鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

78歳男性、脳血管性認知症の改善例。

 かつては、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症と併せて、「三大認知症」と言われていた(今も言われている?)、脳血管性認知症。

 

純粋な脳血管性認知症は、あまり見かけない気がする。この方も、そういったお一人である。

 

脳血管性認知症 治療で改善①

 

脳血管性認知症 治療で改善②

 

脳血管性認知症 治療で改善③

78歳男性 脳血管性認知症

 

初診時

 

脳梗塞の既往あり。その後から活気がない、怒りっぽいなど。

 

HDSR:16

遅延再生:1

立方体模写:OK

時計描画:OK

保続:なし

取り繕い:なし

病識:なし

迷子:なし

レビースコア:0

rigid:なし

ピックスコア:3.5

頭部CT左右差:わずかだがあり?

クリクトン尺度:9

介護保険:申請中

胃切除:なし

 

(診断)

ATD:

DLB:

FTLD:△

MCI:

その他:VaD

 

右基底核に陳旧性梗塞痕あり、軽度左片麻痺後遺。歩行は可能。

表情からはアパシーを感じる。診察中に流涎あり。構音障害強い。

 

病型としてはVaD(脳血管性認知症)かな。レミニール4mgとサアミオン5mgで治療開始。

プラビックス(抗血小板薬)内服中。アリセプトを2週間だけ飲んだことあり。何も変わらなかったと。

 

2週間後

 

目立って活気が出た。明るくなった。

 

奥さんがいないと落ち着かない。このあたりはピックスコア3.5だけはある。

しかし、別人のように明るく笑顔が出ており、家族は大喜びしている。

ウインタミン頓用を試してみよう。その他薬剤はすえ置きで。

 

(引用終了)

 

脳血管性認知症+ピック病?

 

少し怒りっぽい人に敢えてサアミオンを5mg処方したのは、「とりあえずアパシー(無気力、無関心)を改善しないと始まらない」と考えたからである。

 

その結果、「脳血管性認知症でマスクされていたピック病の特徴が顔を覗かせてきた」、そんな気がした2回目の外来であった。

 

CTで左右差を認め、かつピックスコア3.5点は、やはり重要視しておく必要がある。勿論サアミオン増量はあり得ず、レミニール増量もひとまずお預け。一人にすると落ち着きがなくなるので、奥さんは自分の仕事が手に付かない、と苦笑いしている。頓用で充分ならそのままで。無理に定期内服にして、サアミオンの良い効果が打ち消されることがあっては勿体ない。

 

今回はこれで終了。

 

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