話が通じない成年患者(認知症を除く)に出会った時、4つの可能性を考えるようにしている。
- 自分の説明力が不足しているから
- あまりにも今の症状が辛いから
- 鉄タンパク欠乏をきたしすぎたから
- 元々のキャラクターゆえに
今回紹介するのは、「このままだと危ういな*1」と感じた方である。次に来てくれた時の工夫も一応考えてはいるが、来てくれる可能性は低いと思っている。
頭痛を訴える20代女性
初診時
高校生の頃から頭痛。その頃は片頭痛と診断されたが、最近は緊張型頭痛と言われている。
鎮痛剤は今は使わないようにしているが、一時は月に20回以上飲んでいた。他院で頭部画像評価は行って問題なしと言われている。
- 肩こり+++
- ソワソワ多動で不安げ
- ストレス+++だと自ら話す
- 食事は炭水化物に偏ってはいないと
ノイロトロピン+葛根湯、天候左右要素に五苓散。
採血で栄養状態確認。
2回目の診察時
前回予約日の受診はなく、連絡をとると「具合が悪かった」と。
改めて予約をとるも、時間を大幅に違えて来院。待合室では深いため息を連発していた。
イライラしたような感じで、貧乏揺すりをしつつ目線は合わせずに一方的な話。前回処方で肩周りは少し楽になったかも、とのこと。五苓散の効果は実感なしと。
(採血結果)
- 尿素窒素: 7.3mg/dl
- フェリチン定量:36.2ng/ml
「タンパク質をもっと食べていいと思いますよ?」
「えー、結構食べているんだけど・・・」
「薬はどうしますか?勿論、無理に使う必要はないですが。栄養の改善で底上げを図りつつ、その間はノイロトロピンや葛根湯で緊張型頭痛に対処するのはいかがでしょう?」
「うーん・・・(ソワソワ)」
「片頭痛成分にはこれまでトリプタン製剤は使っていないみたいなので、お試しされてもいいと思いますよ。どうします?」
「いいです・・・(ソワソワ)」
結局、ノイロトロピンだけ希望。整体に行って自分で治す(?)と。
受付では、投げ捨てるように支払いをして帰っていった。
(引用終了)

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