Medical Tribuneから。
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低亜鉛血症とは
ウィルソン病治療薬として承認されている「ノベルジン(一般名:酢酸亜鉛水和物)」が、2017年3月に国内で初めて「低亜鉛血症」の適応で効能追加の承認を受けた。以前の医学部教育では臨床栄養学の教育が不十分であったため、臨床医が「亜鉛欠乏症」「低亜鉛血症」について十分な知識を持っているとは言い難く、亜鉛欠乏症は見逃されてきた。また、医療医薬品としての治療薬がなかったことから、今回の酢酸亜鉛水和物の効能追加の承認は、特に臨床栄養学の知識を有する医師にとって、医療現場での亜鉛欠乏症治療に大きな期待が持たれる。4月26日に、東京都で行われたノーベルファーマのプレスセミナーで、同症に対する治療法が紹介された。(同ニュースより引用。)
栄養療法を行っている医師には朗報。
亜鉛は体内で300以上の酵素活性に関わっているとされる重要なミネラル。*1
亜鉛欠乏により
- 皮膚障害
- 怪我が治りにくい
- 味覚や嗅覚の障害
- 食欲低下やアパシー
といった様々な症状を呈するが、目立たない形での潜在的亜鉛欠乏患者は相当な数いるだろうと言われている。
なお、血液脳関門における重要な防御因子であるメタロチオネインの遺伝子発現にも関与しているので、亜鉛欠乏と認知症には相関があると思われる。*2
亜鉛の血中濃度は、SRLによると65~110ng/dlが一応の基準範囲。
しかし、90ng/dl~100ng/dlぐらいでも亜鉛欠乏の人は結構見かける。また、高齢者の亜鉛値は低アルブミンの影響も受けるので、最近はあまり亜鉛血中濃度は測定しなくなった。
代わりに、ALP(アルカリフォスファターゼ)を見るようにしている。代表的な亜鉛酵素であるALPは亜鉛欠乏の目安となる。基準値は130〜300(IU/l)で、肝臓や胆道系の異常があれば高値となるが、低値の場合には亜鉛欠乏を疑うようにしている。
ちなみに自分はALPが低め(130~150ぐらい)で、亜鉛はサプリで補充している。アルコールを飲む人は、ビタミンミネラルが尿中に逃げやすいのでご注意を。
亜鉛補充には、プロマックDかノベルジン
これまで亜鉛欠乏に対しては、保険診療内ではプロマックD(胃薬)しか出せず、病名にいつも苦慮していた。
今後は、「低亜鉛血症」と正々堂々病名をつけて、ノベルジン*3を出せるということになる。
ちなみに、プロマックDの亜鉛含有量は約17mg/錠。通常は一日2錠内服なので、約34mg/日の亜鉛を補充できる。
ノベルジンは、添付文書によると25mg製剤では25mg/錠の亜鉛含有量となっており分かりやすく、25~100mg/日の投与が可能となっている。

(ノーベルファーマ医療関係者向けサイトより引用)