鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

オルタナティブ・ストーリーを生きる。

「自分はこういう人間で、家族はこういう人間で、自分が属する共同体はこのようなもので・・・」 人はみな、このような物語を編みながら生きている。

ナイアシン処方の工夫について。

統合失調症の方を数名診ている。 長年の経過で陽性症状は既に枯れ、陰性症状メインの方達である。みなさん抗精神病薬は精神科が処方しており、当院では生活習慣病対策を行っているのだが、少しでも抗精神病薬の減量に繋がればと考えてナイアシンを処方している。

防衛医療に徹していると、改善の機会を逃すことがある。

治療における選択肢を示すことは、医者の重要な仕事の一つだと思っている。 www.ninchi-shou.com ただ、全ての選択肢を同列で説明する訳ではない。 防衛医療*1に徹しすぎると患者さんが改善の機会を失う事があるため、これまでの自分の経験から上手くいく可能性が…

一回だけの診察で、情報をどこまで伝えるべきか?

診察で得られた情報を、患者さんや家族にどこまで説明するべきなのだろうか。このことで、しょっちゅう悩む自分がいる。 特に、その情報が確定的なものではなく、自分の推測が多く含まれていて、尚且つその推測に対する明確な対処法(決定的な治療法)がない場合には、…

運転免許の自主返納を促すにあたって、気をつけていること。

道路交通法改正から、およそ7ヶ月が経過した。 www.ninchi-shou.com 運転免許継続に関わる当院への診断書作成依頼は、徐々に増えてきている。

専門医療の足し算は、高齢者を幸せにするだろうか?

病気を診ずして病人を診よ(高木兼寛) 蓋し名言である。 ある患者さんが、自分の専門領域の病気のみに罹患しているとする。その病気の治療が上手くいき、治癒に成功すれば仕事は終了である。 では、患者さんが自分の専門領域以外の病気に罹患している可能性を感じた…

「困っていない。放っておいてくれ」という人に介入するために必要なこと。

医者という仕事をしていながらこういうことを言うのもアレだが、自分は極力病院にはかかりたくないと思っている人間である。*1 認知症診療をしていて時にやりきれなくなるのは、「私はどこも悪くないし困ってもいなのに、なんで病院にこなくちゃいけないの?」と、怒…

こうして、ポリファーマシーが増えていくのだろうか。

一人の患者さんに対して、複数の病院が複数の処方を行っている状況を写真で表現するならば、以下の様になると思う。 Recursive Pizza flickr photo by aaronparecki shared under a Creative Commons (BY) license このことがポリファーマシー*1の大きな要因と…

幻視に関する雑感(シャルル・ボネ症候群など交えながら)

認知症外来をしていると、”幻”の話を聞くことが多い。 我が国には「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という俳句があるが、「妖精を見た」とか「神が顕現した」といった古今東西の逸話のうち幾分かは、当時の人々が見た幻視なのだろう。

【書評】コウノメソッド流 認知症診療スピードマスター

認知症外来を始めて、そろそろ丸五年が経過する。 外来で得られた各論的知見を、机上の勉強で学んだ総論にフィードバックさせ続け、「自分なりの」総論を模索する日々である。

ベイカー嚢胞とは。

70代女性 アルツハイマー型認知症 ある日の外来。 アルツハイマー型認知症で通院中の70代女性が、左膝を最近痛がるようになったとご家族から聞いた。 膝窩部に腫瘤を触れたのでCTを施行したところ、以下の様な画像が得られた。

診断名の変遷(レビー小体型認知症→進行性核上性麻痺)

最初に変性疾患の診断を下した医者が、その患者さんを最後までフォローすることは、恐らくだが殆どないと思われる。 施設入所などをきっかけに主治医が変更になると、病名と薬は概ね引き継がれる。 しかし、最初に診断した医者だけが持ち得た診断に当たっての…

【妄想的小考】ニンチガー症候群とは?

世に蔓延るニンチガー症候群*1。 その定義は以下の様なものである。 適切なアセスメントをせずに"認知面低下=認知症"と即断し、"認知症=ニンチ"と頻繁に略する。また、場にそぐわない行動をとる患者や利用者を指して「ニンチが進んだ」と表現し、薬物投与で対処を図…

「自分は浄化された」という患者さんの話。

東洋医学では、好転反応と呼ばれる身体反応があるらしい。 好転反応(こうてんはんのう)とは、もともとは東洋医学(按摩や鍼)で使われる用語で、治療の過程で一時的に起こる身体反応のこと。反応の程度はさまざまである。(Wikipediaより引用)

どちらも長谷川式テスト22点だが、対象的な87歳。

支える人が周囲にいるのかどうか。いるならば、その人達に何をお願いすべきか。いなければ、どのように支援体制を構築していけばよいのか。薬は必要なのか。必要でないならば、どのようにして病院とのつながりを保てばよいのか。薬が必要なら、その量や内服回数はどの…

「なにかあったらいけないから」CTは積極的に撮影すべき?

「なにかあったらいけないから、早めに病院を受診しましょう」 「なにか」を否定したいのが本人ではない場合、「病院へ〜」の促しは慎重にしたいものである。

自院のことを考えつつ、患者さんの満足度に気をつけつつ。

病院を受診し、窓口でお金を払う。領収書を見ると、色々と書いてある。 初・再診料〇〇点 画像診断〇〇点 投薬〇〇点 処置〇〇点 各々を合計して負担率(3割や1割)を掛けた金額が、いわゆる自己負担額である。

こどもへの鉄補充について。

以前ブログで取り上げた少年(以下、Y君)の、その後を報告。 2017年夏の、ちょっとした良い想い出になった。 www.ninchi-shou.com

【経過報告】以前シチコリンで復活した女性、再度のシチコリンでまたしても復活。

以前、当ブログで紹介した方の経過報告。 www.ninchi-shou.com

認知的不協和と非科学的態度について。

週刊東洋経済(2017年8/12-8/19合併号)に、「抗認知症薬の功罪」というタイトルの記事が掲載された。 週刊東洋経済 2017年8/12-19合併号 [雑誌] posted with amazlet at 17.08.15 東洋経済新報社 (2017-08-07) Amazon.co.jpで詳細を見る 記事を一部抜粋しながら…

器質的な脳萎縮が先行→軽度認知機能障害パターンを経過観察中。

以前ブログで紹介した方の続報。 www.ninchi-shou.com 同記事最後の部分を引用する。

親に認知症の可能性を見出そうと焦る前に、まずは親の不安を受けとめる。

これは自分にとっても大いに言えることなので、自戒の意味を込めて書く。

常同行動とアイデンティティについて。

息子さん夫婦と暮らす、80代のアルツハイマー型認知症の女性。 診察室の中では常に笑顔で、愛想よく話す。その様子を、同伴のご家族は醒めた目で眺めている。

特発性正常圧水頭症(iNPH)診療の前提として必要なこと。

脳神経外科速報という雑誌を、もう10年以上定期購読している。 脳神経外科速報 2017年8月号(第27巻8号)特集:ひたすら優れた臨床医を目指して ─自分の伸び代を信じて進め posted with amazlet at 17.07.27 メディカ出版 (2017-07-27)売り上げランキング: 73,644…

フェリチンとBUNが高いと、糖質制限がうまくいきやすい(特に女性)

とある50代女性をご紹介。

【症例報告】初診時の説明は、あとになって役立つことがある。

AVIM(無症候性脳室拡大)という概念がある。 www.ninchi-shou.com 画像上は非常に疑わしくても、その時点で症状に乏しければ様子観察でもよいと思う。 ただし、「将来的に水頭症が顕在化することは十分にあり得る」ということを強調しておけば、いざという時に思い出…

夫婦別々で話を聞くことは、時に必要である。

外来では通常、患者さんとご家族いっしょに話をきく。概ねそれで問題はない。 しかし時に、患者さんに同伴したご家族が伴侶であった場合、ご夫婦別々で話を聞くことがある。

【書評】『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』を読んで。

書評に名を借りた、いつもの自分語り。 素養があれば、あっという間に読める。素養がなければ、眼からウロコの連続だろう。

学校検診でピロリ菌の尿中抗体を調べるという試みについて。

鹿児島県では、平成29年度の新規事業として、県内の高等学校、特別支援学校高等部、高等専門学校及び専修学校(以下、「高等学校等」という。)の1年生のうち、保護者の同意を得られた生徒を対象として、学校検診の尿検査の献体の一部を利用し、尿中ピロリ菌交代の有無に…

2年越しで届いた、患者さんへのメッセージ。

これまでに何度か、認知症患者さんから「先生はエクボが出るね」と言われたことがある。 ちなみに、ご家族からは一度も言われたことはない。