小脳出血や小脳梗塞によって傷んだ脳組織は元には戻らない。しかし、出血や梗塞領域の周囲の脳組織は生きている。
この生き残った脳組織は、脳卒中急性期に激しい酸化作用に曝されている。その影響が、慢性期になっても残っているのではないだろうか?そしてそれが脳卒中後遺症の原因の一部を占めているのではないだろうか?
そのような事を考えながら、最近は脳卒中後遺症の方達にも少しずつグルタチオン点滴療法を行うようになっている。
70代男性 小脳出血後
初診時
(既往歴)
脳梗塞 昨年他院でDLBの診断 小脳出血で脳室ドレナージ
(現病歴)
先輩Drから紹介。奥さんがいろいろ不安や希望があるので診て欲しいと。
(診察所見)
HDS-R:20
遅延再生:3
立方体模写:OK
時計描画:OK(何かを勘違い)
クリクトン尺度:15
保続:なし
取り繕い:なし
病識:あり
迷子:なし
レビースコア:0
rigid:なし
幻視:なし
ピックスコア:-
頭部CT左右差:なし
介護保険:要介護4(小脳出血直後の判定)
胃切除:なし
歩行障害:左右に動揺する失調歩行
排尿障害:頻尿
易怒性:なし
(診断)
ATD:
DLB:?
FTLD:
MCI:
その他:
奥さんの希望は留守番が出来るようになることと、歩行安定性がますこと。フラフラしているので目が離せず、夜のトイレにも付き添う必要があり、自分の気が休まる暇が無いと。
まずはメマリー5mgを中止、その後グルタチオン。時計描画の妙な感じはDLBを示唆するか?
2週間後
メマリー中止で、眩暈感が明らかに減ったとのこと。
その他易怒性亢進ないので、このまま中止で。
今回から6回グルタチオン点滴。まずは1400mgから。
直後の歩行はやや安定性改善かな?
2週間後
少しバランスは改善した?と奥さん
今回はG1800で。運転は卒業かな。
前回よりは点滴直後の歩行が安定しているように感じる。
1週間後
- 自宅での歩行介助が不要になった
- 夜間トイレに自分で行けるようになったので、ぐっすり休めるようになった
奥さん大喜び。本人はあまり自覚はないようだが。
1800mgでグルタチオンは継続していく。
1週間後
夜間排尿時には毎回、奥さんが付き添っていた。その為奥さんは不眠に。
しかし、グルタチオン開始後は本人の室内動作がほぼ自立し夜間ぐっすり眠れるようになった。これが本当にうれしいです、と奥さん。
週に一回で継続。
初診から3ヶ月後
しばらく間が空いていたせいか、ふらつき目立つ。グルタチオン1800mg、ソルコセリル4mlで施行。今後は2週間に1回の間隔で。点滴終了後、杖なしで自力で受付まで歩かれる。
その1週間後
わりと順調ですよ、と。
転倒はなし。注意力が増したとのこと。
2週間おきのグルタチオンで。
点滴前は付き添いありで歩き転びそうだが、注意して歩いている様子だったが、
点滴後は、杖つかい手を添えなくても杖を使い自力で歩され待合室まで歩かれる。
(引用終了)
点滴前後の様子を動画で供覧し、今回は終了。
柳澤厚生
ジービー
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