微笑ましいような、今後が心配なような、そんなお話。
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89歳男性 数日間、おかしくなった?
初診時
(現病歴)
4~5日前に頭がボーッとして食欲がなくなり、ベッドサイドで放尿したり、「オレは頭がおかしくなった!」と自分で家族に話しかけてきたとのこと。今は大丈夫でいつもどおりとのことだが、心配した家族に連れられて来院。
(診察所見)
HDS-R:20
遅延再生:2
立方体模写:OK
時計描画:OK
クリクトン尺度:1
保続:なし
取り繕い:なし
病識:なし
迷子:なし
レビースコア:-
rigid:なし
幻視:なし
ピックスコア:-
頭部CT左右差:なし
介護保険:なし
胃切除:なし
歩行障害:なし
排尿障害:なし
易怒性:なし
(診断)
ATD:
DLB:
FTLD:
MCI:
その他:
遅延再生は低いものの、年齢を考慮すると診察時点では正常範囲内と考える。
碁が趣味で得意だったのだが、最近連敗してしまったと。
その翌日から、「そこの石をほら、そこに動かしたら勝てるのにね」と虚空を指して話すようになり、その後しばらく様子がおかしかったのだと。
脳萎縮は相応にあるので、機能低下をきたしつつあったところに、囲碁の連敗によるストレスが加わり様子がおかしくなったのだろうか。
今回は様子見で。
(記録より引用終了)
趣味は大事だが、勝負心が昂じすぎるのも心配
このバランスは難しいですね。
ところで、「認知症予防にパチンコや麻雀を取り入れよう」という動きが盛んなようだ。
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判断力や駆け引きを楽しむための前頭前野の機能が低下していくなかで、ギャンブルやゲームが提供する「快感」だけが扁桃体に保存されていく可能性を考えると、ちょっと心配になる。
射幸心を煽りすぎることにならないよう、気をつける必要があるだろう。