前頭側頭葉変性症の概念と分類
- 前頭側頭変性症(FTLD)は、前頭葉と側頭葉前部を病変の首座とする変性疾患を包括する臨床病理学的概念。
- アルツハイマー病やレビー小体型認知症に次いで頻度の高い認知症疾患。
- ピック病と意味性認知症が多い。
特に、ピック病と意味性認知症(Semantic Dementia)が重要で、この二つで前頭側頭葉変性症の殆どを占めると言われている。
ピック病(前頭側頭型認知症)の特徴
- 注意転導性亢進(診察室で座らずにキョロキョロする)
- 横柄な態度(足組み、腕組み、多幸感、病識欠如、悪ふざけ、万引き)
- 不機嫌(診察拒否、いきなりキレてその後ケロッとしている)
- 運動常同(膝こすり、手こすり、同じ場所を徘徊し続けるなど)
こういった症状を認める。
意味性認知症の特徴
- 言葉は流暢に話すが、相手が話す言葉の意味を理解できない
- 言葉のみならず、モノの概念や名前も分からなくなる
こういった症状を認める。
言葉の意味がわからなくなることを、語義失語という。
ピックスコアを活用する
ピックスコアは、FTLDの診断(コウノメソッドによる)において有用なツールである。
以前に何度か書いた「ピック感」を感じる患者さんや、「こちらの言葉の意味がわかっていないのでは?」と感じる患者さんには、少なくともスコア項目の「語義失語」の項目だけでもやってみて損はないと思う。
2項目間違えたら、FTLDをかなり疑ってかかったほうがよい。
次回からは、5例ほど連続で前頭側頭葉変性症(疑い含め)の方を紹介していく。
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河野 和彦
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