鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

胃酸の分泌を抑え続けると、鉄欠乏をきたしやすくなる。

Medical Tribuneから。

 

medical-tribune.co.jp

プロトンポンプ阻害薬(PPI)またはヒスタミンH2受容体拮抗薬の2年以上の使用は鉄欠乏症のリスクを高めると、米・Kaiser Permanente Division of ResearchのグループがGastroenterology(2017; 152: 821-829. e1)に発表した。

 

~中略~

 

解析の結果、PPIまたはH2受容体拮抗薬の2年以上の使用はいずれもその後の鉄欠乏症リスクと関係し、補正オッズ比はそれぞれ2.49(95%CI 2.35~2.64)、1.58(同1.46~1.71)であった。PPI使用群では1日の用量が鉄欠乏症リスクと正の相関を示し、使用中止によりリスクは低下した。(上記リンクより引用。赤文字強調は筆者による。)

 

PPIやH2受容体拮抗薬を内服中の場合、定期的なフェリチンチェックが必要 

 

当然と言えば当然の結果である。

 

長期にわたる鉄欠乏は、特に高齢者においてはフレイルに繋がる。また、変性疾患発症のリスクを上げるようにも思う(個人的考え)。

 

脳梗塞後や心筋梗塞後の抗血小板療法*1中で、どうしてもPPIやH2受容体拮抗薬の使用が必要な方達は、定期的な鉄チェック(≒フェリチンチェック)をすべきという風に、今回のニュースを受けとめた。

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)と認知症発症の関連について。 - 鹿児島認知症ブログ

 

*1:再度血管が詰まるのを抑えるために、バイアスピリンやプラビックス、プレタールといった抗血小板薬を内服する治療法。通常、抗血小板薬で胃が荒れないようにPPIやH2受容体拮抗薬が併用される。