慢性硬膜下血腫の術後に、執拗な頭痛を訴えるように
術後に新たな問題が見えてくるケースがある。例えば、以前当ブログで紹介したのはこちら。
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今回は、慢性硬膜下血腫の術後に執拗な頭痛を訴えるようになった方をご紹介。
80代男性 病型診断困難
初診時
(記録より引用開始)
(現病歴)
2ヶ月前に左慢性硬膜下血腫で手術。1週間で自宅退院。その翌日に頭痛の訴えで救急来院。特に画像上変化なく、抑肝散と鎮痛剤の処方を受け、当方に紹介となった。
(診察所見)
HDS-R:22
遅延再生:4
立方体模写:不可
時計描画:まずまず
クリクトン尺度:31
保続:なし
取り繕い:なし
病識:??
迷子:なし
レビースコア:2.5
rigid:なし
ピックスコア:4
頭部CT左右差:CSDHの影響有り
介護保険:まだ
胃切除:なし
(診断)
ATD:
DLB:
FTLD:△
MCI:△
その他:
弱視のため評価が難しいが、MCIで考えて良いのかな?
聞き返しが多くピックスコアは4。
次回のCSDHフォローの時で、再度評価。お薬手帳持参も。
4週間後
慢性硬膜下血腫は、ほぼ消退した。
にも関わらず、頭痛は持続していると。
鎮痛剤や抑肝散は全く効かないと。
朝と夕に決まって毎日頭痛がする。常同的な訴えの印象。頭部CTでわずかに左が右よりも萎縮?明確な所見とは言えない。
ピックスコア4点を重視して、FTLD寄りに考えウインタミンを試す。朝4mg-夕6mgで。2週間後再診。
その2週間後
全く変わらないらしい。
朝6mg-夕10mgにしてみる。
その2週間後
全く変わらないらしい。
朝8mg-夕12mgにしてみる。これで効果が無ければ、釣藤散など検討。
その2週間後
100/100の訴えが、60/100ぐらいになったと奥さん談。本人曰く、「ちょっと減ったかな?」と。
この量であと1ヶ月。
その1ヶ月後
20/100ぐらいまで減ったとのこと。
週に一回訴えるかどうかぐらい。この量がベストか。
過鎮静にもなっておらず、当面ウインタミン20mg/dayで継続。
(引用終了)
常同的な頭痛に対するウインタミンの至適用量は?
今回の方は、ウインタミン20mg/dayまで増量した結果、効果が得られた。
用量設定は常に手探りだが、常同的頭痛に対するウインタミンの量は、当面はこの20mg/dayを上限にしてみようと思う。
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