以前ブログで紹介した方の続報。
www.ninchi-shou.com
同記事最後の部分を引用する。
眠剤を止めて元に戻っているので、「良かったですね」でお終いにすると、この方の場合は少し心配である。
何故なら、側頭葉外側部と皮質円蓋部の萎縮がかなり目立っているからである。
「器質的な脳萎縮が先行した結果、脳の耐性が低下して眠剤の影響を受けやすくなっていた」と考えておいた方が良いと思う。
つまり、先々の本格的な認知症発症の可能性は留保しておくということ。
こういう予想は、杞憂に終わればそれに越したことはないし、先に備えて色々とイメージしておくことが大事だと考えている。
この方は現在、MCI(軽度認知機能障害)として経過観察中である。*1
今後アルツハイマーに発展していくのかは神のみぞ知ること。
だが、何となくではあるが、MCIのままでゆっくりと時間が過ぎていくような気はしている。
80代女性 軽度認知機能障害(MCI)
初診から14ヶ月後
- HDSR23
- 遅延再生5
- 透視立方体模写と時計描画テストはOK
ややスローになった印象。自覚的な衰えは感じるとのこと。
夏頃にはかなり抑鬱的となり、「死にたい」などと言うことがあった。
慌てた娘さんがフェルガード100Mを開始。
それから4ヶ月経過し、だいぶ落ち着いてきたと。
計算などは億劫がるようになり、ADLは自立してはいるが、ご主人への依存が少し増したようだ。
4ヶ月後で再評価。何か使うとしたらリバスタッチかな?
4ヶ月後
MCIで経過観察中。
前回と変化なし。フェルガード100M継続中。また4ヶ月後ぐらいで。
初診から2年経過
- HDSR21
- 遅延再生3
- 透視立方体模写と時計描画テストは何とかOKかな
2年前からすると6点の低下。遅延再生も3点低下。
頭部評価を行うと、脳萎縮は2年前と比較して目立った変化はない。
家族本人希望でリバスタッチ4.5mg開始。
1ヶ月後
- 自発性と意欲が向上
- 自らJRの切符を買うようになった(近年なかったこと)
- 自ら料理をする回数が増えた
自覚的他覚的改善。掻痒感なし。良かったですね。
4.5mgで継続。LCSで右臀部しびれ、整形外科通院中。
2ヶ月後
自発性向上を自覚的他覚的に感じているとのこと。
ご主人がかなりうれしそう。「認知症は治るんですね!!」と興奮して喋りっぱなし。
貼り忘れには注意を。
2ヶ月後
- HDSR24
- 遅延再生5
- 透視立方体模写と時計描画テストは完璧
最近身内が亡くなって、一時気落ちしたが今は大丈夫。家事をすることが増え、笑顔も一杯見られるようになったと娘さんは喜ぶ。お孫さんから貰った電子時計で毎朝日時を確認し、日めくりカレンダーを破って一日を始めているとのこと。
このままの日々が続けばと、家族皆が願っている。
(引用終了)