認知症の姉の介護をしながら暮らしていたが、自身も認知症となってしまった方をご紹介。
84歳女性 アルツハイマー型認知症
初診時
(記録より引用開始)
(現病歴)
認知症のお姉さんと二人暮し。遠方に住む弟さんが見かねて連れてきた。
(診察所見)
HDS-R:20
遅延再生:0
立方体模写:不可
時計描画:微妙
クリクトン尺度:8
保続:なし
取り繕い:なし
病識:あり
迷子:なし
レビースコア:施行せず
rigid:なし
ピックスコア:2
頭部CT左右差:なし
介護保険:なし
胃切除:なし
(診断)
ATD:○
DLB:
FTLD:
MCI:
その他:
物忘れ、しまい忘れが増えたとのこと。頭部CTで目立った所見はない。遅延再生0点及び穏やかで愛想の良さなどからATDで考えておく。かかりつけに情報提供の予定だったが、弟さんたっての希望で当院通院に。
アリセプト3mg開始。
2ヶ月後
明るくなった。探しものが減った。
良い徴候。当面アリセプトは3mgで。次回はHDSR。
更に1ヶ月後
HDSRは3ヶ月で20→23にアップ。遅延再生は弱く1/6。周辺症状特になし。
派遣でビル清掃をし、買い物と家事も出来るようになった。表情も明るい。
アリセプトはこのまま3mgで維持。
(引用終了)
まだまだ頑張って、お姉さんと自宅での生活を継続中
ちなみにお姉さんも同時に診察したのだが、診断は特発性正常圧水頭症であった。シャント手術を行ったところ症状は大幅に改善し介護負担が軽減。これも妹さんにとって好影響となったと考える。
お姉さんは要介護2、ご自身は要支援2であるが、仲良くご姉妹での生活が継続出来ている。
今後の治療目標は当然、一旦持ち上がったこの状態を極力維持していくことである。
老老介護のご家庭に介入する場合、少なくとも認知症領域については担当医が同じ方が良いのかもしれない。互いの反応を直接見ながら、薬剤の微調整が出来るだろうから。