他院でパーキンソン病と診断された、ある40代男性を紹介する。
奥さんが「これは何かおかしい」と早めに気づいて連れてきてくれたから良かった。
40代男性 パーキンソン病と診断されたが・・・
初診時
(主訴):首のふるえ、足の強張り。頭痛、めまい。パーキンソンのご相談。
大酒家。
3年ほど前から首の震えに奥さんは気づいていたが、特に悪化はないためそのまま様子をみていた。
心療内科に通うようになり、うつ病の診断で3ヶ月休職することになった。ルネスタ3mgとベルソムラ20mg、デパス3T3☓が処方されている。その心療内科で首の震えを指摘され、〇〇クリニックを紹介受診。
そこでパーキンソン病と診断されたのが2ヶ月前。
まずエフピー1T1X朝が処方された、その後パーキストン0.5Tx3が追加となったが、奥さんから見ていてボーッとして呂律が回らなくなっているようだと。
- 右上肢にrigid
- 下顎〜頚部振戦
- 両側で手指振戦はあるが企図振戦
- 姿勢反射障害なし
- 小刻み歩行なし
- 顔貌は仮面様
- 頭部CTは特記所見なし
恐らくアルコールの影響だろうが、右上肢のrigidや仮面様顔貌は気にはなる。ご希望あり、抗パ剤は一旦預かる。
パーキストン1.5T→ドパコール50mgx1に減量。エフピーは止める。大酒家だったとのことでB1はチェック。甲状腺ホルモンも一応チェック。
次回採血結果説明。
4週間後
抗パ剤減量で自覚的他覚的に改善ありと。このまま、一旦止めましょう。
現在1日1食、晩酌の時だけ食事を摂ると。その際には、炭水化物は止めてタンパク質にしましょう。翌朝に前日の残りを食べて1日2食にしましょう。全体的には明らかにカロリー不足の印象。
- AST:64
- ALT:58
- γ-GTP:257
- HDL-C:72.8
- LDL-C:52
- TG:179
- Vit.B1:5.9
- TSH:0.4
- FT3:3.1
- FT4:1.47
採血で肝機能や低LDLには注意が必要。B1や甲状腺は問題なしか。
ご希望あり、近医の降圧薬処方を引き継ぐ。地元の〇〇病院にMIBG心筋シンチを依頼。
4週間後
MIBG心筋シンチの結果は、早期後期の取り込みは、いずれも2以上。
80%以上の確率でパーキンソン病ではないでしょう。ただし、rigidはあるので油断せずに見ていきましょう。
現在4回目のうつ病再発中で、毎回必ずアルコールが絡んでいるようだ。
ビタメジン、シナール、プロマックで栄養療法開始。PPIは中止。心療内科の薬も預かって調整することは出来ますよ。
6週間後
初診時と比較して、明らかに下顎振戦は減っている。アルコール量も調整して減らせているようだ。
診療内科でセルトラリンが始まって現在100mgまで増量されている。本人的には気分はいいと。奥さんからみても元気な頃に戻ってきたと。
総じて順調。2ヶ月処方。
8週間後
手指振戦、下顎振戦なし。rigidもなし。
表情は明るくなっており、調子は良いとのこと。
現在セルトラリン100mg/dayに、不眠時頓用でリフレックス15mg。アルコールは焼酎3杯/日で週に一回休肝日あり。
BP128/88。収縮期血圧が大分下がってきたようだ。糖質制限にも取り組んでいる。
拡張期血圧が下がってきたら、降圧薬減量に取り組もう。
(引用終了)