鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

雑記

社交について感じていること。

勤務医時代よりも意識して、患者さん達に愛想良く振る舞おうと努力している自分がいる。院長が無愛想なクリニックには、誰も来たがらないだろうから。 医師の愛想や機嫌の良さは、患者さんやご家族に安心して頂くために必要なスキルということは理解しているので、…

オルタナティブ・ストーリーを生きる。

「自分はこういう人間で、家族はこういう人間で、自分が属する共同体はこのようなもので・・・」 人はみな、このような物語を編みながら生きている。

専門医療の足し算は、高齢者を幸せにするだろうか?

病気を診ずして病人を診よ(高木兼寛) 蓋し名言である。 ある患者さんが、自分の専門領域の病気のみに罹患しているとする。その病気の治療が上手くいき、治癒に成功すれば仕事は終了である。 では、患者さんが自分の専門領域以外の病気に罹患している可能性を感じた…

「困っていない。放っておいてくれ」という人に介入するために必要なこと。

医者という仕事をしていながらこういうことを言うのもアレだが、自分は極力病院にはかかりたくないと思っている人間である。*1 認知症診療をしていて時にやりきれなくなるのは、「私はどこも悪くないし困ってもいなのに、なんで病院にこなくちゃいけないの?」と、怒…

【書評】コウノメソッド流 認知症診療スピードマスター

認知症外来を始めて、そろそろ丸五年が経過する。 外来で得られた各論的知見を、机上の勉強で学んだ総論にフィードバックさせ続け、「自分なりの」総論を模索する日々である。

「なにかあったらいけないから」CTは積極的に撮影すべき?

「なにかあったらいけないから、早めに病院を受診しましょう」 「なにか」を否定したいのが本人ではない場合、「病院へ〜」の促しは慎重にしたいものである。

自院のことを考えつつ、患者さんの満足度に気をつけつつ。

病院を受診し、窓口でお金を払う。領収書を見ると、色々と書いてある。 初・再診料〇〇点 画像診断〇〇点 投薬〇〇点 処置〇〇点 各々を合計して負担率(3割や1割)を掛けた金額が、いわゆる自己負担額である。

認知的不協和と非科学的態度について。

週刊東洋経済(2017年8/12-8/19合併号)に、「抗認知症薬の功罪」というタイトルの記事が掲載された。 週刊東洋経済 2017年8/12-19合併号 [雑誌] posted with amazlet at 17.08.15 東洋経済新報社 (2017-08-07) Amazon.co.jpで詳細を見る 記事を一部抜粋しながら…

夫婦別々で話を聞くことは、時に必要である。

外来では通常、患者さんとご家族いっしょに話をきく。概ねそれで問題はない。 しかし時に、患者さんに同伴したご家族が伴侶であった場合、ご夫婦別々で話を聞くことがある。

学校検診でピロリ菌の尿中抗体を調べるという試みについて。

鹿児島県では、平成29年度の新規事業として、県内の高等学校、特別支援学校高等部、高等専門学校及び専修学校(以下、「高等学校等」という。)の1年生のうち、保護者の同意を得られた生徒を対象として、学校検診の尿検査の献体の一部を利用し、尿中ピロリ菌交代の有無に…

高齢者に「服薬管理マシーン」は必要か?

Bloombergから。 www.bloomberg.co.jp

白内障の手術をしても大丈夫かどうかを、眼科医から確認されることについて。

手術は通常、執刀医(もしくは執刀医が所属する専門科)の責任の下に行われる。 ただ、全身麻酔の手術で、かつ緊急ではない予定手術であれば、心臓を含めた全身状態が全身麻酔に耐えうるのかどうかを事前に循環器科や麻酔科に相談することはある。

認知症を隠れ蓑にして無罪を主張したのか?

JCASTニュースから。 www.j-cast.com

小林麻央さんの訃報に接して。

2年8ヶ月の闘病の末、小林麻央さんが旅立った。 多くの人が彼女を応援し、回復への期待を抱きつつも、病状の悪化に心を傷めていたことと思う。自分もその一人であった。 彼女のBlogが開設された当初、しばらく読んでいた時期があった。 栄養療法を行っている身として…

ヘッドバンギングと慢性硬膜下血腫との関連について。

ライフワークは音楽鑑賞です(唐突)。 ロックよりの音楽を中心に、色々なジャンルを聴く。最近は頻度が減ったが、以前はHeavy Metalをこよなく好んで聴いていた*1。 高校時代、「メタリカの"Battery"で起床するか、それともメガデスの"Holy Wars"で起床するか」が、ちょ…

1型糖尿病に対するメトホルミンが、長期的に心血管イベントを抑制したというニュース。

Medical Tribuneから。 1型糖尿病にもメトホルミン|ニュース|Medical Tribune

読書について。

ライフワークは読書です(唐突)。 小学生の頃は、自宅に転がっていた森村誠一や江戸川乱歩といったミステリーをよく読んでいた。

日記を書くことで記憶をつなぎ止めようとし、日記を読むことで嫌なことを思い出す。

ある80代男性(以下Aさん)について。

ケアマネさんや介護事業所との連携に用いているアプリを紹介。

ケアマネさん達がダイレクトに患者さんを紹介してくれる。 家族背景がpoorであったり、同伴の家族の理解力に難がある場合には、ケアマネさんが付き添ってくることが多い。持ち出し上等で頑張ってくれるケアマネさん達が少しでも楽が出来るように(ついでに自分も)…

「周辺視野が衰えていく≒マルチタスクが苦手になる」という推測。

ご主人を介護中の80代女性が、物忘れのご相談で来院された。ADLは自立しているものの、最近物探しが増えて冷蔵庫管理が苦手になり、料理の段取りや味付けが怪しくなってきたとのことであった。

「認知機能」ではなく、「運転技能」で免許更新の是非を判断すべきだと思う。

Medical Tribuneから。 認知機能ではなく、運転技能で免許更新を|ニュース|Medical Tribune 免許を交付するのも停止するのも警察。医者に免許取り消しの責任を負わせようとしていないか? 新井氏は私見として「本来、運転免許証の更新の可否は運転技能によっ…

The Spirit Carries On

大切なことを患者さんから教えて貰ったので、忘れないうちに書きとめておく。 後々、音楽と共に患者さんの想い出が蘇ってくれることに期待して。 white heart flickr photo by Lora Huber shared under a Creative Commons (BY) license

アルツハイマー治療薬「アデュカヌマブ」、先駆け審査指定品目に。

エーザイとバイオジェンが共同開発中のアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」が、最終段階に入っているようだ。

【書評】『明日から役立つ 認知症のかんたん診断と治療』

結論から先に言うと、「すんごく分かりやすい」本です。

【書評】『認知症 症例から学治療戦略ーBPSDへの対応を中心にー』

書評という名の自分語り。 木村武実先生*1の御著書、『認知症 症例から学治療戦略ーBPSDへの対応を中心にー』の改訂版が出版された。初版は2012年8月なので、約5年ぶりの改訂である。 初版から微修正された今回の改訂版)を読みながら、懐かしい気持ちに浸った。 *1:…

「自分は何かに帰属している」という意識は、老年期の支えになる。

家族がいてくれるから何も困らないよ。ありがたいことだね。 きれいに周囲に溶け込み、ほぼ個を無くしたかのようにみえる仏様のようなおばあちゃん。 若い頃は仕事を頑張りました。今でも当時の連中には会って元気を貰っていますよ。 周囲から屹立し(孤立で…

ノベルジンが、低亜鉛血症治療薬とした追加承認を受けたというニュース。

Medical Tribuneから。 medical-tribune.co.jp

純粋自律神経不全症(PAF)とは?

最近、自律神経に関して調べ物をしている時に知った「純粋自律神経不全症(PAF)」という病態について紹介。 以下、MSDマニュアルより抜粋引用。

メマリー雑感

先日、抗認知症薬メマリーを販売している第一三共の学術担当者と話していて、その後色々と考えてみたことを書いてみる。 今回は、ちょっと専門的な内容となります<(_ _)>

【書評】コウノメソッドでみる認知症の歩行障害・パーキンソニズム

2017年3月に発売された「コウノメソッドでみる認知症の歩行障害・パーキンソニズム」を読み終えたので感想を書いてみる。