鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【妄想的小考】成人期ADHDと認知症、生活習慣病の関連について。

 サービス業をそつなくこなすためには、人間関係への気配りが要求される。もっと言えば「空気を読む能力」が求められる。

 

発達障害的要素を持つ人(以下グレーゾーンの人)にとっては、サービス業の多い現代はとても生きづらい時代だと思う。*1

 

第一次産業(農業や水産業など)が中心の時代であれば、グレーゾーンの人が空気を読まずに黙々と作業をしていても、「あいつは変わったヤツだなぁ」ぐらいで済んでいたかもしれない。もしくは、気づかれないまま生涯を終えていたかもしれない。

 

しかし、同様のことを対人業務中心のサービス業でやってしまうと、「あいつは協調性がない。空気が読めない」とされてしまう。

 

グレーゾーンの人達の支えは、ルーチン化された仕事だと思う。高度な思考を要求されたり、気配りをしたりしなくてもよい、主に手足を使って身体で覚えられる仕事は、長くその人を支えてくれるように思う*2

 

そういう意味では、現役時代サービス業に従事していたグレーゾーンの人は、新たなルーチンワークを形成するという目的で、引退後は農業に勤しむのは良いかもしれない。

 

 

認知症予防に農業

(アマナイメージズさんより引用)

 

(以下、妄想開始)

 

サービス業で働くグレーゾーンの人達は、気配りその他の理由で、人一倍エネルギーを必要とした。神経細胞は通常よりも過剰なエネルギーを日々要求し、それは主に糖質摂取で賄われた。

 

日々血糖の乱高下を繰り返すことで血管内皮は傷つき、また神経細胞のインスリン感受性は衰えていった。

 

幸いにして大過なく過ごし、定年退職となった。

 

しかし、引退後のエネルギー消費量は現役時代より減ったにも関わらず、食生活は基本的に退職後も変わることはなかった。そこに待っていたのが、「意図しない摂取カロリー(糖質)過多」。

 

筋肉細胞や神経細胞で処理しきれなかった過剰な糖質は、タンパク質と結合しAGEs(最終糖化産物)として、身体の隅々にへばりついていった。

 

そしていつしか、生活習慣病や認知症、ガンなどを患っていった・・・

 

(妄想終了)

 

昨今叫ばれる認知症患者数の増加と、今回のストーリー。決して無縁な話ではないように思う次第。

 

 

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*1:かく言う自分も、空気を読まない人間だと言われることは多々ある。

*2:"長谷川式テストは10点だが、ADLはほぼ完全に自立している"といった農家の方をみる度に、そのように思う。超然としている本人の横で、「うちの父ちゃんは、ずっと前からなーんもしゃべらん、こんな感じの変わった人なのよ!!」と、外来で賑やかに話すおばちゃん達は微笑ましい。