タップテスト(髄液排除試験)とは?
タップテストとは、腰椎穿刺(腰椎の隙間から針を差し込む検査)を行い、脳脊髄液を採取する検査のことである。
髄膜炎や神経変性疾患が疑われる場合に行われるが、正常圧水頭症が疑われる場合には、脳脊髄液を抜いて症状が改善するかを観察する。
脳神経外科や神経内科領域においては、最も日常的に行われている検査の一つである。
検査の危険性は?
- 穿刺により脊髄を痛める可能性
- 感染症を起こす可能性
- 脳脊髄液が抜けることで、頭痛や硬膜下血腫を起こす可能性
主な危険性は上記3つぐらいであろう。
1と2は幸い経験したことはないが、3の中でも頭痛は比較的多く経験する。ただし、ほぼ一過性ですぐに改善する。
その他、「足にぴりっとしびれが走った!」と仰る方も比較的多くいるが、これもやはりほぼ一過性である。
腰椎穿刺で頭蓋内に空気が混入
今回、翌日まで頭痛が持続した方がいたので、頭部CTを撮ってみた。タップテスト前の画像。
そして、タップテスト後の画像。
矢印の黒いシミみたいなものが、タップテストで頭の中に入った空気である。
気脳症
頭蓋内に空気が入ること(状態)を「気脳症」という。
頭部手術後にはほぼ認められる所見で、その他頭蓋底骨折を含む重症頭部外傷でも認められることもある。
今回の様なケースでは、腰椎穿刺という原因がはっきりしており、また空気の量も少量で自然排出が期待されるので、特に処置は必要としない。幸い、その後頭痛は自然軽快している。
ちなみに、「頭の中に空気が入ったことが頭痛の原因」というよりは、「腰から脳脊髄液を抜いたことで、脳が下向きに牽引されたことが頭痛の原因」と考えている。
頭痛が起きる機序としては「脳脊髄液減少症」と同じであるが、脳脊髄液が漏れ続けることがなければ頭痛は一過性である。
脳脊髄液減少症(のうせきずいえきげんしょうしょう)とは、脳脊髄液が脳脊髄液腔から漏出することで減少し、頭痛やめまい、耳鳴り、倦怠など様々な症状を呈する疾患である。日本の篠永正道らの医師によって提唱された新たな疾患概念であり、国際疾病分類には記載されておらず、現状では保険病名でもない。 2010年現在、髄液漏れを止める硬膜外自家血注入(ブラッドパッチ)による治療が保険外で行われているものの、ブラッドパッチが効かない患者も多い。また、篠永らによる疾患定義や診断法を疑問視する専門家も多く、曖昧な診断の下でブラッドパッチを行うことに対しては安全性の観点からも疑問が呈されている[1]。こうした混乱や患者団体等の要請を受け、現在、厚労省の研究班が統一的な診断、治療のガイドラインの策定にあたっている。
脳脊髄液減少症 - Wikipedia
腰椎穿刺は頻繁に行われる安全性の高い検査であるが、髄液排除後の頭痛は最もよく起きる症状の一つなので、今回紹介してみた。