認知症外来が始まる前日に飛び込みで来院された患者さん。
精神発達遅滞があり長らく施設入所中。ここ最近急激に活気低下、食欲不振、体幹傾斜を認めるようになったとのことで施設スタッフが連れて来院。
診察時)
- 視線は合わず、傾眠、流涎あり
- 長谷川式テスト施行できず
- 右上肢に歯車用筋固縮を認める
- 頭部CTで海馬萎縮その他の目立った所見なし
現在の認知症の定義では残念ながら、どうしても知的障害の方は省かれてしまう。
しかし、臨床上どう考えても認知症を合併しているとしか思えない知的障害の方は大勢いる。この方の場合は、
- 比較的急な症状の進行
- 低活動性せん妄
- 上肢筋固縮
- 体幹傾斜
- 薬剤過敏(風邪薬で著明に傾眠となる)
などからレビー小体型認知症の可能性を考え、まず低活動性せん妄対策でニコリンを1000mg投与したところ、初回投与後に明らかに活気が上昇した。
その後はしばらくニコリンを連投し、せん妄がほぼ改善したところでイクセロンパッチを開始した。
その後、歩行器歩行、食事は自己摂取可能となり、介護量は大幅に軽減した。
最終処方)
この方から、その後のコウノメソッドに基づいた認知症診療が始まっていった
この方の治療をきっかけに、これまで脳血管障害診療の片手間で行っていた認知症診療に、本格的に足を踏み入れることになった。
尚、自分の認知症診療のベースとなっているのは、名古屋フォレストクリニック院長の河野和彦先生の提唱するコウノメソッドである。
最後に、認知症の定義を載せて今回は終了。