鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

カプサイシンプラスでアレルギー症状出現?

 高齢になるにつれて、咀嚼や嚥下に必要な筋力は徐々に低下していく。

 

認知症患者さんや脳卒中後の方では、その頻度は更に上がる。嚥下困難が問題になるのは、誤嚥性肺炎や窒息に繋がるからである。

カプサイシンプラスとは?

 

カプサイシンプラスとは、唐辛子に含まれるカプサイシンという成分を利用して嚥下反射を促す補助食品である。

 

自分でも試してみたが、口腔内に貼るとすぐに唾液が分泌されてくる。辛さは感じるが痛いことはない。

 

外来で多くの方達に情報提供しているが、概ね好評である。

 

その他、処方薬では降圧薬であるACE阻害薬(タナトリルなど)や、抗血小板薬であるプレタールなども、それぞれ嚥下をサポートする効果が期待できる。

 

進行性核上性麻痺(PSP)の70代男性。食事前に2枚使用(通常量)、1週間ほど継続したところ・・・

 

すぐに嚥下しやすくなったことに奥さんが気づいた。

しかし、徐々に食事量が減少。気になった奥さんがよく観察したところ、

 

  • 唇が腫れている
  • のどの奥が腫れている

 

この2点に気づき、中止。その後外来に連れて来られた。

唇の写真は以下。

 

アレルギー反応で口唇が腫脹

 

ちょっと分かりにくいが、のどの奥の写真は以下。

カプサイシンプラスアレルギー

 

いずれも確かに発赤と腫脹を認める。

症状は改善傾向ではあったが、嚥下痛があり食事量や水分摂取量が減っていたため、念のために入院とした。

 

カプサイシンアレルギー?それともマンゴーアレルギー?

 

アレルギーの既往を確認したところ、カプサイシン(唐辛子)アレルギーはないが、櫨の木(ウルシ)にアレルギーがあるとのことであった。ちなみに、カプサイシンプラスはマンゴー味。そして、マンゴーはウルシ科の植物。つまり櫨とマンゴーは同種の植物ということ

 

成分表を確認したところ、マンゴーの記載はなかった。商品ページのキャプチャ画像を貼る。

マンゴーアレルギー

 

全ての成分を表示する義務はないので、マンゴー成分は極少量なのだろうか?アレルギー表示特定原材料:ゼラチンという表示はあるが、この方にゼラチンアレルギーの既往はない。

 

念のためメーカーに確認したところ

 

  成分表に記載するほどの量ではないが、フレーバーとしてマンゴーを用いているので、アレルギーが疑われる場合には使用しないで下さい

 

という返事であった。

 

嚥下困難に対する補助食品としてカプサイシンプラスは有用という印象は変わらないが、

 

  • 唐辛子アレルギーがある
  • マンゴーアレルギーがある
  • ウルシにアレルギーがある

 

これらに該当する場合には、念のために使用は避けた方がよいだろう。

 

進行性核上性麻痺(PSP)について。 - 鹿児島認知症ブログ

 

☆2019年1月13日追記

 

三和化学研究所の事業譲渡により、カプサイシンプラスは販売中止になっているようですが、同様の商品で「カプフィルム」というのが出ているようです。