鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

抗酸化治療の工夫について【グルタチオン+ビタミンB2、B5】

 当院ではグルタチオン点滴療法を行っている。

 

当初の対象患者はレビー小体型認知症やパーキンソン病、つまり筋固縮や小刻み歩行といった"パーキンソニズム"を持つ方達であったが、その後PSP(進行性核上性麻痺)やCBD(大脳皮質基底核変性症)といったパーキンソン関連疾患と位置づけられる難病、そのほか脳卒中後の失調歩行などにも適応を拡げつつある。

万能というわけではないが、著効する人はいる。

 

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しかし効かない人も当然いるし、効いても効果持続時間が短かいために、継続通院が困難になって離脱していく人もいる。

 

安全かつ効果持続時間を伸ばせるような工夫を、常に模索している。具体的には、「グルタチオンに何を足すか?」ということなのだが、オーソドックスな追加薬品は、シチコリンやソルコセリル。

 

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シチコリンは賦活剤として単独でも使い勝手のいい薬剤だが、グルタチオンと組み合わせて使うことも出来る。脳外科領域では昔から頻用されてきた薬で、安全性は高い。ただし、1000mgを超えての使用には、慎重な態度で臨んでいる。勿論1000mg以上は自由診療領域である。

 

ソルコセリルもまた、脳外科領域では古典的で安全性の高い薬剤である。ただし、シチコリンと比較すると、効果は弱い印象である。

 

グルタチオン点滴をパワーアップさせたい 

 

人体とは酸化還元反応の総体とも言い換えられる。酸化により様々な病気が惹起されるが、それを防ぐために人体は様々な機構を擁している。

 

過酸化水素対策で人体が準備しているのは、カタラーゼとグルタチオンペルオキシダーゼ。カタラーゼは鉄酵素、グルタチオンペルオキシダーゼはセレン酵素。鉄やセレンが不足しては、カタラーゼやグルタチオンペルオキシダーゼは十分な働きが出来ない。

 

グルタチオンペルオキシダーゼの補因子がビタミンB2ということを知ってから、グルタチオン点滴内にB2を混注するようになった。これは、一定の効果を感じている。

 

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また、ビタミンB5が細胞内CoAの濃度を高め、グルタチオン濃度も高める(機序不明)ということを知ってから、B5も使用するようになった。ただしこれは、まだ明らかな効果は実感出来てはいない。