鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

レビー小体型認知症の診断における、問診の重要性

聞かなければ適切な介入は始まらない

 

73歳男性 レビー小体型認知症改善例

 


レビー小体型認知症の紹介が続いているが、意図的なわけでは無い。
改善が得られやすいからブログに載せやすいというだけかも。

 

最近活気が無い、転びやすい、一旦横になったら中々起き上がれない、という訴えで、知人に連れられて来院された方。起き上がれない姿が、妻からは「カエルのようだ」とからかわれるらしい。

 

いくつか病院を受診しMRIも撮っていたが、「原因不明」、「起立性低血圧でしょう」などと言われている。さて。

診察時

表情は暗い
真面目で趣味はない
10年前に仕事を辞めて徐々に活気低下
歩行はゆっくり、手を振って歩かない
両側上肢で鉛管様筋固縮
仰臥位から起き上がれない
睡眠中に大声で叫び暴れる
幻視幻覚なし
薬剤過敏なし
軽度首タレ
上肢を虫が這っている感覚がある
HDSR18点
DLBスコア7.5点

持参された頭部MRIは、基底核に陳旧性の脳梗塞痕を認める以外に、これといった所見が無い。DLB患者さんでは、特徴的な画像所見がないことは多い。

考えたこと

  • 診断は恐らくレビー小体型認知症だろう。
  • 本人に物忘れの自覚や訴えはなく、主に体の動かしにくさで困っている。
  • 明らかにREM睡眠行動異常と思われる症状を呈しており、これが改善されたら家族は喜ぶだろう。
  • これらに改善の兆しが見られたら、本人も気づいていない物忘れ症状にアプローチしてみよう。
 

その後の経過

抑肝散加陳皮半夏2p2xとメネシット50mgを処方して2週間後に再診したところ、暗かった表情が目立って改善していた。また転びにくくなり、夜間の叫びがかなり減ったと同伴の家族が喜んでいた。起き上がり動作はまだ出来ないと。この時点でイクセロンパッチを導入し、メネシットを50mgx2に増量し、1ヶ月後に再診とした。
 
1ヶ月後の再診時には、診察室に入ってくる歩行スピードが明らかに改善していた。しかし、手の振りはまだ弱かった。REM睡眠行動異常はほぼ消失。以前は壁を殴ったり、横の奥さんに肘打ちしたりなど大変だったと。起き上がり動作はまだ完全には出来ないが、初診時よりわずかに改善は認めた。
 
今後は上肢を虫が這うような感じ(RLSの亜型のような症状だろうか?)に対して、ニュープロパッチを試してみようか?またイクセロンパッチを9mgに増量しようか、などと考えていたが、泌尿器系の疾患で他院に入院となり、その後をフォロー出来ていないのが残念。
 

最終処方

イクセロンパッチ4.5mg+抑肝散加陳皮半夏2p2x+メネシット50mgx2
 

まとめ

物忘れの訴えがない、しかし認知症を既に発症している患者さんは大勢いる。よって、問診が非常に重要である。聞かれなければ答えない患者さん、家族はとても多い。
 
認知症外来ではなく、一般外来に普通にやってくる認知症の方(軽度認知機能障害を含め)を、どれだけピックアップしていけるだろうか。これは自分にとって大きな課題である。
 
今回はここまで。
 
(略語説明)
 
RLS・・・Restless Legs Syndrome。パーキンソン病に多いと言われる、通称「むずむず足症候群」のこと

 

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