約3年経過をみてきたMYさんが先日、心不全で入院となった。
89歳女性 DLB+VaD
MKさんは3年前にブログで取り上げたことがある。
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一旦落ち着いてからは、かなり安定した状態で長期維持出来ていた。ウインタミンはしばらく使って中止し、最近の処方は以下の様になっていた。家族の都合などもあり、全て朝一回の内服である。
- クロピドグレル75mg 1T1XM
- ニコランジル5mg 1T1XM
- フェロミア50mg1T1XM
- ビタメジンカプセル50mg 1C1XM
- 抑肝散2.5g 1P1XM
- イクセロンパッチ4.5mg
3月に入って部屋のあちこちで排泄した形跡がみられるようになり、4月に入ってからは食欲が落ち、デイサービス利用時のSpO2(酸素飽和濃度)の数値が90を下回るようになったため、予約日よりは早かったものの先日受診して頂いた。
語義失語のある認知症患者さんは、痛みやキツさを言葉で訴えられない
MYさんの胸部レントゲン画像は、心胸郭比が約80%*1と高度拡大を呈し、胸水貯留も認めた。下腿浮腫は目立たなかったが、SpO2は88%と低下していた。
心不全の可能性を考え、すぐに循環器のある病院に紹介したところ、即日入院となった。
心不全診断に利用されるNT-proBNPというマーカーの数値は、38956pg/ml。このような数値は、かつて見たことがなかった。*2
加齢に伴い痛みの感度は鈍くなるが、認知症患者さんではなおさらである。特に、語義失語の強い方は、痛みや苦しさを言葉で伝えることが困難なため、気づかれぬ間に重症化していることをしばしば経験する。
基本的には、何らかの訴えがあって初めて検査を行うようにしているのだが、今回のような症例を経験すると、特に語義失語を認める認知症患者さんであれば、定期的に胸部レントゲン検査ぐらいはしておいた方が無難かもしれないと考えさせられた次第であった。
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