも長く生きる世代が、ある種のコロナ株による重症化を短期間防御できるかもしれないというメリットと、高い確率で起きる接種直後の熱発や頭痛、倦怠感、そして短期~中期的にはADEや接種後死亡のリスク、そして中期~長期的には妊孕性低下や自己免疫疾患発症などのリスクを負う、というデメリットを天秤にかけて、それでもなお「ワクチン接種にメリット多し」と出来るものだろうか。

 

「副反応は心配だけど、何かあってもちゃんと補償されるなら・・・」と考えている人がいるかもしれないが、それは残念ながら適わないであろう。特に、亡くなった場合には。

 

日本ではこれまでにおよそ7000万人がワクチンを2回打ち、接種後死亡者数は公式報告で1000名を超えているが、今のところ全例で「ワクチンとの因果関係なし、または不明」とされ補償は行われていない。集団訴訟で勝利でもしない限り、今後死亡者への保障が行われることはないだろう。

 

最初から法律で免責されている製薬会社が賠償することもない。頭痛や倦怠感程度の副反応であれば尚更、見向きもされることはないだろう。

 

高齢者も若者も幼児も一緒くたにし、任意ではなく事実上の強制でコロナワクチンを接種させることもまた、合成の誤謬に合致すると思われる。

 

「合成の誤謬があり得る」という前提で政策を立案し、施行し、振り返り、ブラッシュアップしながら世の諸問題は解決していくものだと思っていたのだが、少なくとも対コロナ政策においてはそうではなかったようだ。*2

 

「PCR陽性者数もコロナ関連死者数も、また、文化も人種も医療体制も制度も違う諸外国と足並みを揃えて、取り敢えず、とにかく多くの国民にワクチンを打ってみる」

 

これが、漠然とした空気で何となく全体が動いていく日本が辿り着いた一応の着地点だった。

 

空気に期待するのもどうかとは思うが、願わくば、次の着地点が「何となくみんな飽きて、いつの間にかなし崩しに日常が戻ってきた」になって欲しい。そして、それまでの間にコロナ難民の死亡者とワクチン接種による死亡者が最小限に留まることを望む。

 

www.jetro.go.jp

 

「ワクチン接種者でも、非接種者と同様に他者への感染性はある」ということが分かった以上、「大切な人を守るために」という理由でワクチンを打つことに意味はなくなった。*3

 

ただし、「副反応は怖いけど、コロナで死にたくはないのでワクチンを打ちたい*4」という考えは尊重されなくてはならない。

 

ワクチンを打つ権利もあれば、打たない権利もある。これは、自由な社会に住む我々が等しく享受する当然の権利のはずだ。

 

個人の自由意志が守られる自由な社会でありたいなら、ワクチン接種はやはり任意でなくてはならないと思う。

 

 

www.ninchi-shou.com

 

コロナワクチン強制接種

Photo by Kuzzat Altay on Unsplash

 

*1:リスクの少ない世代には、IgGではなくIgAを誘導し粘膜面で防御する点鼻ワクチンなどが使えるようになれば、と願う。また、スパイクタンパクに曝露されることそのものが致命的になるのかどうか、事前に簡便に調べられる検査の開発も望む。

*2:全体主義的社会とは、為政者が合成の誤謬を斟酌せずに社会を分断させ相争わせ、結果的に多くの個人の自由が制限・剥奪された社会と言い換えても良いように思う。

*3:ワクチンパスポートは、「私は他者に感染させないので安全です」ではなく、「私個人は重症化する可能性が数ヶ月は低いらしいです」という証明書にしかならない。そんなことを他者に証明して、感染拡大防止に意味があるとは思えない。

*4:このことを声高に言うのは気が引けるという人は多いのかもしれない。自己中心的と思われたくない人に、「患者さんのために」とか「大切な誰かのために」という文言は殺し文句になり得る。