先日、ある先生が亡くなられたことを人づてに知った。
ご高齢ではあったが、現役で診療を続けておられた。標榜されていた科から想像する限りは専門外であったと思うのだが、認知症診療にも積極的に取り組まれていたようだ。
当院がオープンして間もない頃、「元気でやっていますか?」と様子を見に来て下さった。その時はとてもお元気なご様子であったので、今回の訃報には唯々驚いた。
奥様からお電話を戴いた
ある日の外来中に、先生の奥様からお電話を戴いた。
(奥様)「先生、お忙しい診療中に申し訳ございません。つい先日、夫が急逝してしまいまして・・・」
(当方)「伺っております。この度は急なことで・・・」
(奥様)「つきましては恐縮なのですが、うちで診ていた認知症の患者さん達を先生のところで診て頂けないでしょうか?」
(当方)「勿論です。」
(奥様)「よかったです。実は既に患者さん達には、先生のところに行くようにと言ってしまっていたので・・・(笑)」
(当方)「今後もお力になれることがありましたら、何なりと仰って下さい。」
不思議な縁、受け継ぐバトンの重さ
先生ご夫妻とは、この1年の間に数回お会いしただけである。だが、不思議と印象に残る方々であった。今考えると、ご縁があったのだろう。
医師として患者さんを遺して去る無念さは如何ばかりのことであっただろう。改めて、渡されたバトンの重さをひしひしと感じた。
そしてまた、こうも考えた。
「いつかは、自分も誰かにこのバトンを渡すのだろう。」
(ダイNAMOさんから引用)