国立循環器病センターから。
www.ncvc.go.jp
アミロイド凝集抑制作用を有する物質「タキシフォリン」を脳アミロイド血管症モデルマウスに投与して、タキシフォリン非投与のモデルマウスおよび正常マウスと比較しました(図)。その結果、タキシフォリン群において脳内のAβオリゴマー量は大幅に減少し、脳血流量や認知機能も正常に近い状態まで回復することが明らかになりました。(上記リンクより引用。赤文字強調は筆者による。)
タキシフォリンとは?
タキシフォリン-8-モノオキシゲナーゼ(taxifolin 8-monooxygenase)は、次の化学反応を触媒する酸化還元酵素である。
タキシフォリン + NAD(P)H + H+ + O2 {\displaystyle \rightleftharpoons } \rightleftharpoons 2,3-ジヒドロゴッシペチン + NAD(P)+ + H2O
この酵素の基質はタキシフォリン、NADH(NADPH)、H+とO2で、生成物は2,3-ジヒドロゴッシペチン、NAD(P)+とH2Oである。補酵素としてFADとフラボタンパク質を用いる。組織名はtaxifolin,NAD(P)H:oxygen oxidoreductase (8-hydroxylating)で、別名にtaxifolin hydroxylaseがある。(Wikipediaより引用)
フラボノイドの一種のようだ。ということは、一重項酸素やスーパーオキサイドの除去能力があるスカベンジャー(活性酸素除去能力を持つ物質)であろう。
認知症サプリで有名な"イチョウの葉エキス"も、フラボノイドの一種である。
イチョウの葉エキスは、活性酸素除去以外にも、血管拡張作用や側副血行路開通作用が指摘されているので、今回取り上げられているタキシフォリンは、活性酸素を除去しつつ、血管を拡張させることで、Aβを排出しているのかもしれない。
Aβをキャンセルする薬剤は期待出来ないと思っていたが、
www.ninchi-shou.com
今回のタキシフォリンはちょっと毛色が違う。
Aβを除去することよりも血管拡張作用による認知面改善効果である可能性はあるが*1、いずれにせよ、無理な生化学的修飾薬という印象はなく、安全性は高いと思われる。
2025年の臨床応用を目指しているようだが、治験により圧倒的な効果が確認できれば、臨床応用は前倒しになる可能性はある。
タキシフォリンの今後は、要注目である。
(国立循環器病センタープレスリリースより引用)