鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【症例報告】呉茱萸湯と五苓散が著効した片頭痛の女性。

 頭痛といえば片頭痛。

 

ただし、外来で最も遭遇するのは緊張型頭痛である。ちなみに、片頭痛と緊張型頭痛の合併はしばしばある。

 

典型的な片頭痛は、思春期から20代半ばぐらいまでに始まり、多くは50代、60代にかけて徐々に終熄していく。

 

今回は、片頭痛治療に漢方を用いて効果のあった症例を紹介する。

60代女性 片頭痛(天候左右要素あり)

 

初診時

 

若い頃から片頭痛。
最近5日間連続で頭痛。鎮痛剤が効かなくなったとのことで来院。

 

  • 光刺激あり
  • 臭い敏感あり
  • 嘔気あり
  • 肩こりあり
  • 過去に貧血を指摘されたことあり
  • 天候左右性要素あり

 

片頭痛成分多めだが、連日の鎮痛剤内服で悪循環に陥っている(薬物乱用型頭痛)可能性もあり。

 

頭部CTで特記所見はないが、年齢からするとやや萎縮ありか。

 

呉茱萸湯3P3Xをベースとした片頭痛対策に加えて、天候左右性要素には五苓散頓服で対応。


過去に貧血を指摘されているとのこと。念のためにフェリチンチェックを。

 

2週間後

 

「五苓散は効きますね」と。鎮痛剤内服はなし

 

  • フェリチン113
  • 中性脂肪472
  • 尿素窒素16.5
  • 総タンパク7.6

 

採血でフェリチンや尿素窒素、総タンパクに問題なく、鉄タンパク欠乏による頭痛増悪ではなさそうだ。

 

中性脂肪高値。毎日かなり食べているらしいフルーツの制限を。

 

4週間後

 

頭痛の頻度は減った。以前は10だった痛みの程度も、今は2ぐらいと。鎮痛剤内服なし。

 

呉茱萸湯は継続。五苓散の頓用も良い感じと。

 

4週間後

 

今月、頭痛は殆どなかった。市販の頭痛薬を使用したのが1回だけ。五苓散は残ありと。

 

中性脂肪は126。フルーツ摂取はしていないので、やはり犯人は果糖→中性脂肪だったようだ。

 

4週間後

 

頭痛はなし。呉茱萸湯は著効している。左下顎のぴりっとした痛みがたまに。

 

4週間後

 

頓用の五苓散は、相変わらず良く効くと。

春までは呉茱萸湯継続。

 

4週間後

 

年末年始で頭痛1回ずつ。五苓散の出番はそれなりにある。

 

8週間後

 

今回から呉茱萸湯を朝夕に減量。五苓散は残あり調整。

 

4週間後

 

頭痛は、ほぼ出なくなった

 

一旦終診。あとは残っている五苓散で適宜対応を。その頻度に応じて呉茱萸湯の再開は検討する。恐らく今後不要だろうが。


良かったですね。

 

(引用終了)

 

www.ninchi-shou.com

 

片頭痛には呉茱萸湯

(kuracieのHPより引用)