鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

(症例報告)70代女性、レビー小体型認知症と正常圧水頭症合併ケースの治療例。

 どの時点で介入出来るかで予後は大きく変わりうる。

今回の方は、「間一髪セーフ」といったところか。

70代女性 レビー小体型認知症+特発性正常圧水頭症

 

初診時

 

半年前?に転倒し胸腰椎圧迫骨折、また手も骨折し手術を受けた。
2,3ヶ月前から徐々に歩きにくい。本人はもの忘れないと言い張る。診察中傾眠傾向。たまに尿失禁ありと。

 

  • 体幹傾斜+
  • 歯車様筋固縮+
  • 幻視-
  • 小刻み歩行+
  • 透視立方体模写と時計描画テストは問題なし

 

頭部CTで頭頂部脳溝描出不良。DLB(レビー小体型認知症)+iNPH(特発性正常圧水頭症)かな?

 

まずはタップテスト(髄液排除試験)を勧めた。

 

タップテスト後の外来

 

タップテスト前後で目立った変化はなかったようだ。
ただ、体幹傾斜はやや改善しているように見受けられる。

 

DESH(正常圧水頭症を強く示唆する画像所見)があるので、手術は積極的に検討する余地ありです、とご主人に伝える。介護保険申請をし、通所リハビリの導入も。

 

シャントについてはご家族で検討を。
手術に踏み切れなければ、3ヶ月後に外来で髄液排除再検を。

 

3ヶ月後

 

週に二回のデイサービスが始まった。要介護2が降りた。

 

外来タップで30ml排液。

 

次回は2週間後に。すくみ足で一歩目がでにくいと。
抗パ剤の検討もしておくかな。

 

その2週間後

 

トイレや認知面に関しては変わらずとのことだが、本人や家族の表情は明るい。
今回は、歩行で自覚的他覚的に改善ありと。

 

タップテスト陽性と考える。
家族協議してもらい、LPシャント入院の返事待ちとする。

 

LPシャント術後1ヶ月目

 

LPシャントは無事に終了。退院後初めての外来。

 

  • 3m) 25.89s(49s)
  • 起きあがり)8.77s(17.11s)
  • BBT)41/56(33/56)
  • MMSE)16/30(11/30)
  • TMT-A)1:36(2:32)
  • FAB)8/18(4/18)

 

()内が前回評価。

 

評価全項目で改善。シャント及び薬剤治療が著効。御主人は大喜び。
現在シャントは10cm圧。使用薬剤は以下。

 

  • メネシット(100)2T2XMA
  • ドプスOD(100)2T2XMA
  • リバスタッチ4.5mg

 

LPシャント術後3ヶ月目

 

  • 頭部CT、腹部レントゲン問題なし
  • 足が軽くなった
  • 歩行はスムーズ
  • rigidなし

 

順調そのもの。
リバスタッチ残あり、今回は処方なし。

 

LPシャント術後6ヶ月目

 

  • 3m)14.11s
  • BBT)43
  • MMSE)21/30
  • TMT-A 1:56
  • FAB)10/18

 

歩行が抜群に改善している。

 

LPシャント術後10ヶ月目

 

当院開業に伴い、前医からお引っ越し。

 

当初は歩行困難であったが、現在はしゃんしゃん歩ける。

体幹バランス良好。処方継続。4週間おきに。

 

DLB+iNPHの治療成功例

 

(引用終了)

 

 

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