以前ご報告した、脳血管性認知症の改善例。
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介入開始から1年経過したのでご報告する。
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恥ずかしそうな微笑みが印象的 |
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長谷川式テストは16→23点にアップ |
79歳男性 脳血管性認知症
(記録より引用開始)
初診時
脳梗塞の既往あり。その後から活気がない、怒りっぽいなど。
HDSR:16
遅延再生:1
立方体模写:OK
時計描画:OK
保続:なし
取り繕い:なし
病識:なし
迷子:なし
レビースコア:0
rigid:なし
ピックスコア:3.5
頭部CT左右差:なし
クリクトン尺度:9
介護保険:申請中
胃切除:なし
(診断)
ATD:
DLB:
FTLD:
MCI:
その他:VaD
右基底核に陳旧性梗塞痕あり、軽度左片麻痺後遺。歩行は可能。
表情はアパシーを感じる。診察中によだれあり。構音障害強い。
病型としてはVaD(脳血管性認知症)かな。レミニールとサアミオンで治療開始。
プラビックス内服中。かつてアリセプトを2週間だけ飲んだことあり。何も変わらなかったと。
2週間後
(改善点)
目立って活気が出た。明るくなった。
(悪化点)
なし
奥さんがいないと落ち着かない。このあたりはピックスコア3.5だけはある。
しかし、別人のように明るく笑顔が出ており、家族は大喜びしている。
ウインタミン頓用を試してみよう。その他薬剤はすえ置で。
3ヶ月後
活気が出て欲しいが、まずまずやれていますと。
ウインタミン頓用も良い感じと。定期処方への昇格を試す。
6ヶ月後
顔色良好。
帯状疱疹あり。特に症状はないようだが。内科で治療中。
デイサービスが物足りないと。他を検討するのもいいかもしれませんよ。
今回から長期処方に。1回も怒りっぽくなることはなかったと。
1年後
昼寝が多い
晩ご飯後にすぐ寝る
起床が早すぎる
入眠時間をもう少し遅らせて。眠剤はロゼレムベースに、適宜レンドルミン頓用で対応を。
丁度1年経過。好調。
(引用終了)
恐れていたピック化は、今のところなし
初診時でピックスコアが3.5点あったので、ピック化にはいつも注意している。現在の内服は、
- レミニールOD(4)1T
- サアミオン(5)1T
- ウインタミン6mg
- ロゼレム(8)1T眠前
これだけである。
易怒性に対して頓用で試したウインタミン4mgに効果を認めたので、定期内服に昇格させ、その後2mgだけ増量して維持している。
このウインタミンがピック化を防いでくれているのかもしれない。
尚、添付文書では通常「レミニールは8mg/日で開始、4週間後に16mg/日に増量維持」という決まりである。
現在この方は、通常量の1/4の4mgで維持し十分効果を上げている。もし添付文書どおりに処方していたら・・・。
16mg必要なのか、4mgで十分なのか。決めるのは添付文書ではなく、患者さんとその家族、関わるスタッフと医者、みんなである。