Medical Tribune(2015年8月20日号)で見つけた記事。
左上の「インスリン抵抗性でAD(アルツハイマー)リスク増大」という記事も含めて興味深かったので紹介。
チアゾリジン系薬の使用患者4万4597例と、その他の糖尿病薬使用患者12万373例の医療記録を比較した結果、PD(パーキンソン病)発症者は、チアゾリジン系薬使用群が175例、対照群が517例であった。これは、潜在的な交絡因子を調整後も結果は維持された(IRR0.75、95%CI 0.59〜0.94) 〜上記記事より改変引用
原著はこちら。
Glitazone Treatment and Incidence of Parkinson’s Disease among People with Diabetes: A Retrospective Cohort Study
インスリン抵抗性が上昇すると、神経変性疾患を発症するリスクが高まるということか
インスリンと認知症の関係については、以前当ブログでも取り上げたことがある。
www.ninchi-shou.com
チアゾリジン系薬剤とは、国内では武田薬品が発売しているアクトスのことである。現在は後発品も出ている。
膀胱癌のリスクを上昇させる可能性を指摘されていたが、最近の報告では、それは否定されたようだ。
- インスリン抵抗性が増大すると、アルツハイマー型認知症発症のリスクが高まる
- インスリン抵抗性改善薬の内服で、パーキンソン病発症のリスクが低下する
この2点から導かれる結論は、
神経変性疾患(アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症、パーキンソン病など)を予防するには、インスリン抵抗性を上げなければよいのでは?
となるだろう。ということはつまり・・・
神経変性疾患を予防するためには、糖質制限が有用
と考えられる。
糖質の過剰摂取により普段からインスリンが盛んに分泌されていると、次第にインスリンに対する反応(感受性)が鈍くなってくる。これがいわゆる「インスリン抵抗性の増大」である。
普段から糖質を制限しておくことで
- インスリンを節約し、膵臓を休ませることができる
- その結果、いざというときにインスリンがしっかり出て、尚且つ効く
- 血糖値の乱高下、いわゆるグルコーススパイクを防ぐ事が出来る
- その結果、高血糖で血管内皮が傷つき動脈硬化を起こすことを防ぐことができる
このようなメリットが得られる。神経変性疾患に限らず、動脈硬化の最終像である心筋梗塞や脳卒中のリスクも下げることが期待できる。
糖質と変性疾患の関係については、以前ブログでも取り上げた下記の本がお勧めです。
三笠書房 (2015-02-12)
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