ライフワークは読書です(唐突)。
小学生の頃は、自宅に転がっていた森村誠一や江戸川乱歩といったミステリーをよく読んでいた。
その後、「雨月物語」や「太平記」、「春秋左氏伝」や「史記」、「水滸伝」や「三国志」といった和漢の古典を繰り返し繰り返し読み、文天祥の「正気の歌」に心を震わせるような中学高校時代を送った。*1
それなりの著作数がある日本人作家でcompleteしているのは陳舜臣、司馬遼太郎、遠藤周作、塩野七生など。
思想的には、福田恆存、エドマンド・バークやJ・M・ケインズ*2などに影響を受けており、立ち位置(態度)は保守だと思う。ただし、近年の保守と言われている政治家や言論人、その支持層には何のシンパシーも感じていない。
西洋文学は、背景に分厚いキリスト教の壁を感じるような大作は苦手。教養のつもりで読んだヘッセやスタンダールは面白かったが、ドストエフスキーには圧倒されて終わった。
ただし、キリスト教を経る前の古代ギリシアやローマの著述、例えばプラトンやセネカ、マルクス・アウレリウスなどは好んで読む。
特に、カエサルの「ガリア戦記」は墓場にもっていきたい一冊である。
カエサル
岩波書店
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基本的な読書の傾向としては、政治や歴史、経済に偏重している。
たまに読む良質のSFは、想像力の幅を拡げてくれる
医者になってからは、仕事に関連する書籍を読む比率が増えた。仕方のないことではある。
これは快適な読書人生という意味ではちょっとした不満なのだが、このちょっとした不満は、たまに読むSFが解消してくれるので今のところ助かっている。
素晴らしいSFを読み終えた後のカタルシスは、他のジャンルで得られる読後感とは別次元のものである。
個人的なSFベスト3を順不同で以下に挙げてみる。
クラーク
光文社
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ジェイムズ・P・ホーガン
東京創元社
売り上げランキング: 1,018
アイザック・アシモフ
早川書房
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クラークもホーガンもアシモフも、既にこの世にはいない。しかし、作品はいつまでも色あせない。
「幼年期の終わり」のラストで感じる、なんとも言えない心地よい無力感。
「星を継ぐもの」の、緻密な設定と伏線回収の妙。
ファウンデーション初期3部作が持つ躍動感、そして30年の時を経て再開となった後期シリーズに投影された、作者アシモフが経てきた人生の陰影。
いずれの読書体験も自分にとって貴重な財産となっていて、今でも時に手にとって眺める。*3
良く出来た私小説を呼んだ後は、誰かの人生に迷い込んだような感覚を覚える。しかし、良質のSFを読んだ後は、自分に何かが加わり、自分の幅が拡がったような感覚になる。
今の自分は、私小説のそれよりも、SFの読後感を好んでいるように感じている。