鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

糖質制限で、自分自身を知る。

 糖質制限を開始して、6年目に入っている。

 

睡眠の質の改善を初めとして、体感できるメリットは数知れない。ダイエット方法として紹介されることも多い糖質制限だが、自分の場合だと開始1年ちょっとで12kgの減量を達成し、その後維持している。

 

残念ながら運動は全く出来ていないのだが、今の体重は20代の頃と同じである。

普通に糖質を摂取していた頃は、ある程度の夜更かしや無理をして頑張ることが可能であった。当直で一睡もしないまま翌日を迎え、そのまま手術に入ることも出来た*1

 

「糖質でboostされていたのだろう」と、今では思う。

 

そのことに気づけたのは、過剰な糖質を排除したからだ。

 

糖質にエネルギーを依存した生活とはいわば、常に「静かな火事場のクソ力」を振り絞り続けているようなものである。いずれどこかに、しわ寄せが来る。

 

糖質は、火事場のクソ力

(キン肉マンより引用)

 

病的欠乏に至らないレベルでビタミンミネラルが不足したまま糖質を摂取し続けると、嫌気性代謝の割合が増えて乳酸が蓄積する。

 

インスリンの作用で余剰糖質は中性脂肪に変換され蓄積される。

 

更に、余剰糖質はタンパク質と結合しAGEsとなって体内各所に蓄積される。

 

これら蓄積の先に準備されているのが、生活習慣病や認知症、ガンなのだという理解は重要。

 

愉しみの優先順位を考えるようになった

 

個々の人生で何を愉しむかは個々の自由であり、リスクを承知で敢えて積極的に糖質摂取を愉しみたいという人はいるだろう。圧倒的多数なのは、無自覚な糖質多量摂取者だと思うが。

 

ただ、多くの場合で愉悦の代償は高く付くものなので、リスクマネージメントは必須であろう。糖質摂取の習慣を止められない人達は、せめて大量のビタミンB群と鉄をはじめとした各種ミネラルの補充はし続けたらよいと思う。

 

今の自分の愉しみは、知識と経験を蓄えながら治療成績を上げていくことと、子供の成長を見守っていくこと。その為のリスクマネージメント手段が、糖質制限である。

 

ブドウ糖ではなく、脂質代謝産物であるケトン体メインの生活になると、日中覚醒の質的向上が得られる。しかも、圧倒的に。頭が冴えるので仕事や読書、書き物の能率も上がる。

 

そして夜は9時を過ぎると自然に眠くなり、床につく。そして、朝は4時30分に自然と目覚める(自分の場合)。

 

これが、今の自分にとって無理のないサイクルなのだと感じている。

 

このサイクルを極力乱すこと無く、仕事やプライベートにおける様々な案件を処理していくことが、今の自分にとっての最優先事項である*2

 

糖質制限をすることで自分は、「己の分」を知ることが出来たように思う。

*1:当直明けで手術に入る医師は、さながら睡眠不足のまま操縦室に入るパイロットのようなもの。

*2:いわゆる"ルーティン"を守るということ。