年と共に多くの人は健康に不安を感じるようになる。今のところは特に病気を持っていなくても、老後に漠然とした不安を感じている人は多いのではないだろうか?ある報告によると、日本人の96%は老後が心配とのことである。
回答者の96%が「老後に不安あり」。その理由と解消方法とは? | エン・ジャパン
そのような人々の不安を背景にしてか、サプリメント市場は拡大の一途を辿っている。2015年度はおよそ1兆5785億円の市場規模だったようだ。
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自分もそうだが、みんな「何が効くのだろう?」と探し続けている。
飲んでみなければ分からない
ブログを通じて、また直接患者さんから
「このサプリメントは効きますか?」
と聞かれることがある。
それに対する自分の答えは、
「それは飲んでみないと分かりません。」
である。実際、そうとしか言いようがない。
「安全ですか?」と聞かれたら、成分表をみてその記載からわかる範囲で安全性について答えることは出来るかもしれない。
同様に、「アリセプトは効きますか?」でも「メマリーは効きますか?」でも同じ。
身体に入るものは何であれ、究極的には「入れてみないと分からない」のである。
だからこそ、まず大事にしたいのが安全性である。
安全性を優先させたいからこそ、抗認知症薬の機械的増量は避けるのである。それでも副作用が出ることがあるのが処方薬の世界である。
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いつまで続ければいいのか?
世に出回るサプリメントの殆どは、毒にも薬にもならないようなものだと思う。しばらく飲んでみて「効いている!!」と実感出来れば続けたらいいのだろうし、効果が感じられなければ止めればいい。お財布と相談して継続の是非を決められるのは医者ではなく、「自分」である。
その判断が自分では出来ない、もしくは判断を他者に委ねたいという人は、最初からサプリメントは飲まないに越したことはない。迷い続けるだけである。
これはサプリメントに限った事ではなく、薬でもそうである。医者は持っている知識や経験を元にアドバイスをし、患者さんや家族と一緒に考えながら歩んでいく伴走者であり、薬やサプリメントを飲むように強要する絶対者ではない、というのが自分の考えである。
問われているのは「主体性」
サプリメント市場が活況を呈している背景に「病院には極力かかりたくない。まずは自分で色々と試してみよう」 と思う人達が増えている、ということがあるとすれば、そのような流れは個人的には歓迎である。
病院などかからずに済めばそれに越したことはない。自分で勉強し対策することで健康を維持出来れば理想である。そして、独力が困難と感じたら病院の門を叩けばよいのではないだろうか。
自分で対策を考える前に、早めに病院を受診したほうがよいという考え方もあるだろう。
それが正しいことなのかどうか、自分には何とも分からない。「何かあったらいけないから」と病院を受診した結果、飲まずに済んだはずの薬を飲み続けることになる場合はあるので。
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口コミやインターネットで病院を選ぶ「自分」がいる。サプリメントや薬を飲む「自分」がいる。
他の誰でもない、「自分」が選択することである。是非、慎重に選択して頂きたいものである。
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