出生前診断問題との既視感
「知りたい!」という人間の欲求に勝てるものなどない、ということなのかもしれない。
アルツハイマー型認知症は、脳に長年アミロイドという物質が沈着してくることで発症する、と考えられており、その
前駆期間は約20年と言われている。
普通の壮年者が検査を受けた時点でアミロイドが沈着していない、もしくは沈着が少なければ、将来アルツハイマーを発症するリスクが低い、逆にアミロイドが沈着していたらアルツハイマー発症の可能性が高い、ということ。
ちなみに、アルツハイマーの発症にはタウ蛋白という物質も関わっているが、ここでは割愛。
重要なことは、この検査が将来を確実に見通す検査ではないということ。
心配なのは、「あなたは将来アルツハイマーになるかもしれない」と言われた人達が、皆が皆それに備えた行動を取れるものなのか?ということ。
将来に備えることが出来る人にとっては有用な検査と言える。また、検査そのものでデータが集まることによって、有効な治療法に繋がる可能性はある。
しかし不安の余り自暴自棄になる人も出てくると思う。この検査と人間ドックなどは、大分意味合いが違う気がする。
現時点でこの検査方法が確実なものではなく、またアルツハイマーという病気そのものに確実な治療法がない現状で、将来アルツハイマーにかかるかもしれない可能性を告げることは、倫理的に如何なものなのか?という疑問は沸く。
それでも、この流れは止まらないだろう。自分も何らかの対策は考えておく必要がありそうだ。
「検査の結果、将来アルツハイマーになる危険性が〇%あります。現時点では確実な予防方法や治療方法はありませんが、今後に関しては、検査を行った当院が責任を持ってフォローしていきます。」
検査をする人達がこれぐらい言ってくれたらいいなぁ、と思う。