認知症が進行し、アパシー(無為)へ向かっていく患者さんには、何はともあれシチコリンを使ってみる価値は十分にあると思う。そのような例を簡単にご紹介。
84歳女性 レビー小体型認知症+正常圧水頭症(術後)

初診時
特発性正常圧水頭症の術後二年半経過した。
ここ半年で体重が十キロほど減っている。
全身状態は内科を受診して問題ないと。
うつの問題がメインと考えられているらしい。
食事摂取量は減っていると。
上記経過で紹介有り。
- DLBスコア5点
- 長谷川式テストは施行不可
- rigid強い
- 視線は合わない
- 幻覚なし(以前はあった)
- 薬剤過敏なし
- イクセロンパッチ18mg
- メネシット750mg/day
- 頭部CTで目立った所見なし
シチコリン1000mg静注後でやや表情に変化あり?
しばらく毎週打つかな?家族に歩行再獲得への希望はなく、少しでも活気が上がってくれたら、とのこと。
3回投与後
毎週のシチコリン1000mgで活気が上がってきたようだ。
当面は週に一回の注射を続けよう。イクセロンパッチ18mgが負担になっている可能性を考慮し、一旦13.5mgに減量するようにかかりつけに依頼。
4回投与後
2割ほど活気の上積みになっているかな?とのご家族の感想。
視線は合うようになった、自分で食事をしようと試みるようになった、とのこと。今回で4回目。当面毎週シチコリン1000mg。
10回投与後
今回でシチコリン10回終了。
明らかに活気は上がり、以前になかった笑顔を時折見せると娘さんは喜ぶ。
今回から2回は2週間置きに。
その後は1ヶ月間隔かな。グルタチオンまでは不要かな?
次回は内服状況と食事状況、歩行状況の確認を。
11回投与後
調子の波はあるが、大体下記のような状況。
食事自己摂取可能 ミキサー食
手引き歩行可能
すり足歩行
午前中傾眠傾向
本日は声を掛けると視線は合う。少し笑みも見える。
歩行にも好影響が出ているようだ。
12回投与後
今後は往診医にシチコリンを依頼することになった。
当院は2ヶ月置きぐらい。娘さんがぜひ受診させたいとのこと。
(記録より引用終了)