グルタチオンで歩行と表情が改善
特発性正常圧水頭症に対してVPシャント術を行い、6年目に入った方。元々腰部脊柱管狭窄症があったので、LP(腰椎腹腔)ではなくVP(脳室腹腔)シャントを選択している。
経過中にレビー小体型認知症を合併してきた。年々歩行は小刻みとなり、認知面も低下しているようだ。
こういった方のご紹介を頂き、ご本人ご家族と相談してグルタチオンを使ってみることにした。
81歳男性 レビーと水頭症を合併
初診時
(記録より引用開始)
特発性正常圧水頭症に対してVPシャント術を施行して6年目。腰部脊柱管狭窄症での手術歴もあり。
年々パーキンソニズムと認知症が進行してきており、グルタチオンの適応はどうか?と紹介を受けた。
HDS-R13点
レビースコア8.5点
右上肢に歯車様筋固縮あり
ぼーっと眠そう。ニコリンまでは不要かな?使ってみるかな?
次回から1400mgのグルタチオンを試してみる。
内服は、レプリントンL(100)2T2Xのみ。当初は3T3Xだったらしいが、意味不明なことを言うようになったため、奥さんの判断で2T2Xに減らしている。薬剤過敏があるようだ。
2週間後
遠方にいる娘さん達も納得したとのことで、グルタチオン点滴を受けに来院。
グルタチオン1400mg+シチコリン500mg+ビタミンC2000mg
点滴直後ですくみ足の改善を認めた。また表情が明らかに和らいでおり、発語に力が出ている。本人曰く、「点滴前は頭がもやっとしていたが、今はなんかすっきりする」とのこと。
週に一回で継続していく。
(引用終了)
グルタチオンの量と間隔を探る
初回投与量は、体型や易怒性などをみて感覚的に決めている。大体800mg〜1400mgの間。これで陽性症状が出ずに、尚且つ歩行や動きに改善を認めた場合には、初回投与量を維持量としている。
シチコリンを使うかは、陰性症状次第。ソルコセリルに関しては、最近は効果は??という印象である。少なくとも悪影響はないと思う。
効果持続期間を考えると、当初は週に2回がいいかなと考えていたが、通院が負担になるという方が思っていた以上にいらっしゃった。
確かに、中々歩けない方を週に2回連れてくるのは大変である。
点滴直後の何とも言えない柔和な笑顔に、外来看護師さんや同伴のケアマネさんはビックリすると共に喜んでいた。
それほど、DLBの方達の普段の暗く硬い表情は、印象的なのである。
今回はこれで終了。