2011年の9月から糖質制限を始め、今年の9月で9年目に突入した。
これまでの丸8年間のうち、9割方はスーパー糖質制限(1日糖質摂取量60g以下)で過ごしてきた。途中で何かよっぽどのことがない限りは、今後も糖質制限を続けていく予定である。
スーパー糖質制限開始1年で13kg減量してから、体重は±2kgの増減内でとどまり、この8年間はほぼ一定している。
先日測定した身長体重は以下。
- 身長183cm
- 体重62.3kg
- 体脂肪率9.5%
- 骨格筋率32.3%
採血データは別の機会に紹介する。
グルカゴンの重要性
「糖尿病はグルカゴンの反乱だった」という本を読み、糖質制限者として幾つかの気づきを得ることが出来た。
稙田 太郎
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以下、参考になった記載を列挙していく。
空腹時血糖の70%までをグルカゴンが決めている
暁現象の多くはグルカゴンの働きに因るのだろう。
糖尿病の α細胞(グルカゴン)は"狂って"おり、ブドウ糖によって抑えられずむしろ分泌が高まるという奇異性反応が、1型、2型を問わず糖尿病の根底にあった
糖尿病の特徴的な代謝異常すなわち肝臓でのブドウ糖産生の増加(グリコ ーゲンの分解やアミノ酸などからのブドウ糖の新生)およびケトン体産生の亢進(難しい言葉が並びましたが、後で説明されます)が 、「インスリンの欠乏 」でも、また 「グルカゴンの過剰 」でも同じように惹き起こされる
「通常は低血糖で分泌が亢進し、高血糖で抑制されるはずのグルカゴンが、高血糖でむしろ分泌亢進し、そのことが糖尿病の根底にある」という指摘。
これは非常に重要と感じた。
高血糖という現象をインスリン欠乏の結果とみるか、それともグルカゴン過剰の結果とみるか。高血糖という結果"だけ"を見ていては区別が付かないということである。
最も印象的だったのは、第5章「膵島内の混乱(パラクリノパシー)」。以下に抜粋する。赤文字強調は筆者によるもの。
β細胞が α細胞を包み込む型 (ラッピングパターン)が60%で、その逆 (α細胞が β細胞を包み込む型)はほとんど観られませんでした。残りの多くは両者が対等に並んでいました
α細胞を野放しにできないためで 、β細胞は高濃度のインスリンで一気にα細胞のグルカゴン分泌を封じ込めている
「膵島内α細胞とβ細胞の配列がラッピングパターンか否か」ということが、糖質制限がうまくいくか否かに関係しているかもしれない。
配列がラッピングパターンの人はグルカゴンの暴走を押さえ込みやすいだろうから、追加分泌能力を疲弊させないために普段から精製糖質過剰摂取を控えておくのがいいだろう。
低カロリーにならないように気をつけ、フェリチンやBUNをモニタリングしながら取り組んでいるにも関わらず糖質制限がうまくいかない人は、配列が非ラッピングパターンなのかもしれない。
そういう人は、内因性インスリンを惹起しグルカゴンを抑えるために必要なGLP-1を上手く働かせることを優先させた方がいいのかもしれない。
GLP-1を分泌させるには「穀物と一緒に水溶性食物繊維を摂る」ことが重要となるため、手っ取り早い方法としては「麦飯を摂る」のがいいだろう。
この方法は、穀物を減らすことにどうしてもストレスを感じてしまう人にとっても有益な手段となる。
処方薬で工夫するなら、胆汁酸とGLP-1の関係を考慮して便秘の人はグーフィスを、脂質異常のある人はクレストラン、コレバインといった薬が候補になる。
糖質制限の意義
糖質制限生活が9年目に入り、特に体重コントロールという点において、もともと歩行に難のある自分は糖質制限の恩恵を十分に被っている。
屋内で座りっぱなしの仕事で、運動しようにも身体条件が不利かつ時間の捻出も厳しい自分が生きていくために必要としているメインのエネルギーは、瞬発力重視の糖質ではなく持続力を重視した脂質である。
置かれている環境や要求されるパフォーマンスによって、必要とされるエネルギー源も変わるということだ。
糖尿病患者はさておき、健常人がみな一律にスーパー糖質制限が望ましいとは思わないし、同様に、水溶性食物繊維さえ一緒に摂っていたら炭水化物の量は気にする必要はない、とも思わない。
普通に食べているつもりでも糖質摂取量は絶対的または他の栄養素と比較して相対的過剰となりがちなので、「自分が許容しうる糖質量」を意識して生活することが大切だということだ。*1
そして、糖質を制限しようと考えたら、その目的は明確化した方がよい。目的が明確であれば、目的を達成するための方法について詳しく調べるだろうから。
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