鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【症例報告】期間限定の漢方使用と果物摂取中止で、頭痛そのものが殆ど消失した方。

今回紹介するKKさんは、60代前半の女性。

 

若い頃からの片頭痛持ちで、鎮痛剤と縁が切れないとご相談があった。片頭痛は加齢とともに和らいでいくことが殆どで、60歳を過ぎてもまだ片頭痛に悩まされているという方は、片頭痛以外の頭痛の可能性について検索する必要がある。

 

KKさんには片頭痛の要素がまだ残っていたので、呉茱萸湯で対応を開始した。加えて、天候左右性の頭痛もあったので、これは五苓散の屯服で対応するようにした。

また、中性脂肪が非常に高い数値であったので、原因となっていると推測された果物の摂取を控えるようにお願いしたところ、速やかに数値は正常化した。

 

たまに経験するのだが、急激な血糖値上昇で頭痛をおこす人がいる。KKさんの頭痛改善の時期は果物の摂取を控えるようになった時期と一致しているので、ひょっとすると関係があったかもしれない。

 

果物に含まれる糖分として果糖が有名だが、果糖と聞くと「血糖値はあまり上げないんでしょ?」と反応する人はいるかもしれない。果糖のみだとそうかもしれないが、果物には果糖のみならず、ブドウ糖もショ糖も糖アルコールも含まれている。

 

果物の摂りすぎには注意が必要ということである。

 

介入から7ヶ月で一旦終診となったが、その後1年が経過しても以前の様な頻度での頭痛再発はきたしていない。

 

60代女性 複数の頭痛要素を持つ方

 

初診時

 

若い頃から片頭痛
最近5日間連続で頭痛、鎮痛剤があまり効かないと

 

  • 光刺激あり
  • 臭い敏感あり
  • 嘔気あり
  • 肩こりあり
  • 貧血を指摘されたことあり
  • 天候左右性要素あり
  • 糖質への過剰な偏りはない

 

頭部CTで特記所見はないが、年齢からするとやや萎縮あり。

呉茱萸湯を片頭痛対策に、天候左右性要素は五苓散頓服で。
フェリチンは112で問題なし。

TG(中性脂肪)が472と高値。果物大好きとのことだが、しばらく控えて頂くことにした。
頭痛の一因になっているかもしれない。

 

5週間後

 

頭痛の頻度は減った。以前は10だった痛みの程度は、今は2ぐらいと。

呉茱萸湯継続。五苓散頓用も良い感じと。

採血再検したところ、TGは126。TG高値の犯人は果物であったようだ。

 

4週間後

 

今月、頭痛は殆どなかった。市販の頭痛薬を使用したのは1回だけ。
五苓散は残あり。

 

4週間後

 

頭痛はなし。呉茱萸湯は著効している。

 

4週間後

 

たまの頭痛に頓用五苓散効果あり、鎮痛剤内服はなし。

春までは呉茱萸湯継続。

 

2ヶ月後

 

頭痛は落ち着いており、今回から呉茱萸湯を2P2Xに減量。五苓散は残あり。

 

介入から7ヶ月後

 

先月からは頭痛は一回で自制内。

 

今回で一旦終診。頭痛が出たときには、残りの五苓散頓服で対応しましょう。頭痛の頻度が増えることがあれば、呉茱萸湯の再開を検討しましょう。


良かったですね。

 

(引用終了)

 

 

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頭痛

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