精神発達遅滞ということで、長期施設入所中であった方。
認知症の定義からは外れてしまうが、臨床的には前頭側頭葉変性症の可能性を感じた。
(記録より引用開始)
初診時
元々精神発達遅滞あり、施設入所中。最近活気の低下と食欲低下ありとのことで紹介。
診察時、腕組み足組。普段から疎通は困難とのこと。問いかけると少しニヤリと笑う。
HDSRは不可。頭部CTでは、左側やや優位の強い側頭葉萎縮を認める。両側前角の拡大は、前頭葉内側の萎縮を反映しているのかな。水頭症は認めない。その他、rigid(筋固縮)も認めない。
施設では突発的な易怒性ありとのこと。
ピックの可能性を考えるが、LPC(レビー・ピック複合)で考えていてもいいのかも。
今のところ易怒性発揮はそう多くはない、とのこと。レミニール4mg+ナウゼリンから試してみる。
(引用終了)
精神疾患と認知症の境界とは?
実はこの方は、その後来院されなかったので気になっていた。
ある日、施設スタッフが外来に来て教えてくれたのだが、レミニール内服後から少し明るさが出てきたように見えていたらしい。
しかし、肺炎で他院に入院後、あっという間に悪化して亡くなられたとのことだった。
以前提示した方もそうであったが、
以前提示した方は、幸い持ち直すことが出来た。
今回提示した方は、もう少し介入が早かったら違った結果だったのではないか、と今でも思っている。苦い記憶である。