当院ではグルタチオン点滴療法を行っている。
当初の対象患者はレビー小体型認知症やパーキンソン病、つまり筋固縮や小刻み歩行といった"パーキンソニズム"を持つ方達であったが、その後PSP(進行性核上性麻痺)やCBD(大脳皮質基底核変性症)といったパーキンソン関連疾患と位置づけられる難病、そのほか脳卒中後の失調歩行などにも適応を拡げつつある。
万能というわけではないが、著効する人はいる。
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しかし効かない人も当然いるし、効いても効果持続時間が短かいために、継続通院が困難になって離脱していく人もいる。
安全かつ効果持続時間を伸ばせるような工夫を、常に模索している。具体的には、「グルタチオンに何を足すか?」ということなのだが、オーソドックスな追加薬品は、シチコリンやソルコセリル。
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シチコリンは賦活剤として単独でも使い勝手のいい薬剤だが、グルタチオンと組み合わせて使うことも出来る。脳外科領域では昔から頻用されてきた薬で、安全性は高い。ただし、1000mgを超えての使用には、慎重な態度で臨んでいる。勿論1000mg以上は自由診療領域である。
ソルコセリルもまた、脳外科領域では古典的で安全性の高い薬剤である。ただし、シチコリンと比較すると、効果は弱い印象である。
グルタチオン点滴をパワーアップさせたい
人体とは酸化還元反応の総体とも言い換えられる。酸化により様々な病気が惹起されるが、それを防ぐために人体は様々な機構を擁している。
過酸化水素対策で人体が準備しているのは、カタラーゼとグルタチオンペルオキシダーゼ。カタラーゼは鉄酵素、グルタチオンペルオキシダーゼはセレン酵素。鉄やセレンが不足しては、カタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼは十分な働きが出来ない。
グルタチオンペルオキシダーゼの補因子がビタミンB2ということを知ってから、グルタチオン点滴内にB2を混注するようになった。これは、一定の効果を感じている。
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また、ビタミンB5が細胞内CoAの濃度を高め、グルタチオン濃度も高める(機序不明)ということを知ってから、B5も使用するようになった。ただしこれは、まだ明らかな効果は実感出来てはいない。